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異世界に転移した日本で生きるオタクの話  作者: 山田太郎
第一章
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四日目・零さん冒険者になる

 緊急家族会議が行われた翌日、俺とジャンヌは家で留守番をしていたルリを連れて大江山市に最近出来た一際大きく異質な建物、冒険者ギルドに足を運んでいた。

 建物の外観はまるで中世ヨーロッパのようだと言えばいいのか、ゲームでよく見る様な見た目をしている。

 一階は何処でも共通なのかギルドメンバーらしき者達にウェイトレスやウェイターが料理を運んでいた。

 そしてギルドの端っこにある人だかりに目を移せば何やらたくさんの紙が貼ってある掲示板がある。


「如何にも冒険者ギルドって感じだな。日本で冒険が出来るかは知らんが」


 インフラがしっかりしている日本では端から端まで乗り物で行けるためRPGの王道であるエンカウントバトルなどと言うものは存在しない。

 俺は涎を垂らして料理を眺めるルリの手を引っ張りながらジャンヌと共にカウンターへと向かう。


「いらっしゃいませ。冒険者登録の方ですか?」

「はい。ボク達は冒険者になりに来ました!」


 受付嬢の言葉にジャンヌが元気に返事をすると受付嬢が顔を引き攣りながら苦笑いを見せる。


「わ、分かりました。では登録をするのでこの書類に記入をお願いします」

「あ、はい」


 そう言われて俺達が手渡されたのは同じことが書かれた三枚の書類だった。

 俺はジャンヌに一枚渡し自分とルリの分を書き始める。


「兄ちゃんら新人かい?」


 すると近くに座っていた男が声をかけて来た。


「そうなのだ!」


 ぴょんぴょん飛びながらアピールしているルリを見て男は豪快に笑う。


「あの、皆さんはどうしてギルドに入ったんですか?」


 俺は常々疑問に思っていたことを口に出す。最近できたにしては明らかに人数が多い。普通得体の知れない職場に就職しようと思うものだろうか。


「兄ちゃんら知らねぇのかい?冒険者ギルドとは言っちゃいるがその実はお上のニートをゼロにする制作よ。まぁ、俺ら文無し宿無しのホームレスからすれば仕事も宿も紹介して貰えて願ったり叶ったりだがね」

