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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第四章 王立高等学園

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赤い死神は大国皇太子に愚痴を言います

オーウェンはその後クリスと一緒に廻送していた馬車に乗って学園まで帰った。


「少しは気分が晴れた?」


「ありがとうございます。あんなに王宮の人らに喜ばれているとは思ってませんでした」

クリスが笑顔で言った。

少し憂いのあるクリスの笑顔もきれいだとオーウェンは不埒な事を考えていた。


「でも、ジャックを傷つけてしまったことがちょっと気になります」

「でも、お母さんがちゃんとやってくれるって言ってくれたでしょ」

「うーん、でも子供心にはまだ納得できないかなって」

クリスは少し複雑そうに言う。

「それはそうかもしれないけれど、段々わかって来るんじゃないかな」

「だと良いんですけど。ま、また時間置いて電話してみます」

ニコッとクリスは笑った。

オーウェンは曇っていたクリスの顔が少し笑顔になって良かったと思った。

何としてでも卒業式までにクリスの心をものにしたいと決意したオーウェンだった…



そして帰った寮の談話室では1区画がどよーんとすさまじい瘴気を発しているようにみんな避けていた。

何故か10メートル以上みんな避けている。

その中心には赤い髪の男がいた。

皆危険を感じて避けていた。


「おいっ。アレク。談話室で酒はダメだろ」

オーウェンは思わず叫んでいた。


「何だと。オーウェン。これが飲まずにやってられるか。お前も付き合え」

出来上がったアレクがグラスを差し出した。


その横では酒でつぶされたヘルマンとアルバートとウィルがいた。

何でヘルマンがここでつぶされているかは判らなかったが、どのみち格好つけてアレクに絡んだんだろう。

底なしのアレクに勝てるわけ無いのだが。


「この前クリスに振られた時に付き合ってやったろ。

愚痴愚痴言うと皆の前でその時のことをばらすぞ」

アレクが叫ぶ。


「何言っている。その時はお前もジャンヌの事について愚痴っていたろ」

グラスを受け取りながらオーウェンは言う。


「赤い死神って言われて、何故か子供の時から恐れられていた。

剣の師範で陰険な奴がいて、半殺しにしたこともある。

占領地で反乱軍を皆殺しにしたこともある。

あんな子供のいう事なんていつもの事だ」

アレクがグイっとウォッカの入ったグラスを差し出す。


「なら良いだろう。いつもの事なんだろ」

オーウェンはそれを受け取りながら言った。


「良い訳ないだろ。餓鬼どもはいつもは俺を恐れて寄っても来なかったんだよ。

餓鬼に面と向かって殴られたのも初めてだよ」

アレクは一気に入っているグラスを飲みきると自分の酒を注ぐ。


そして、オーウェンのグラスにも注ぎ込む。


「良く何もしなかったな。」


「出来るか!シャラザールがいるんだぞ。あいつの前で何かできるわけないだろ」

アレクが叫んでいた。


もう言っている事がハチャメチャだ。シャラザールって誰だ。ジャンヌの事でも言っているんだろうかとオーウェンは思った。


「お前は良いよな。想い人が同盟国の令嬢で。俺は敵国の皇太子なんて最悪だよ」

アレクはウォッカをグイッと飲み干した。そしてまた注ぐ。


「おいっ。飲みすぎなんじゃ」


「うるさい。こんなちょっとじゃ酔わないさ」

アレクはきっとしてオーウェンを見る。


「最初は敵情視察のつもりだったんだ。

あいつと剣を交えるのも、なかなか自分と本気でやりあえる奴がノルディンにもいなくて練習のつもりで。

でもなんかいつの間にか好意を持っていて。


それに、ジャルカの爺さんをはじめこのウイルにしても魔導中隊の奴らにしても誰も俺を恐れなくて普通に接してくれて…。

ノルディンにいてもみんな俺の事は恐れていて唯一恐れないのがカーチャだけで。だから一緒にいるのも楽しくていつの間にか入り浸っていた。

ジャンヌの代わりに皇太子は別にいるから最初は国に連れて帰ろうと思っていたんだ。


でも、いきなりあいつ皇太子になりやがって。どうしようって。

あいつのいない国境なんていても面白くないから、ここに留学に来た。

そしたら誰も俺を赤い死神って恐れないし、学園ってこんなに居心地が良いのかって。

別にノルディンの皇太子の地位なんてどうでも良いやって思ったんだけどな」


「今まで自分のやってきたことがあの子の態度で判ったってか」

オーウェンは聞いた。


「ジャンヌに言われた。お前と付き合うわけにはいかないってな」

アレクは酒を一気飲みした。


「はんっそんなのいつもの事だろ」

オーウェンは何を当たり前のことをと言う顔で言った。


「それはそうだが」


「お前らしくもない。断られても何度でも行っているくせに今更だろ」


「うん。それはそうだな」

アレクは頷いた。


「お前の方は進展があったのか」


「お前らが邪魔してくれるから全然だよ」


「お前だけうまくいってたまるか」


「よし、明日は朝から寮でお出迎えを始めるぞ。お前も付き合え」

アレクは威勢よく打ち出した。


「えっ。寮に迎えに行くのか?」

オーウェンは驚いて聞く。

朝からそんな事して大丈夫なのか?

とは思ったが、


「誠意を毎日見せれば、クリス嬢の心もいちころだぞ」


「本当か?」

喜んでオーウェンが聞く。


「当たり前だ」

アレクは太鼓判を押した。


酔った時の考えなどろくでも無い事を二人とも忘れていた。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


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第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

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後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
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■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
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私のお話

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
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イチオシ

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『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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