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慌てる暴風王女と赤い死神

「これはこれは皇太子殿下。お忙しい中良くお出ましくださいました。

しかし、このようなところに毎日のようにいらっしゃって大丈夫なのですか?」

やってきたジャルカがアレクに声をかける。


「部下が優秀だと上司は閑になるんですよ」


「ふぉっふぉっふぉっ、さすが大国は違いますな。

で、今日も成果は上がりましたかな」


「いや、なかなか姫はつれなくて苦戦しております。」


「で、その姫は誰に連絡しようとしておられるのですかな」


「ウィルだそうですよ。サマーパーティに参加している」


「それはそんな楽しいところに参加していたら怖い上司の連絡何ぞ出ませんわ」

笑ってジャルカが言った。ジャンヌから鋭い視線を浴びても年の功かびくともしない。


「サマーパーティと言えばドラフォードの皇太子様もご参加されているとか」


「あの陰険皇太子がですか。そんなに暇なんですかね。」

アレクはライバル国の皇太子の話題に心穏やかで無くなった。


「何故参加なんか。確か皇太子はとっくに卒業している年ですよね。」

「そううちの姫と同じ年でしたな。もう年増ですか」


「ジャルカ爺」

きっとしてジャンヌは睨んだ。


「姫。年増とは、皇太子殿下がおっしゃられたのですぞ。」

はめられたとアレクは悔やんだ。


「ジャルカ爺。勘弁してくださいよ。降参です。姫と同じ年だったとは失念していました。」

アレクは謝る。


「ふぉっふぉっふぉっ、口は禍の元ですな。」

また笑う。

「で、そんなに忙しくない陰険王子は何の用で学園に。」


「目の前に座っていらっしゃる皇太子殿下と同じようだそうですよ」


「私と同じ?」

アレクは訝しんで繰り返す。

「確か、ウィルの姉上に昔から懸想しておられると聞いたような気がしますがの」


「何ですと」

それまでのんびりしていたアレクは慌てた。

どこかに電話する。


「今マーマレード王国の王立学園に留学している奴とすぐに連絡を取れ」

「はっ?陛下への報告書?

何を言っている。そんなものどうでもいい。

国家の浮沈がかかっている超緊急要件だ。

第一優先で、全てに優先してつなげ。

繋がったら即座に私に代われ!

判ったな」

叫ぶと電話を叩き切った。


「どうした。今までの余裕はどこに行った。」

笑ってジャンヌはからかう。

「あの陰険王子。女に手を出すのだけは早い。

はっきり言ってあなたのところの弟ではかなうわけもない。」

首を振りながら昔国際会議の休憩時間に女性らに囲まれて優雅にお茶を嗜んでいるオーウェンの小憎らしい顔を思い出していた。


「ついにノルディン帝国の皇太子殿下もクリス様争奪戦に参戦されるのですな」

「何をおっしゃっているんですか。ジャルカ爺。

私は何度も申しておりますように、ジャンヌ王女一筋です。」

まじめにアレクは答える。

「ノルディン帝国としては、うちの王女よりもクリス様が欲しいのでは無いですかな。」

「確かにそうかもしれませんが、無理です。

私は恐怖に震えて彼女と手合わせすらできなかったのですから。」


アレクは対峙した時に思い出すだに恐ろしい殺気を思い起こしていた。

「赤い死神と恐れられたあなた様の言葉とは思えませんな。」

笑ってジャルカはからかう。

「何とでも笑われるが良い。私は生まれて初めて剣も握らずになりふり構わず、逃げ出したのです。」

その時のことはいまだに夢で見るほどだった。

「それ程、アレク様を恐れさせる方なら、そのクリス様を婚約者にしているエド様は最強ですな」

ジャルカは笑った。

その言葉にジャンヌとアレクは思わず目を合わせた。


エドは堅物だ。女の子に対するあしらいなどしていないに等しかった。

クリスに甘い言葉など言ったことなど無いに違いない。

そんなほっておかれた女性が甘い言葉を吐かれたらどうなるか…

いくらまじめなクリスとは言え少しはよく想うだろう。

それも、もしその婚約者にひどい目に合わされていたら。

ひょっとしなくてもなびくかもしれない。


「もし、クリスをエドが振ってオーウェンがクリスの婚約者になったら」

「二度とあの陰険王子に頭が上がらなくなる。」

二人はまた視線を合わせた。

「やばい!」

二人は慌てて精力的に動き出した。


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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