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4,初クエスト受注。



「パーティも決まったことだし、クエスト受注しにいくわよ~」


 クローイは右拳を突き上げて、いまにも出発する勢いだ。


「クラウドコントローラーとバッファーだけで? ゴブリン1体にボコられる未来しか見えてこない」


「あたしはやろうと思えば、アタッカーもできるから問題なしよ。ゴブリン3体までなら余裕ね。4体でボコられるわ」


 低級冒険者パーティは、『一度の戦闘でゴブリンを何体まで倒せるかな』とか考えたりする。これが意外と、自分たちの戦力を考察するのに役立つ。ちなみに4体というのは、底辺中の底辺。


「うん分かった、ドブ浚いのクエストを探そう」


 ドブ浚いは冗談にしても、軽めのクエストがいいだろう。

 ただそもそも僕たちのような無所属パーティに発注されるクエストなど、たかが知れている。

 冒険者協定によって、複数パーティへのクエスト発注は禁止されているためだ(ただし王国から発注される通称『キングダム・クエスト』は特例)。


 ので、発注者も依頼する相手は吟味する。だからギルドに所属していると様々なクエストが得られやすくなる。


「そもそも、どこでクエストを受ければいいんだろ。これまではギルドから受けていたからなぁ」


「任せて。知り合いに手配師がいるから」


「うーん、盗賊らしい」


「褒め言葉と受け取っておくわね」


 手配師とはクエストの仲介業者。ギルドとはまた異なる業者で、違法ではないとはいえグレーゾーンが多い。真っ当な冒険者が知り合う機会は少ないわけで。


 手配師はどんな場所にいるのだろう。興味を抱いてクローイについて行く。

 と、しなびた武具店についた。そこの店長が手配師も兼任しているとのことだ。


 せっかくなので店長に挨拶して、顔を覚えておいてもらう。フリーランス冒険者になった以上は、手配師という人脈も必要だろう。


 店長兼手配師のガウトは、腕組みしてクローイを睨んだ。


「オメーさん、ついにギルド≪暁の咆哮≫を追い出されたらしいな」


「大手ギルドの金庫室から盗みを働くのって、クエストだったら難易度どれくらいだと思う?」


「さぁな。四大ギルドの金庫室ならAランクか」


「それに挑戦してみたくなったのよ。冒険者って、チャレンジする気持ちが大事でしょ?」


 仮に詭弁スキルというものが存在するなら、クローイはそのスキル保有者だね。

 とはいえガウトには通用していなかったけど。


「失敗してんじゃねぇか」


「時には失敗もあるわ。それより、クエストの手配を頼むわよ。報酬の高いのを優先的に」


 僕が割って入る。


「難易度が低いのを優先でお願いします」


「うちのトラのたわ言は無視していいわよ」


 ガウトが右手を出し、《情報開示インフォメーション・ディスクロージャー》と唱える。空中に半透明の台帳が現れた。

 情報記録系スキルでは、けっこう高位なスキルだ。


 ガウトはスキルによる台帳を確認していく。


「クローイ、オメーさんは一流のクラウドコントローラーだがアタッカーとしては二流。それに、そっちのバッファーの能力は当てにならん。オレも手配したクエストで死なれちゃ寝覚めが悪いからな。だからな、くれてやるクエストはこんなもんだ」


 僕たちの前に表示されたのは、採取クエスト。ある薬品の原材料となる〈ロイナ花のみつ〉を取ってくる、というもの。


 ロイナ花は王都近郊にあるレベ草原に生息している。

 つまり、ほとんど散歩の延長のようなクエストだ。

 運がよければモンスターと遭遇することもないし、仮に出会っても低級モンスターだろう。モンスター捕縛クエストではないので、最悪は逃走すればいいし。


 しかし簡単すぎるので、どうせクローイは不満だろう。

 と思いきや、クローイはあっさり受注した。


「まぁ、信用を得るところから始めなきゃだしね。簡単なクエストを一定数こなして、あたし達の信用度を高めるのが筋よね」


 何だかんだで、現実的な性格のようだ。


「で、だ。オメーさんたちに発注するのはいいが、依頼者に伝えておくパーティ名はどうするんだ? 代表冒険者の名前にしてもいいがよ」


「あたし達のパーティ名は、≪ケチケチの王≫よ」


 ガウトがツッコミなしで記載しようとするので、僕は慌てて止めた。


「うん、ちょっと待とうか。≪ケチケチの王≫ってなに?」


「パーティ名の付け方として、リーダーの特徴を持ってくるものがあるのよ。あたしリーダーって柄じゃないから、トラがやりなさいよ」


 僕がリーダーというのは構わない。2人だけのパーティだし、正直いつまで続くかも疑問だから。

 気分屋のクローイのことだから、明日にはどこかのギルドに属していてもおかしくない。


 ただ今日限定かもしれないけども、このパーティ名だけは納得がいかない。


「節約はケチケチじゃないと何回言えば分かるのかな」


「聞いてよガウト。トラってね、料理で残った脂を使って獣脂ロウソク作ってたのよ。ケチケチでしょ」


「それはエコ精神だ!」


 僕が言い切ると、ガウトが面倒そうに記載した。


「じゃ≪エコの王≫だな。ほらよ、≪エコの王≫。初クエスト、頑張れや」


 ……まぁ、いいか。



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