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10 決着


 何やらスゴい試合だったようですよ。


 全然覚えてないけど……



 ---



"スイッチ"入れた俺の全力ダッシュが開始の合図。



 俺の連続手刀を慎重にいなしていた老師、


 手のひらだけじゃなく、投げ技も警戒している様子だったとか。


 ジョウトさんとの闘いで締め技を使ったってこと、聞いてたのかな。



 そして案の定、手首を掴まれてブン投げられた俺。


 受け身の取り方がスゴく気持ち悪かったってアンチさんが言ってた。


 投げられた後、空中でグルグル回って低い姿勢でぴたりと着地、


 ネマルク魔猫の着地にそっくりで気持ち悪かった、


 って言われても知らんがな、そんなにゃんこ。



 で、そっからは"スイッチ"入れた俺の真骨頂、


 例の"G"モード発動。



 それはそれは気持ち悪かったそうですよ、


 地面を這うようにカサカサと爆速で移動。



 でも、流石は老師、抜かりも容赦も一切無し。


 対人戦は強いけど人外には対処出来ない武術家も多い、なんて聞くけど、


 あの短いお脚で華麗な蹴り技、連続技、


 俺、蹴られまくり。



 ようやく"G"モードを諦めた俺、雄々しく大地に立つ。


 鼻血やら何やらで、エラい形相だったそうですが。




 で、いよいよ最終局面。


 この一撃に全てを賭ける、みたいな俺の雰囲気に、


 老師もわざわざ付き合ってくれたようで。



 お互い、少しずつ間合いを詰めてから、


 相手の攻撃を見切りながらの、


 ほぼ同時の手刀一閃!



 老師の一撃は、俺のアゴにクリーンヒット。


 俺の一撃は……




 老師曰く「ヅラでなければ即死じゃった……」



 すみません、老師。


 ちゃんと弁償しますので、ヅラ……



 ---



 てな感じで、試合終了。



 老師の一撃で完全にダウンしていた俺は、


 後頭部で感じる心地良い感触がマーリエラさんのひざ枕と気付いてからは、


 目が覚めたことを気付かれぬよう必死でタヌキ寝入り。


 アンチさんに頭をハタかれるまで、めっちゃ幸せでした。



 まあ、後から老師の魔導ヅラの値段を聞かされて気絶しそうになりましたが。




「ノアルちゃん、強いのう」

「本格的に弟子入りせんか?」


 ごめんなさいです、


 俺、老師みたいな戦闘民族にはなれませんから。



「あの状態、決して制御不能の暴れ馬では無かったぞい」

「裏の人格、なのかものう」

「手のひらの技を極力使わんよう、考えて立ち回っておったからの」

「最後の一撃も、ワザと手刀の軌道をズラしてくれたようじゃ」

「ヅラだけに……」


 笑えませんよ、老師……



「あの状態をノアルちゃんのままで使いこなせるようになったら、もう一度試合おうぞ」


 いつになるかは分かりませんが……


 とりあえず、ヅラの代金を返済し終わるまでは長生きしてくださいね。



「不老不死じゃないんじゃよ、ワシ」


 善処します……



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