王宮解放戦1 クリス地下牢を解放する
ついに王宮に乗り込みます
「クリス様、本当に行かれるのですか?」
「そうです。姉様危険です。」
青い甲冑に身を固めたクリスをアルバートとウイルは必死で止める。
「何を言っているのですか。ここは行くしかないんです。
ルーファスさん行けますか?」
「はい。クリス様」
クリスは諜報局長のルーファスを連れて本陣に向かった。
「お姉さま。」
作戦を立てようとしていたジャンヌの前にルーファスを伴ってクリスが立つ。
「王宮の配備状況をルーファスさんに調べて頂きました」
出たとこ勝負で突入しようとしていたジャンヌは戸惑う。
「これが大体の中央師団の配置図です。」
ルーファスは立体図面を指さしながら説明した。
「中央師団はこの10か所に分かれてみんな寝ていますが、起床は6時、6時半から食事です。
その前に寝ている組をこの10か所に閉じ込めます」
「そんなことが可能なのか?」
ジャンヌが聞く。
「10か所の扉を封鎖、催眠ガスを流せば問題無いかと。
地下通路が繋がっているので警備兵はこの赤い点で10名。
王女殿下の魔導特殊部隊で制圧できるのではないかと思いますが」
「それは楽勝だが」
「王女殿下の制圧に続いて工作員をいれて催眠ガスを流します。
同時に地下牢に1隊を。
残りは執務室ないし謁見の間を制圧すればそれで終わりです」
「夜勤は500名か。」
ジャンヌは確認する。
「屋上に100名。城の周りに200名、城内に200名です」
ルーファスが図面を指して言う。
「寝ている組に催眠ガスを流し終わると同時に外部から陽動攻撃か」
「まあ、その頃には制圧も完了かと」
「良くここまでの内部配置掴めたな」
ジャンヌが感心すると
「王宮はクリス様シンパが大半ですからの。進んで情報を教えてくれたのでしょう」
ジャルカが笑って言った。
「なるほど、クリスに逆らうとあっという間に王宮は落城か」
ジャンヌがからかうように言う。
「冗談抜きにそうなるかと」
ルーファスはまじめな顔で言い切った。
「・・・・・」
驚いた顔のジャンヌに対してクリスはにこにこしてしていた。
首を振って気を取り直したジャンヌは一同を見渡した。
「では私が地下通路の制圧後に執務室ないし謁見室に向かう。
グリフィズは100名を率いて10個の就寝施設の制圧を。
残りの魔導師団員は私に続け。
クリスは大隊中100名率いて地下牢の開放をお願いする」
ジャンヌが指示した。
「判りました。」
「魔導第二師団及びクリスの大隊の残りはクリスの後に続き城内制圧を
残りの部隊は外部から陽動を」
「了解。」
「作戦は2時間後に稼働する。」
「はっ」
全員直ちに作戦を開始した。
2時間後、地下秘密通路をジャンヌらは駆けていた。
そして、城の地下室の1室に出る。
探査魔法をかけると廊下にいるのは10人。
ジャンヌはゆっくりと出ると手近にいた兵士に躍りかかった。
一瞬で峰打ち、
他の兵が慌てて剣を抜こうとしたが、他の者がすでに目前に迫っていた。
魔導独立中隊は数秒で制圧していた。
そして、グリフィズの部隊がその階にある2か所の就寝所を催眠ガスを流して無力化する。
ジャンヌらはその前に一階に飛び出して行った。
そのあとにクリスらも続く。
クリスも今日はミハイル家の色である青い甲冑に身を固めていた。
全員中央師団と見分けるために青い甲冑にしている。
ウィルとアルバートが先頭になって地下牢への入り口に殺到する。
ウィルは中に飛び込んだ。
入口で警備していた2人を衝撃で弾き飛ばし
慌てて剣を抜こうとする兵士たちを次々に弾き飛ばしていく。
そのあとをアルバートが峰打ち、槍を持った兵士たちに囲まれて戦意喪失、1分以内に地下牢は制圧された。
クリスはその牢獄で親しい人の顔を見つけた。
鍵が何故かぶち開けられて扉を開けるとその男に抱きつく。
「お父様」
「クリス」
男は驚いてクリスを抱きとめた。
「どうして、お前がここに。」
エルンスト・ミハイルは困惑した。
令嬢として育ててきたクリスが甲冑を身にまとって助けに来てくれたのに驚いた。
「えっ、まあ、いろいろありまして。」
クリスは誤魔化す。
「そんな、戦場に出てくるなんておかしいだろ。危ないじゃないか」
助けに来てくれたのはうれしいが、こんなにか弱い娘が戦場に出てくるなんて絶対におかしい。
「姉様。全員解放したよ」
ウィルが駆けつけてくる。
「ウイル。お前がいながらなぜクリスをここに来させた」
エルンストが怒鳴っていた。
「げっ」
ウイルが固まる。
「止めたけどどうしても行くって言うから」
ウイルが言い訳する。
「それを止めるのがお前の役目だろう」
エルンストが畳みかける。
「お父様。私にもやらなければいけないことがあるんです」
クリスの眉間にしわが寄る。
「いやね、クリス、しかし、かよわいお前が、」
「そうです。クリス嬢、ここはお父様の言われるように」
エルンストが言い訳するのに後ろから思わずオーウェンが言ってしまった。
「他国の王太子殿下は黙っていてください」
きっとしてクリスが言った。
「お父様もこれ以上言うと牢に閉じ込めますよ」
クリスが切れていた。
「・・・・」
「そんなクリス・・・」
呆然とする二人を無視して
「コールナ。半分の兵でここを警備。
残りは私と共に王弟のところに参ります」
クリスの前にウィルとアルバートを先頭にクリスは呆然とする残りを置いて外に出た。








