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伝えたい言葉・伝えたい思い

作者: 華音 楓

いつものように朝起きる。

いつものように家族に「おはよう」。

いつものように「いただきます」。

いつものように「いってきます」。


それが毎日だ。

それが当たり前だ。

そしてその当たり前が、かけがえのない「幸せ」だ。

これ以上はない「幸せ」だ。


当たり前が当たり前のように過ぎ、当たり前になる。

「幸せ」のために生きていく。


いつものように帰宅する。

いつものように「ただいま」。

いつものように「いただきます」。

いつものような会話。

子供たちに尋ねる。

今日の出来事を。

「何が面白かった?」

「何が嫌だった?」

「自分はどうしたかった?」


いつものように晩酌をしていると、妻が言う。

「今日もお疲れ様」。

妻に言う。

「君こそ一日ありがとう」。

いつもの会話に、いつものお酒。

普通の日常が、普通に過ぎていく。

それを幸せと呼ばずしてなんというのか。


人は言う

変化のない日常は「幸せ」ではない。

人は言う

変化のない日常に成長はない。

人は言う

それを「不幸」と呼ぶと。


いつもをいつもとして過ごすことに何の問題があるのか。

それになんの「罪」があるのか。

「罪」があるとしたら、僕が抱える一つの「心残り」。

常にトゲとなる「心残り」。

でも今更変えられない。

未来は変えられるかもしれない。

でも、過去は今更変えられない。

それが当たり前だから。


いつものように晩酌を終える。

いつものように寝室へ向かう。

そして、いつものように「お休みなさい」。


いつものように朝起きる。

いつものように家族に「おはよう」。

いつものように「いただきます」。

いつものように「いってきます」。


いつものように出勤していた。

バス停近くのコンビニで、いつものようにコーヒーを買う。

いつものようにバス停に並び、スマホに目を落とす。

いつものようにバスは到着する。

でもそこに、いつもと違うことが起こる。

バスの後方から暴走トラックが来た。


ひかれそうになる子供を見つけ、咄嗟に動いてしまった。


気が付くとよく知る天井だった。

いつもだったベッド。

いつもだった子供部屋。

いつも聞こえた母の料理の音。

いつも隣にいた妹。


それは過去の自分。

これは夢だろう。

過去を悔いた自分が見せる、自分への夢。

もう戻れないとわかっているのに抱く想い。


いつもだった朝が過ぎ、学校へ行く。

いつもだった道を歩く。

桜並木が散りつつ見せる、幻想の世界。

いつもだった道を歩く。

そこに「君」がいる。

近所の幼馴染の「君」がいる。


いつも通った学校が見える。

「君」はいつも走り出す。

なぜかわからないが、「君」は必ず僕より先に行く。

そしていつも言う。

「遅いぞ」


懐かしい毎日が、まぶしく見えた。

これはきっと夢だろう。

自分が自分に見せる甘い甘い夢だろう。


いつもだった日々を過ごし、いつもだった日々に感謝をした。

それはそれはとても優しい日々だった。


ある時「君」はこういった。

「好きな人はいるの?」


きっと「君」には何気ない一言だったんだと思う。

これはきっと僕の「後悔」。

伝えられなかった「後悔」。

妻に対する「罪」の意識。


あの時僕は照れてしまい言えなかった。

だから…

「後悔」しないように言おう…

夢だとしても伝えよう…


「すぐ隣にいるよ」


「君」はうつむきそっぽを向いた。

耳まで真っ赤でかわいかった。

「君」は一言「ばか」と言って走り去った。


なんだか、トゲが取れたようだ。

心の痛みがなくなった。

妻に伝えよう。

「愛している」と

妻に伝えよう。

「これからもよろしく」と

子供たちに伝えよう。

「君たちは僕の宝だよ」と


目が覚めると知らない部屋だった。

どうやら病院のようだ。

きっと交通事故の後、運ばれたんだろう。

そばには妻がいた。

「ねえ、どうしてないているの?」

妻の言葉に驚いた。

僕の頬には一筋の涙が流れていた。

そして僕は言う。

「今の幸せをかみしめていた」

妻は言う。

「そ」

妻に言う。

「ああ」


夢であろうと伝えられた。

伝えられなかった「想い」を。

君は今「幸せ」だろうか。

僕は言える。

今が「幸せ」だと。

何気ない日常が宝だと。

これは作者が今思うことです。


「幸せ」は人それぞれでいいと思う。


「幸せ」は誰かに押し付けられるものではないと思う。


それが言いたかったのです。


作者は思います。


今が一番「幸せ」です。

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