ジャルカの魔術実技も命懸け
次の魔術実技の時間も担当はジャルカだった。
物理の授業ですらけが人が続出していた。
いわんや魔術実技は先週以上のけが人が出るのではないかとみんな戦々恐々としていた。
「では皆さん、前回はボフミエの偉大な先生がファイアーボールのやり方を教えてくれたはずです。
的は10個あるので10班に分かれけて順番に10回ずつ撃ってください」
みんな勝手に的に向けて打ち出す。
それをみて
「オーウェン様はもう少し間隔を短くしてください」
「エステラ様はゆっくりでいいので確実に」
「イザベラ様はもう少しボールを大きくしましょうか」
次々に的確に指示していく。
「クリス嬢は何もしないんですか?」
ボヘミアの王子が嫌味を言う。
「あっクリス様はやめてください。王都が灰になったら困りますからのう」
慌ててジャルカが言う。
「ふんっ大げさな。灰になるわけないだろ」
ヘルマンが言う。
「本当にもう。バカは死なないと治らないのですな」
ジャルカが言う。
「何か言いましたか」
ヘルマンがきっとして言う。
「いえいえ、なんでもないですぞ」
「あのう、ジャルカ様。何もしないのもあれなんですけど」
クリスが控えめに言う。
クリスは前回の件があるのでただの見学はしたくないと言っていた。
「そうですか。では防御の魔法を。それなら失敗しても誰も被害を受けないですからな」
そしてクリスにバリアの張り方を簡単に教える。
「こうですか?」
クリスがバリアを展開する。
「完璧ですな。元が違いますな」
ジャルカは褒めた。
「アッミスった」
その褒めているジャルカにジャンヌがファイアーボールをたたき込んだ。
物理の授業の恨みを晴らす瞬間をずうっと待っていたのだ。
しかし、ジャルカの方がジャンヌよりも一枚も二枚も上だった。
ファイアーボールは一瞬で反射のバリアを張ったジャルカに跳ね返されてもろジャンヌに命中する。
とっさにバリアを張ったが、支えきれずにジャンヌは黒焦げになっていた。
そのどさくさに紛れてヘルマンもクリスに向けてファイアーボールを放っていた。
しかし、クリスのバリアの前に、一瞬で四散した。
「くっそう」
ヘルマンは最大出力にしてファイアーボールを射出しようとして
オーウェンに衝撃波で攻撃される。
それを一瞬でバリアで防ぐ。
その後ろからアルバートのけりを受けて地面に激突していた。
「クリス様になんていう事をするのだ」
アルバートは激怒していた。
ヘルマンは逆襲しようとする。
「姫様。ヘルマン様。オーウェン様。アルバート様。まだまだ練習をしたりないようですな」
ジャルカはにこりとした。
地獄の底からの不吉な声が。
「やばい」
ジャンヌは青くなった。
ジャルカが本気で怒るとろくなことは無いのだ。
4人は慌てて逃げようとするが、一瞬で転移させられていた。
ジャルカの作った訓練用の閉鎖空間の中に。
「ぎゃっ」
「げっ」
4人をファイアーボールが襲う。
四方八方から10秒おきにファイアーボールが二人を襲う。
必死に4人はそれから逃げようとするがどんどんファイアーボールの射出の間隔が短くなってくる。
「ぎゃっ」
「熱い」
「ぎょえ!」
4人は授業が終わるまでただひたすらファイアーボールを受けてズタボロになっていった。
年いっても若い者には負けません。








