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プロローグ

 周りの木々に火が燃え移り周囲を明るく照らし、近くにあったボロ小屋が燃えて木片と灰に変わっていく中、一組の男女が何かを話してる。

 男の方は黒髪が特徴的な十代前半の青年で、所々が赤色に染まった唐傘を肩に差しており、傘とそれによって出来た影の所為で表情は伺えず、倒れている女性の体を抱きかかえている。

 抱きかかえられている桃色の髪の女性はそんな男の頬に手を伸ばし、悲しそうに笑みを浮かべている。桃色の髪を後ろで結っている女性の腹部には大きな刺し傷があり、今も血がドクドクと流れており、このままでは長くはもたないだろう。

 二人の周りには鎧と薙刀、槍や刀と言った装備で身を固めた多くの兵士が血を流して倒れており、青年が差している唐傘の赤い模様は彼らの血で染まったのだろう。

「ねえ、私は君のそんな苦しそうな顔、見たくないよ。」

 火の勢いが増す中、女性が血を吐きながら優しい声色で呟くが、青年は何も答えられない。そのまま女性は目を閉じ、二度と目覚めることは無かった。

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