「へ〜」


 書き終わった書類を纏めて俺達は受付嬢へと差し出す。


「はい!確認いたしました!ようこそ冒険者ギルドへ!」


 こうして俺達はギルドの一員となり初めての仕事を得るために掲示板の前へと向かう。


「兄貴!ルリは面白い仕事がいいのだ!」

「アホか。仕事に面白いもクソもあるか」

「お、新人か?」


 再び違う声で同じセリフが聞こえて来て零が振り向くとそこにいたのは見たことのある焼き鳥だった。


「ルリ、あれは食うなよ。腹を壊す」

「?分かったのだ!」

「何時もに増してオイラの扱い雑じゃないですかい、旦那?」


 そう。我が幼馴染に挑み見事一発KOをかまされた鴉天狗の烏丸健太そいつだった。


「あれ?この前魔法で黒焦げになってた人だ」

「やっぱオイラってそんな扱いなんすね」

「よーし、お前ら。今日はこの先輩に着いていって仕事するぞー」

「え?」




 そんなこんながあり俺達は焼き鳥こと健太が選んだ大江山市の裏山で暴れているブラックバスの討伐(危険度⭐︎2)の依頼に来ていた。

 ちなみに危険度は⭐︎1から⭐︎10まで存在し今回の依頼の⭐︎2は悪くてもちょっと怪我をするくらい。


「旦那達は魔法はどんな感じです?」


 ブラックバスが生息する沼でブラックバスを探しながらそう健太が尋ねてきた。


「俺は全属性の適性は低い」

「ボクは光属性だけで適性は高い、みたい」


 気を使う様に俺を見ながらジャンヌさんも答えるがやめてくれジャンヌさん・・・その気遣いは俺に効く。


「へ〜、すごいですね。そう言えばお嬢も闇属性だけですけど適性が高いってノワール先生が言ってましたよ」


 既にメンタルがズタボロなのにその上に幼馴染まで貴重な闇属性の高適性としり俺は全てにおいてやる気が無くなっていた。

 そんなことはお構いなしに無邪気に泥まみれになりながら水遊びに興じているルリを今度は健太が見る。


「そう言やそのお嬢さんはどちら様で?まさかお嬢と旦那の・・・。いや、明らかに日系じゃねーし・・・。はっ!まさか旦那とジャンヌさんの!」


 そこまで口にしていた健太の口を俺が掴む。


「よーし、焼き鳥ブラックバスを捕まえる方法を見つけたぞ。おめぇちょっとエサになってこい」

「お、落ち着いて下せぇ!俺なんて食っても不味いだけでさぁ!」


 命乞いを始める焼き鳥をゴミを見る目で眺めながらとりあえず泥水で残念ながら水遊びに興じる美少女とロリを見て落ち着く。


「つか、二人はさっきから何やってんの?」

「ここらへんから美味しそうな匂いがするのだ!」

「いや、泥のくっさい臭いしかしねぇよ」

「泥に塗れる女の子はどうだい?君の性癖に刺さったかな?」

「残念ながら俺の性癖には刺さらない!俺としては水着の上からシャツを来て濡れたシャツから水着が透けるのが・・・って、んな事はどうでも良いんだよ!焼き鳥、今回の獲物の説明をしてくれ」


 まったく・・・、と悪態を吐きなが仕事の話へと切り替える。このまま当てもなく探していても晩御飯が遅れて家で待っているであろう戦闘力トップ3三人組が暴れてしまうかも知れない。


「ブラックバスのことで?」

「あぁ」

「分かりやした。元々日本のブラックバスだったみたいなんですけどこの世界のマナに影響されて巨大化して凶暴化したんでさ」

「んで、食料とか知ってんの?」

「ブラです」


 理解ができなかった。マナの影響でブラックバスが巨大化したり凶暴化したのはニュースとかでもやってるし分かる。

 だがブラックバスの食料がブラ?ブラとはなんだ?


「えーと・・・ちなみにブラって?」

「ブラジャーです。ブラジャーを食うバスでブラックバスですから」


 頭が痛くなって来た。そう思って頭を押さえた時だった。後ろからジャンヌさんの悲鳴が聞こえてくる。

 急いでジャンヌさんの方を見るとそこにはジャンヌさんに襲いかかる全長二メートルほどのブラジャーを着けた魚が居たのだ。


「アイツがブラックバスです!」

「変態魚だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「美味しそうなのだぁぁぁぁ!」

「「「え?」」」


 俺、ジャンヌさん、健太が美味しそうなどと叫ぶルリを見る。あの変態魚を見れば目がバキバキでブラジャーをしていて何なら手足も生えている。もう魚とも言え無さそうなコイツをどう見たら美味そうと言えるのだろうか。


「いただきまーす!」


 次の瞬間ルリが飛びブラックバスに噛み付く。その場の全員がポカンとしている中ただただブラックバスが暴れてルリを剥がそうとする。


「ッ!零!」

「だぁもう!ルリそのまま押さえてろ!」

「アイアイサーなのだ!」


 急いで俺は急いでエアーブレードの呪文を唱えてブラックバスの首目掛けて放つ。

 初級魔法だけあって命中しても少しの切り傷しか出来ない。


「旦那、ここはオイラがやりまさ」


 今度はエアーブレードの呪文を烏丸が唱え俺が付けた傷に先ほどよりも大きなエアーブレードがブラックバスを切断する。


「オイラ、風と雷の適性高いんですよ」


 ブラックバスの血飛沫雨の様に降り注ぎ健太とルリが真っ赤に染まる。笑う健太といまだにブラックバスを噛んでいるルリ。

 正直に言って狂気だ。


「依頼は完了ですよ、旦那。あ、ちなみにソイツ結構美味いらしいです」


 頭を担ぎながらそのまま歩き去ってしまう。


「・・・・・あ、アイツ一人で報酬貰いに行きやがった。まぁ、明日にでも四分の三貰っとくか」


 とりあえず今日はブラックバスの池作りにでもしようか、など考え俺達三人はブラックバスを持ち帰路に着くのだった。

 ちなみに帰ったら泥まみれの血まみれで即行風呂に投げ込まれたのは別の話。

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