戦神は閻魔を退治しました
地獄、本来、人は来たがらない。
罪を犯したことがないものも来たがらない。
罪人ならば当然避けたいところだ。
当然シャラザールでさえ、自ら進んで来たいとは思ったことはなかった。
まあ、過去二回脱獄したことはあるが……
そのシャラザールはオオクニヌシらを従えて門の前に立った。
門はピタッと閉じられていた。
シャラザールはオオクニヌシを見た。
「我は天界の警察長官のオオクニヌシである。直ちに門を開門せよ」
オオクニヌシが叫んだ。
しかし、門は全く動かなかった。
「もう一度言う。我は天界の警察長官のオオクニヌシである。直ちに門を開門せよ」
オオクニヌシが叫んだ。
「何が天界なんだか、今この地は閻魔様の物で……」
門の上に鬼達が現れた。
「げっ! しゃ、シャラザールが出たぞ」
門番はオオクニヌシではなくて、シャラザールを見て悲鳴を上げた。
「脱獄犯のシャラザールが現れたぞ」
大声で中に伝える。
「なんだと」
「自ら地獄の裁きを受けるために帰ってきたのか?」
「あのじゃラザールがそんなことする訳ないだろう」
「判った。ついに地上を全て制圧して、今度は地獄まで支配下に置こうと攻め込んできたんだ」
「な、なんだと!」
門の上にわらわらと鬼共が現れた。
「き、貴様シャラザール! 何しに来たのだ!」
そこに閻魔がやっと現れた。
「おお、閻魔か。その方ついに邪神ゼウスについたそうじゃな」
「ゼウス様は貴様と違って我に優しいのじゃ」
「ふんっ、噂によると、貴様は地獄の悪人に刑罰を与えず、地上に帰しているそうではないか。代わりに善人を地獄に落としているとか。天の理を歪め、悪に加担するか。落ちぶれたものじゃの、閻魔」
シャラザールはぎろりと閻魔を睨み付けた。
「なんとでも申せ。貴様にこの門は通させん」
閻魔が目を怒らせて言った。
「ふんっ、既に2回、地獄の門は破っておるし、3回目も容易いわ」
シャラザールが言い切った。
「何を申す。我は昔と違ってパワーアップしたのじゃ」
「パワーアップならば余もしたぞ」
シャラザールはにこりと笑った。
アレクが傍にいたら直ちに逃げ出すほどそれは不敵な笑みだった。
思わず閻魔がたじろぐほどの。
「ふん、破れる物なら破ってみれば良いわ」
閻魔は気丈夫にもそう叫んでいた。
「では参るぞ」
シャラザールは剣を抜いたのだ。
「ライトニングブラスター」
そして、振り下ろした。
シャラザールの剣からは凄まじい光の奔流が走り、それは地獄の門を直撃した。
ドカーーーーーン
凄まじい閃光と凄まじい爆発が起こった。
そして、爆煙の消え去った跡には地獄の門は跡形もなく消えていたのだ。
「お、おのれ、良くも地獄の門を三度も壊してくれたな」
破片の中から頭を振って閻魔が現れた。
その体からは黒いおどろおどろしいオーラがもくもくとと現れていた。
「閻魔、貴様ゼウスと一緒で闇堕ちしたのか」
シャラザールはつまらなさそうに言った。
「そうだ。ゼウス様は我らに道を示して頂けたのだ」
「ふんっ、何が道だ。ふざけるな! 闇に染まるということは、天に唾はく行為ぞ! 例え天が認めたとて、余が目が黒いうちは許さん」
シャラザールは剣を再度抜き放った。
「ふん、シャラザールよ。我も今までとは違うぞ。今回は負けん」
にやりと閻魔が笑った。
「必殺、闇のスーパー一撃!」
閻魔が叫ぶとおどろおどろしいオーラが閻魔の周りを一瞬で渦巻き、巨大化する。
そして、巨大な暗黒の塊が一斉にシャラザールに襲いかかったのだ。
シャラザールは一瞬で暗黒の闇に飲み込まれた。
「シャラザール様!」
思わずオオクニヌシが声を上げていた。
「わっはっはっはっは」
閻魔は高笑いした。
「思い知ったか! シャラザール、我が力を!」
そう言うと今度はオオクニヌシ等を睨み付けた。
「これで、オオクニヌシ、貴様も処分してくれるわ」
そう叫んで閻魔が笑った時だ。
ドカーーーン
と言う大音響と共に、シャラザールを取り巻いていた暗黒の闇が霧散した。
そこには光り輝く宝剣と共にシャラザールの姿があったのだ。
「シャラザール。貴様、我の必殺技が聞かなかったのか?」
唖然として閻魔が叫んでいた。
「ふんっ、しゃらくさい。あのような弱い魔術が余に効くなど1万年早いわ」
そこには余裕のシャラザールの姿があった。
「おおおお、シャラザール様ご無事で」
オオクニヌシ等は喜んだ。
「そ、そんな馬鹿な。闇の最高魔術が」
ブツブツ呟く閻魔がいた。
「では、次は余から行くぞ!」
「いや、待て、話せば判る……」
閻魔が必死に命乞いを始めたが、動き出したシャラザールは止まらなかった。
「喰らえ、必殺光の一撃!」
そうシャラザールは叫ぶと光り輝く宝剣を振り下ろした。
その瞬間、宝剣が一閃、凄まじい光の奔流が閻魔に襲いかかった。
「ギャーーーーー」
閻魔の悲鳴とともに、光の一撃は閻魔を包み込むと
ドカーーーーン
大爆発を起こしたのだ。
光の奔流が終わった後、閻魔の姿は影も形も残っていなかった。
そして、後には唖然と突っ立っていた鬼達とそれを呆然と見ていたオオクニヌシらがいたのだ。
「その方等もこうなりたいのか」
鬼達に向かってシャラザールが言うと
「いえ」
「滅相もございません」
「シャラザール様」
「地獄の門番シャラザール様」
全員、あっという間にシャラザールに平伏したのだった。
ここに地獄の門はシャラザールに制圧されたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次は死んだ悪党マルス達です。
地獄の制圧にシャラザールの剣が光ります。
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