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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第三章 王弟反逆

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暴風王女暗殺される ?

ついに第三章突入です。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

昔クリスの曾祖叔母の王妃に母を殺されたと思っている王弟は母の復讐のために立ち上がります。クリスは果たして生き残れるのか。愛する人が心配なオウやアレクも加わって話は怒涛の展開になっていきます。

暗闇の中、女性が逃げていた。


その後ろを血まみれになったナイフを持った男が追いかけていた。

女性は足がよろめいて転んだ。

男はにやっとしてナイフを振り上げた。


「やめろ!」

ヘンリー・マーマレードは叫んで自分の声で飛び起きた。


息が荒い。


体は汗まみれになっていた。


ヘンリーは自分の領地ホーエンガウの城の寝室にいた。


「またこの夢か。」

自分の母をロボク・ミハイルが殺す夢だ。

外はうっすらと白くなりつつあった。

そのまま起きて部屋を出る。


「殿下。お早いですね。」

部屋を出たところで侍女長のマルガリータが驚いて声をかけた。


「お前もな。まだ夜も明けておるまい」


「最近は夜の明ける前に目が覚めるのです。」


「年よりは早起きか」

思わずヘンリーは笑った。

「まあ、殿下もお口が悪くなられて」

思わず非難する眼差しになるが、

「お互い様か。」

二人は笑い合った。


傲慢なヘンリーも自分が5歳の時からついてくれているマルガリータの前ではその舌鋒も鋭さは無かった。


「早く起きたので、王都に行く前に久々に母の墓に参りたいのだが」

ヘンリーはいつもの日課のような口調で言った。


「了解いたしました。すぐに花束をご用意いたしますね」

慌てて、マルガリータは先に階下におりていく。


「これは殿下お早いお目覚めで」

侍従長のダニエルが階下でヘンリーを出迎えた。


「お前はいつもか」


「はい。もう今では夜明けとともに起き、日没とともに就寝しておりますな」

ダニエルはヘンリーが生まれた時から傍にいてくれる人間だった。

そのダニエルの話を聞き流しながら、月日のたつのは速いと思った。

昔はダニエルも少年だったのが、今や老人と言える年代になっていた。


「昼には予定通り王都に向かう。」

改めてヘンリーは言った。


「さようでございますか。」

そういうダニエルの視線が心なしか揺らいだ。


「後の事はよろしく頼む。」

その年おいた肩に手を置いた。


「心置きなくお出かけくださいませ。」

ダニエルは一礼した。


そこへ外から花を摘んで花束にしてきたマルガリータが帰ってきた。


「殿下。こちらで宜しいですか。」


「ありがとう。マルガリータ」

ヘンリーはマルガリータから礼を言って花束を受け取った。


「滅相もございません。」

マルガリータは礼をして見送る。


ヘンリーはそのまま扉を開けて城の外へ出て行った。


その後ろ姿を涙しながらマルガリータは見送っていた。




ホーエンバウの城を出てその裏の丘を登る。

徐々に周りは明るくなってきた。

そしてその丘の上にその墓は建っていた。


目の前にホーエンバウの美しき古城を眺める丘の上に。

白い十字のたもとに花束を置いてヘンリー・マーマレードは跪いた。


「母上。ついに母上の恨みを晴らす時が来ました。」

母を慰み者にして殺したロボクはノルディンの小僧に先に抹殺された。

そうけしかけたエルフリーナ、散々母上をいじめたエルフリーナは病没してしまっていた。

自ら手を下せなかったのは痛恨の極みだが、その息子ジョージがいる。


しばらくヘンリーは母の墓をただひたすら見つめていた。

母エイミーはヘンリーにはやさしかった。

元々正妃エルフリーダの侍女で18歳の時に王の手がついてヘンリーを身ごもった。

エルフリーダは名門ミハイル侯爵の長女で魔力も強かった。

前王アルフレッドとは学園の同期で卒業と同時に結婚。

2年後に現国王ジョージ誕生。その産褥期にアルフレッドの手が侍女のエイミーについた。


それを知った正妃の嫉妬はすさまじく、苛め抜き、ヘンリーが6歳の時に死んだ。

駆け付けたヘンリーの前に母はもうこと切れていた。

その前にいた正妃の弟のロポックはヘンリーに首を振った。


「お前がやったのか」

叫んだヘンリーを見て首を振ると

「止められなくて申し訳ありませんでした」

ひるんだように逃げて行った。


真相は判らない。

殺人鬼として捕まった男はミハイル家の家人だった。

