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わかりにくい詩たち

夏のイメージ

 小学生の頃、夏にすることといえば、部屋にいる時はマンガを読む、外に行ったら海でフジツボを取って遊ぶか山で猫と走り回るだった。


 でもバンドマンと呼ばれる人達はみんなボクとは違ってて、夏は異性と一緒に、毎日クルマでお出かけしてるらしかった。


 ボクも大人になったら彼らみたいになるんだ!


 大人って素晴らしい!


 あの夕陽に向かって海辺をはしるんだ!


 中学生になると、出会いを求めて海や山へ行くようになった。


 友達はいないから、もちろん家族と一緒だ。


 地味な水着を海に持って行って、パパやママと一緒に行動するのは恥ずかしいから、一人で岩場でフジツボを取った。


 親が離れずしっかり見てたし、近寄ってくる異性なんて誰もいなかった。



 高校生になると、もうボクも結構大人だったので、


 海や山へ行くよりも、好きな音楽を毎日部屋の中で聞いていた。


 ボクの好きなアーティストは、夏にはボクと同じようなことをしていた。


 つまり、この世を憎んだり、クラスのやつらを皆殺しにする妄想をしたり。


 そんなことが結構楽しかった。



 自分だけがおかしいんだろうな。


 だんだんそう思うようになった。


 みんなはちゃんとアーティストが歌うような夏を謳歌しているのに、ボクにはそれができない。


 ボクは出来損ないなんだ。


 ボクは落ちこぼれた人間なんだ。


 人間、失格。


 ボクは素晴らしい大人になれなかった。


 流行のアーティストは相変わらずお洒落な夏のイメージを歌っている。


 ボクと同じ夏を歌うアーティスト達は決まって売れてない。


 ボクの人生は終わってる。



 犬を連れて海辺に行った。


 楽しそうな男女が、触ったこともないサーフボードや名前も知らないものに乗って海の上を走るのを、ずっと見ていた。


 夏のイメージそのものだった。


 ただどこか自然の景色とずれていて


 色鮮やかに寂しいもののように見えた。




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― 新着の感想 ―
[一言] ささりますなぁ〜 ふかぶかと …………フカヒレで1杯やるかぁ〜♪wwwwww
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