12 追跡
うっひょー、超キモチいいっ。
『シマムリャ』サイコーッ!
なんすかね、オープンカーとバイクのいいとこ取りみたいな感じなんですよ。
あっちの世界のクルマと比べたらスピードはそれほど出ていないはずなのに、
風を切って走るこの感覚、めっちゃ気持ちいいでーす。
『このくらいの速さでも大丈夫?』
バッチグーですよっ、アンチさんっ。
『念話』のおかげでアンチさんとは問題無く会話出来ますが、
このくらいの速度でも結構な風を受けますので、
後ろにお座りしてるマーリエラさんとは大きな声を出さないと会話は無理ですね。
『スーちゃん待たせてるから、急ぐよっ』
ウヒャッホーイ!
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はい、例の池のある森に到着。
流石に森の中をあの速度では無理なので、
『シマムリャ』は、一旦ここに置いていきますよ。
魔導セキュリティシステムとやらで、放置しても安心だそうです。
ちょっかい出したヤツは安全じゃないそうですが。
『おじさま、気付いてる?』
もちろんですとも、広範囲『鑑定』でもチェック済み。
王都を出た時から、ずっと俺たちを追跡してきた怪しい気配がひとつ。
念のためマーリエラさんにも確認するけど、司法省の監視員じゃないですよね。
「絶対に違います」
「私でも悪意を感じとれるほどですし」
ふむ、撃退してもOKってことですよね。
しかし、アンチさんのお馬さんモードを余裕で追跡出来るなんて、何者なんだろ。
おっと、スーちゃん、どうしよ。
危ないから、呼びに行くのは諸々終わってからの方がいいよね。
『来たよっ』
現れたのは……また若造ですよ。
それも、以前のアレより遥かに生意気そうな。




