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ボルケイノシリーズ

いつもとは違う大晦日 ~ドラゴンメイド喫茶年末特別編2020~

作者: 巫 夏希

 ドラゴンメイド喫茶『ボルケイノ』。

 異世界の狭間にあるその喫茶店では、ありとあらゆる料理が提供されるという。

 それは、そんな喫茶店のとある一幕。



 ◇◇◇



 大晦日、午後一時過ぎ。

 今年は色んなことがあった……。感染症が世界的に大流行して、学校は完全にリモートでやることになった。今はパソコンとネット環境さえあれば何とかなるのだから、便利な時代だけれど、しかしながら、それは普段俺がやっているバイトにも影響を及ぼすのだった。

 今年の夏ぐらいに、メリューさん――ボルケイノの実質的な管理者――から、ボルケイノへのバイト自粛を要請された時はどういうことなのかさっぱり理解出来なかった。

 メリューさん曰く、


「そちらの世界ですら完治するかも分からない感染症を、こちらの世界に持ち込むのはリスクが高すぎる。せめて治療薬が見つかるまでは自粛しなさい」


 まあ、言いたいことも分かるけれど、てっきり密にもならなければ感染する可能性すらないと思っていたから、これは寝耳に水だった。

 クラスメイトでボルケイノでも一緒で働いているサクラ曰く、


「仕方ないよね……、私達がウイルスを持ち込まないとも限らないし」


 メリューさんが言うには、感染対策をしたところでそれは無意味だと言うのだ。そもそも、俺達の住む世界ぐらい技術が発達している世界は少なく、マスクを付けろだの距離を開けろだの消毒をしろだの会話をするなだのと言ったルールは、はっきり言って適用されないとのことだった。


「一応、そちらの世界に何か送ってやるから……。今年の年末はゆっくりと過ごしてくれよな」


 数日前、メリューさんが出した手紙――何処から出しているのだろうか――にはそんなことが書かれていた。

 そして、今。

 俺は段ボールを見て笑みを浮かべていた。


「いやいや……、何処から段ボールを確保したんだろうか……?」


 すっかりこちらの世界の知識を得ているメリューさんだったが、しかしそれはそれ。

 中身を見て、俺は少しだけ満足したように頷くのだった。

 今年はいつもと違った年末年始を迎える。

 せめて、来年にはまたいつもの皆と顔を合わせたいものだ、そう思って俺はスマートフォンを手に取った。

1月1日更新「ボルケイノの静かな朝」につづく。

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