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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 大国での失恋

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大国皇太子は諦めない

その頃オーウェンは調印の終わった宿屋で突っ伏していた。

力なく笑うその瞳は死んでいた。


「いつまで死んでいる」

暇なので外に繰り出そうと呼びに来たアレクはその様子に驚いた。

オーウェンの従者に聞くとずうーっとこの旅の間中こんな調子なのだという。


「なんだ、クリス嬢に振られてそんなにショックか?」

喜んでアレクは言う。

それでこそ、いろいろ尽力した甲斐があったというものだ。


「ふんっ貴様がいろいろ邪魔してくれたからな。本来なら今頃、クリス嬢の心を掴めたかもしれないのに」

ぶすっとオーウェンが言う。


「まあ、オーウェン、女は他にもいる。パーティーの時にも令嬢たちに大変な人気があったではないか」


「ふんっお前はいいよな。好きなジャンヌと一緒にいられて」

アレクはいい加減に頭にきた。

うじうじ女々しい。

本来ならばここまで努力して邪魔してきたのだ。

更に一押しして完璧なまでに叩き潰すのが基本のはずだった。

しかし、あまりな女々しい態度にピキッと切れてしまった。

一人で腕枕していたその腕を思いっきり突く。


オーウェンの頭がバキッと落ちた。


「何しやがる」

プッツンきれてオーウェンが飛び起きた。


「うじうじうじうじ、女々しい!一回振られたくらいでうじうじするな!俺なんて何百回とジャンヌに申し込んでそのたびに振られたんだぞ。最近でこそやっと少しは返事してくれるようになったけど、最初は無視、ばい菌扱いだったんだぞ。

それを1回振られたくらいで、諦めるくらいなら、やめちまえ」

アレクは言った瞬間、やってしまったと思った。

このままうじうじさせておけばよかったんだ。


「そうか、女たらしのおまえでも、ジャンヌはなかなか難しかったのか。」


「今でもまだ恋人認定はされておらんわ」

アレクはやけで叫んでいた。


「今日は付き合え」

二人は初めてとことん飲んだ。


アレクはジャンヌの愚痴に始まって皇帝の愚痴、兄弟の愚痴、足の引っ張り合い等の愚痴を。


オーウェンはクリスの愚痴を。父の愚痴を。


そのへべれけな様子に、両国の従者は唖然とし、トリポリ王は二人に召使のように、こき使われ、愚痴のはけ口にされた。




翌朝、珍しく二日酔いで頭の頭痛で起き出したアレクの前に既にオーウェンはいなかった。


とてもやる気を出して全力で帰って行ったらしい。


「あああ、やってしまった。」

アレクはここまでの苦労が水の泡になった事を知った。

でも、何故か心の中はすがすがしかった。



オーウェンは3日目の朝には王宮に帰ってきた。


夜通しほとんど駆け通し、100名いた従者のうち帰り着いたのは3名しかいなかった。


「父上!」

やっとついてきた部下たちは倒れ込んでいたが、そのまま食堂に乗り込む。


食堂ではみんな朝食を食べていた。

そこには皇太后もいた。


「この秋からもマーマレードの王立学園の留学を続けます」

絶対に国王にはダメだと言われていたのに、許可を求めるのではなく、既成事実として国王に話していた。


「この秋からは軍に入いるのでは無かったのか」

国王が怒っていったが、


「軍はいつでも入れます。今やらなけれりばならないことをやりに行きます」

一歩も引かずにオーウェンは言った。


「女にうつつを抜かす皇太子など、国民のだれが認める」

「やるからには何事も全力を尽くさない者に誰が従ってくれるというのですか」

オーウェンは真摯な目で父であるピーターを見た。


「よく言った。オーウェン。言った限り何年かかっても絶対にクリスを連れて帰って来るんだよ」

皇太后が言った。


「当然です」

オーウェンが返事する。


「母上」

ピーターが反論しようとするが、


「女にうつつを抜かすな、お前はよくそんなことが言えたね」

呆れて言う。


「そこの王妃の心を掴むまで、1年の留学期間を3年に引き伸ばしたのは誰だい?」


「母上そこは」

ピーターは慌てる。


「えっそうなんですか?」

オーウェンとガーネットが驚いて父母を見る。


「そうだよ。前の国王にはどれだけ怒られたか」


「その上、お前がクリスに渡した誓いの飾りをお前のお母さんの気を引くために渡したのはいいが、お母さんは犬の飾りにしたんだからね」

「お母様、若気の至りの事を」

キャロルが悲鳴に近い声で抗議する。


「ふんっ、それに比べてクリスはどうだい。それを犬ならぬ、反対派の筆頭の公爵に渡して永遠の誓いを引き出したんだから。

お前の父親は3年かけてやっと母親の心を掴んで帰ってきたはいいが、20年たったいまだに反対派がいるのに、あの子はどうだい。

滞在した10日も満たない間に反対派を悉く皆味方にしてしまったんだよ。

はっきり言って後はオーウェン、お前が好かれるかどうかだけだよ。

1年や2年いなくてもクリスさえ連れて帰ってくればそれで国の安定は決まる。

心していっておいで!」

口の悪い皇太后がクリスについて最大限の賛辞を述べていた。


「はい、ありがとうございます」

オーウェンは皇太后に感謝した。


「ピーターもキャロラインもそれでいいね!」

「判りました」

二人は頷くしかなかった。


「では、急ぎますので」

そのままオーウェンは休む間もなく飛び出した。


「あいつほとんど寝てないんじゃ」

それを残された4人は呆然として見送った。


「ま、若いっていい事さね」

皇太后が笑って言った。

皆さん、ここまで読んでいただいてありがとうございます。

出来たら広告の下の☆じるしいくつでも良いので評価頂けたら幸いです。


次からはやっと王弟反逆です。

ジャンヌが刺される?

出来たら1日2回更新を続けます

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[一言] ガンガレ オウ(・∀・)
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