暴風王女と赤い死神は大国皇太子に数学を教わります
そして頭がバラ色なのがもう一人いた。
オーウェンは会議室を出ると、職員室に用があるからとエカテリーナを適当に誤魔化して途中で分かれた。
喜んで図書館に向かう。
ついにクリスと一緒に過ごせる。
前期では王妃の手前、また、クリスが皇太子と婚約していたからクリスとは一緒に勉強できなかった。
そのクリスと二人きりで勉強できる。
喜んで図書館に入ると護衛騎士のメイが迎えに来ていた。
そして、クリスと二人きりの個室……
と思って入ったらたくさんの人がいて驚いた。
それもジャンヌとかアレクとかどうしようもない面々がいる。
その先で会いたかったクリスがドラフォードとノルディンの令嬢方に囲まれて何かしている。
手前のジャンヌとアレク、アルバート、ナタリーの脳筋に囲まれたスミスが真っ青になっていた。
「スミス、何のことか全然わからんぞ」
「そもそも、このМのひっくり返ったマークは何だ」
「というか、xの右上の小さい2は何だ」
「あっオーウェン様。良いところに。数学なんですけどみんな分からないって言うからお教えしているんですけど、私1人じゃ無理で、スミス様にもお願いしたんですけど、オーウェン様もそちらのアレク様とジャンヌお姉さまを見てもらってもいいですか」
クリスが頼み込んできた。
何故こいつらの面倒を見なければいけないと思ったが、後々いろいろ馬鹿にできるかもしれないと勉強を見る事にした。
スミスって確か平民の優等生で自分の下の3位の位置にいた奴だし、わがまま皇太子のジャンヌとアレクでは荷が重いだろうと。
「あああ、みんな、何勝手に勉強しているの。私をほっておくなんて酷い」
その後ろから行動が怪しかったオーウェンを隠れてつけてきたエカテリーナが叫んでいた。
「すいません。エカテリーナ様は委員会とかでお忙しいと思って」
アンナ達は必死に謝る。
「ああ、謝んなくていいぞ。俺が許す」
アレクが言う。
「それよりもお前も脳筋だろう。こっちにこい」
「お兄様ほどはひどくありませんわよ」
エカテリーナは後でそう反論した事を後悔した。
最悪チームはオーウェンが教える事になったから。
結局一番まともなチーム イザベラとノルディンの3人娘はクリスが教えて
Σ(シグマ)を初めてみたというアルバートとナタリーのドラフォードの騎士コンビとエカテリーナはスミスが。
一番問題で中学レベルの数学も判らないジャンヌとアレクはオーウェンが教える事になった。
「お前らなんで二乗も知らないんだよ」
「戦闘には必要ないからな」
ジャンヌがあっさりいう。
「そんなの日頃の実践に関係ないから」
とアレクも。
「お前らなあ」
オーウェンは頭を抱える。
編入試験くらいしっかりやれよと学園の仕組みに文句を思いつつ、これでは単位が全然取れないのではないかと思った。
「しかし、土地の面積出したりするときに使うだろ」
「そんなの文官が教えてくれるだろ」
「敵戦力の計算等に数学もいるだろ」
「目の前の敵だけ倒していればいいんだよ」
ジャンヌ。
「そう、ただ目を怒らせて突撃すればいいんだよ」
アレク。
オーウェンは何故ドラフォードがにいつも最後にはノルディンに勝てるのかよく判った。
トップがこんな感じでは絶対に騙せる。
しかし、クリスに頼まれた手前、落第させるわけにはいかなかった。
「まずは基礎力の底上げだな。」
オーウェンは100ます計算用紙を取り出した。
「何だその面倒くさそうなかみは」
「これはこのラインとこのラインを足して全部埋めるんだ」
「まずは2人でやってみろ」
「遅い方はこのガラスの向こうに向けて屈伸10回な」
「はんっ」
「面倒くさい」
オーウェンは罰ゲームをいうが二人に即座に却下されていた。
「判った。じゃあ1分間ハンデやるから俺も参加する。」
「本当だな」
「1分もあれば余裕だぞ。」
オーウェンは自分を餌に釣ることにした。
「ではやるぞ。用意 始め!」
3人は必死に計算始める。
「終わった。」
オーウェンが言った時にまだ二人とも1列も終わっていなかった。
「終わった」
はるかに遅れてアレクが叫ぶ。
「9分50秒」
その紙をみて、でもこれとこれが間違っているから11分50秒な。
「終わった。」
「10分30秒。でも、この1問間違ってるから11分30秒
よってクラス一番の馬鹿は馬鹿はアレクだ」
オーウェンが宣言する。
「何だと、もう一回だ。」
アレクは目を怒らせて言う。
ノルディンの皇太子としてはその称号はさすがに良くない。
「判った今度は2分ハンデをやろう」
「よし、それなら乗った」
「今度こそ勝ーつ!」
オーウェンは2人の馬鹿さ加減がよく判った。
これをこの日図書館の閉まるまでやったが、
結局2人はオーウェンが5分のハンデを与えても勝てなかった…








