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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 大国での失恋

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クリスは大国の騎士を自分の部下にします

オーウェンは結局翌朝早く王宮を出発した。


クリスの姿を見る事も無く。

挨拶することも無かった。


一方クリスはそれからの5日間も怒涛の如くスケジュールを入れられて、大変だった。


軍部のいろんな人に紹介されて、自分の戦いの事をどれだけ知っているか聞かれたり、訓練を見学させられたりした。


お茶会にも母ともども何度も呼ばれたし、王立学院の見学にもガーネットと一緒に駆り出されたりした。


どこでもクリスは人気者だった。

女の子の関心は皇太子との恋愛がどこまで進んでいるのかが大きかったが・・・・

侍女たちとも仲良くなり、侍女の息子の面倒を見た等の噂が本当かとかよく聞かれた。


残り5日間の滞在が終わり、クリスは皆に惜しまれながらマーマレードへの帰途に就いた。


皇太后らには無理やり次のクリスマス休暇の訪問を約束させられたりしていたが…・

オーウェンにお別れの挨拶が出来なかったのが、唯一の心残りだった。


馬車の中からはイエーナの街並みが見えた。

オーウェンに連れて行ってもらった広場の傍を馬車は通った。

生まれて初めて市井に遊びに行けて楽しかったなとクリスは思い出していた。

生まれて初めてクレープなるものも食べられたし、食べ歩きもした。

冗談交じりに跪いて手を差し出すオーエンの姿を思い出していた。

でも、最後は手を差し出してくれたオーウェンを振り切ってしまった。


マーマレードの学園の3年生の1学期はエドに無視されてとても寂しかった。

でも、いつも勉強しているオーウェンが傍にいた。

今よく思い出してみるとそのオーウェンがいたからやって来れたという面もあった。

でも、そのオーウェンも来学期はいない。

そう考えると無性にクリスは悲しくなった。

涙が一筋、落ちてきた。


「姉様」

ウィルは慌ててクリスを見た。

オーウェンと何かあったのは判っていた。

でも、姉が泣くなんて。


「ううん、何でもないわ」

クリスが慌てて涙を拭いて笑った。


「姉様。誰かが姉様を泣かしたのならただではおかないけど。」

ウィルが剣に手をかけて言う。


「ううん、今回悪いのは私なの。オウは何も悪くないわ」

クリスが思わず言う。


シャーロットはウイルを見て首を振った。

ウィルはどうしていいかは判らなかったが、

オーウェンが必死に姉にアプローチしているのは知っていた。

それを姉が断ったのは当然だとは思っていたが、姉が悲しいのならば、また話は別だった。

姉がもしオーウェンを選ぶのならば、その時は諦めよう、

この時ウイルは心に誓った。


馬車の中は静かだった。


クリスは車窓から近衛の中に知っている顔を見つけた。


近衛の中でも優秀と言われているアルバート・バーミンガムがわざわざ送りの部隊の中にいるなんて。クリスは公爵の好意を感じた。


近衛隊に送られて、ハイリンゲンの港街に帰ってきた。


侯爵家の船の前で別れる時に、アルバート・バーミンガムが一人クリスの前に進み出た。


代表で挨拶するのだろうとクリスは思ったのだが、


いきなりクリスの前に跪いてクリスを驚かせた。


「アルバート・バーミンガムはここに、クリスティーナ・ミハイル様に永遠の忠誠を捧げる事を誓います」

と突然騎士の誓いを立てたのだ。


「えっ何をおっしゃっていらっしゃるの?」

クリスは驚いた。というか訳が判らなかった。

だってアルバートはドラフォード軍の中でも前途洋々の若者だ。

それがマーマレードの一侯爵令嬢の騎士になるなどあり得なかった。


「今より、クリス様の騎士になりました。」

アルバートがしれっと言う。


「おい、姉様の騎士は俺だけだぞ」

ウィルが横から言う。


「ウィリアム殿は軍属の身、なかなかクリス様の側にはいらっしゃれまい。これからは私が学園でもクリス様に添わせていただきます。」


「あなた、ドラフォードの近衛騎士でしょ」

クリスが言う。

「なんで私につくの?」


「失礼ながら最初お会いした時は、こんな小娘に父は誑かされてと、耄碌したなと思いました。でも、お話ししているうちに、私でも存じ上げない自国の戦いの事をすらすら話されてドラフォードの誇る将軍たちを魅了された事に驚きました。そして、マーマレードにて、兵士や侍女たちになされたことに、その努力していらっしゃることに感動した次第です。


私の忠誠を捧げる人はあなたしかいないと」


「一介の侯爵の娘に、それも婚約破棄されて今後どこも行く予定はないのよ。ドラフォードの皇太子殿下とも何もないのよ。単なる行き遅れの娘の騎士になってどうするの?」

現実をクリスがはっきりと言う。


「それは単にマーマレードの皇太子に見る目がなかっただけで、

ドラフォードの皇太子があなたに気に入られなかったら、ドラフォードもそれまでの国。

あなた様が今後なされる事のお手伝いが出来たら騎士として、騎士冥利に尽きます」


「例えあなたがそう思ったとしてもよ。私は全然思わないけれど、あなたはドラフォードの王族に忠誠を誓って騎士になったんでしょう。それはどうなの」


「私は騎士の誓いは戦神シャラザールに忠誠を誓ったのであってドラフォード王国に忠誠は誓っておりません」


「でもそれは建前でしょ」


「建前という事でしたらドラフォードの皇太后さまから、クリス様の騎士になるお許しをいただきました。そもそも、我が公爵家は父がクリス様に忠誠を誓わせていただいております。父と皇太后さまの命により、クリス様に添わせていただくことになりました。

更には既にミハイル侯爵様の許可も得ています。」

アルバートは次々に決まった事を述べていく。


「いや、でも、」

クリスは途方に暮れた。


皇太后と公爵が決めていて、それも父もすでに認めている。

外堀は全て埋められていた。


「既に王立学園の入学の許可も頂いております。

赤い死神には勝てないかもしれませんが、それなりの力はあります。」

アルバートは更に言いつのる。


「クリス、お父様もうちは侯爵家でしかないから公爵家の方を護衛などにできないとお断りなされたのだけれど、どうしてもという事で認められたの。だからクリスあなたももう認めてあげるしかないわ」

シャーロットがダメ押しの言葉を添える。


クリスの前にもう一度アルバートは跪く。


「クリス様、ご承認を」

アルバートは下から真摯な視線をクリスに向ける。


「判りました。アルバート・バーミンガムを私の騎士として認めます。」

クリスはアルバートの手を取った。


「でも、いやになったらいつでもやめて良いからね」


「申し訳ありませんが、既にクリス様の騎士となりました。今後は行かれるところはどこへでも、たとえ地獄まででもお供します」

アルバートはクリスの初めての専属騎士となった。


それをウィルは嫌そうに見ていたが何も言えなかった。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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