しかし、正妃やその弟、あるいは兄の先々代ミハイル侯爵が何らかの関与があったのは確実だろう。

その彼らは処罰されることは無かった。



そのあとも妾の子とか不義の子とか言われて周りには白い目で見られながら育ってきた。

ぬくぬくと育ったジョージとエルフリーダと同じように育ち王家に入ろうとしたクリスは許せなかった。


その事を阻止は出来たが、痛いしっぺ返しで、王位継承権は剥奪された。

しかし、今回の蜂起で全ての仕返しはするつもりだ。


「ヘンリー様。どうしてもやられますか?」

その後ろにいつの間にかエドウィン・ノーマン中央師団長が立っていた。

ヘンリーとは学園時代からの友人だ。

ノルディン侵略戦の時に亡くなったモルケトと3人でよく学園を抜け出して遊び歩いたものだった。


「もう今やるしかあるまい。」

ヘンリーは淡々と語った。


「嫌ならいいぞ。

別について来なくても恨みはしない」

振り返ってヘンリーは言った。


「何をおっしゃいます。

王立学園からの腐れ縁ですよ。

今更裏切ったりはしません」

エドウィンは笑った。


「モルケトは志半ばで果てましたが、私は最後まで付き合いますよ」

はっきりと言った


「そうか、最後まで付き合ってくれるか」

ヘンリーは立ち上がった。


その二人を強い風が襲った。


風は墓の前に置いた花束を巻き上げた。


そのまま花束は風に巻き上げられて空高く舞い上がっていった。


その先をずうーっとヘンリーの目は追っていた。







一方その頃王宮の謁見の間では国王の前にジャンヌが跪いていた。


「ジャンヌ・マーマレードよ。

これよりその方を魔導第一師団師団長に任命する」


「はっ、謹んでお受けいたします。」

礼儀作法通りにジャンヌは受け答えする。


「どうした。らしくない態度だな」

しおらしい態度に思わず国王が軽口をたたく。


「思うところがありましたゆえに」

らしくない反応でジャンヌが応える。


「そうか、クリス嬢に少しは感化されたか」

国王は笑う。


「御随意にお考え下さい。」

ジャンヌはかわした。

「北方の守りはいかようにすれば良いでしょうか。」


「コーフナーとも相談したが、基本はお前の部隊と第二魔導中隊を入れ替えるつもりだ。」

ジャンヌの問いに国王が応える。


「王女殿下が逃げられたので、お話しできなかったのですが、既に魔導第二中隊の準備は出来ております。魔導第二中隊を率いて北方へ行って頂き、引継ぎ等していただければ幸いです。」

嫌味をこめてコーフナーが言った。


「えっ率いていくのか」

転移ならそんなに時間がかからないのに、魔導部隊を率いるとなると少なくとも3日はかかるだろう。


「魔導第二中隊の実力を知る上でも宜しくお願いいたします。

そんなに姫の足手まといにはならないはずですから。」

一応魔導第一師団はエリートの一団、独立中隊には劣るが、その中でも精鋭だ。


「判った。置いていかないように善処しよう。」




*****


そして2日後、


ジャンヌは空を飛行していた。


1日目は走ったりとんだりの繰り返しで半分まで来た。

そこまでは何とかついてきた第二中隊の面々だったが、流石に2日目になると次々に脱落。

一人で行くわけにもいかず、地上で少し待つことにした。


全然来ないので少し戻ることにす。

戻る事1キロで第二中隊長ジェルフィードはじめ5人ほどがへばっているのが見えた。


「ジェフィールド大丈夫か」

ジャンは仕方がないと手を貸して起こそうとした。

その手を握りつつゆっくりと起き上がり、

その起き上がり様に逆の手で剣をジャンヌの胸に突き刺していた。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
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■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

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【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

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『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

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の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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