15 状況
『転送』でスッ飛んできた巡回司法官の皆さんに状況説明。
新型魔導具の『状況記録』は、動画や音声が残っているのではなく、
それぞれの簡単なステータスや位置情報、装備や使った魔法などが記録されている程度なのですが、
現場で何があったのかは完璧に理解してもらえました。
どうやら、俺の広範囲『鑑定』も開発の参考になったそうで、
現場での余計なトラブルを防ぐのにかなり役立っている、
と、巡回司法官の皆さんから感謝されちゃいました。
ただ、流石に王家絡みの問題なので、すぐに解放というわけにもいかないようで。
あの馬鹿王子は『転送』で回収されていきましたよ。
現場に来た凄腕の治療魔導士さんが強力な『再生』魔法を使ったけど、全く治らなかったので。
治療魔導士さん大慌てだったけど、責任とか問われないといいな。
マーリエラさん曰く、"格"の高い魔導具からの損傷は、治療不能な傷になることが多いのだとか。
だよね、俺が『渇魂刀』さんから受けた手の甲の傷も、跡が残っちゃったし。
で、馬鹿王子は欠損部分があのままなら、生涯、医療魔導具での延命治療を受け続けることになるそうですよ。
確かに、あの球は"王家の秘宝"とか言ってたし、
つまりは"格"の高さは自爆した本人のお墨付き。
まさに自業自得極まれり、ですな。
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エルサニア王都には連行されずにいます。
つまり、指示があるまで現場で野営待機。
もちろん、巡回司法官の監視付き。
エルサニアの兵や監視員は、未だ誰も来ず。
どうやらエルサニア城内は、俺たちの処遇でかなり揉めている模様。
あんなのでも一応は王子さま、
巻き込まれたとはいえ俺たちは当事者ですし、
何がなんでも責任取らせたいはずなんだけど。
ただ今回に限っては、俺たちに非がない証拠もバッチシ残ってるわけで。
巡回司法省は全面的に俺たちをサポートしてくれるそうですが、
もうエルサニアには居られなくなるかも……
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『これからどうなるのかな』
エルサニアが今まで通りに大陸イチの先進国を名乗りたいなら、
馬鹿王子さまのやらかしの尻拭いなんて絶対にしないはずだけど。
「やはり、ライクァ王次第、でしょうか」
良くも悪くも、そうなりそうですね。
お噂通りの真っ直ぐな方なら理不尽な行動には出ない、と思いたいです。
「それほど、真っ直ぐではない、ぞ」




