魔神復活で戦神が碌でもない事を考えつきました
「うん、酒はうまいな」
シャラザールはアレクがクリスから取り上げようとした酒を飲み干した。
「クリスも匂いをかいだだけで酔うなんて弱すぎるだろう」
ジャンヌがブツブツ言ったが、
「ジャンヌ何か申したか?」
「いえ、何でもありません」
シャラザールに睨まれて慌ててジャンヌは否定した。
「で、オオクニヌシ、どうしたのじゃ? その方が天界から降りてくるなど、大問題でも起こったのか?」
「問題はいつも起こっておりまする。そろそろシャラザール様にも天界に帰ってきて頂けませんと……」
オオクニヌシが苦情を言い出した。
「そんな文句を言うためにわざわざこの地に来たのか?」
シャラザールはつまらなそうに聞いていた。
「オオクニヌシ様! 本題を」
「そうじゃった。実はシャラザール様。大変なことが起こったのです。閻魔がゼウス様に寝返りました」
ジャルカに指摘されてオオクニヌシは慌てて本題を話し出した。
「なんと、あやつ、生意気な奴だとは思ってはおったが、ついに裏切ったのか?」
「裏切ったのかではございませんぞ!」
シャラザールのどうでも良い返事にオオクニヌシは少し怒りだした。
「なんじゃ。何か問題でもあるのか?」
「問題があるかではございません! この前、シャラザール様達が苦労して退治なさったマルス等が全員生き返ったのですぞ」
オオクニヌシが完全に怒って言った。
「なんですって!」
机の山からアレクの驚きの声が聞こえた。
「と言うことはこの前必死に退治したアフロディアら邪神達が復活したのですか?」
ジャンヌも慌ててオオクニヌシに聞いていた。
「ふんっ、下らん。それならば再び退治すれば良いだけではないか」
何でもないようにシャラザールが流してくれた。
「シャラザール様! 敵は死んでも死んでも生き返るのですぞ。我らがいくら倒してもきりがないではありませんか!」
「それにこちらが死んだら二度と生き返れないと言うことなのですよ」
アレクとジャンヌが叫んでいた。
「うーん、それはその方等が、まだまだなっとらんからではないか? 雑魚はいくら相手をしても雑魚じゃぞ」
シャラサールがぎろりとアレクとジャンヌを睨み付けた。
「いえ、滅相もございません。我々は日々訓練をしております」
「そうです。シャラザール様。日々訓練することにより、更に能力アップいたしました」
ジャンヌに次いでアレクも言い訳し出した。またシャラザールの訓練に付き合わされてはたまったものではない。二人ともそう思ったのだ。
「本当か?」
シャラザールは再度二人を睨んだ。
「我らはそうですが、クリス様を守りたいと言っているオーウェンはまだまだです」
いきなりアレクがオーウェンに振ったのだ。
「な、何をいきなり俺に振るんだ!」
オーウェンが慌てたが、
「さようでございます。オーウェンはなかなか訓練できておりません」
ジャンヌまで言ってくれた。
「さようか、まあ、クリスを守りたいと言うのは殊勝じゃが」
シャラザールが自らの顎を撫でて考えた。
「さようでございますよね! シャラザール様! 戦神シャラザール様も私とクリスのことを認めて頂けますか」
オーウェンは先走りすぎた。
「愚か者!」
そこにシャラザールの雷が落ちた。
「貴様になんぞ、クリスの相手するにはまだ百年早いわ。クリスのパートナーになりたければ余を倒してみよ」
「はい? そんな! シャラザール様に勝てるなど不可能ではありませんか!」
オーウェンは絶望した。
「なんじゃと貴様、やる前から諦めるのか」
しかし、その言葉は更にシャラザールの怒りに油を注いだのだ。
「シャラザール様。今はそのようなことよりも地獄をどうするかです」
そこにオオクニヌシが仲裁に入ってくれて、オーウェンはシャラザールから張り倒されるのをなんとか免れた。
「それはそうじゃが、その前に。此奴等の根性をたたき直さねば世の気が済まん」
「「「えっ!」」」
全員絶望の視線をシャラザールに向けた。また徹夜の訓練がこの朝から始まるのかと思うとうんざりしたのだ。
「うん?」
全員を集めよと叫ぼうとして、シャラザールは違和感を感じた。
オオクニヌシとジャルカもだ。
「何か変なおぞ気が走りましたな」
ジャスティンが声を上げた。
「そうか、その方も感じたか?」
シャラザールは考え込んだ。
「これはゼウスが魔神になったか」
シャラサールは呆れたように言った。
「しかし、そう簡単に邪神から魔神に変われるものではありませんぞ」
オオクニヌシが青くなって言った。
「さようでございますな。余程の悪事を働きませんと難しかろうかと」
ジャルカも頷いた。
「ひょっとしてゼウスの奴、蘇らせた部下を全員殺したのか?」
「ま、まさかそのような」
シャラザールの声にオオクニヌシは否定しようとした。
「しかし、それくらいしか魔神になる方法は考えられまい」
「殺した奴らも地獄を支配しておれば、すぐに生き返らせることは可能ですな」
シャラザールにジャルカが頷いた。
「まさか、ゼウス様がそのようなことをするとは……」
「諦めよ、オオクニヌシ、所詮奴は魔神じゃ」
シャラザールは言い切った。
「そんな……」
オオクニヌシは絶句していた。
全能神だったゼウスが何をやってくれるのだ! オオクニヌシとしては許せることではなかった。
「シャラザール様、いかがなさいますか? 地獄に落ちた奴らがまたすぐに復活してしまいますが」
「ふんっ、それも面白くないな」
そう言うとシャラザールは少し考えていた。
「判った。そうじゃな。余が良いことを思いついたわ。これで地獄に落ちた奴らも魔神ゼウスにも目にもの見せてやるわ」
喜々としてシャラザールが言い出した。
アレクとジャンヌは顔を見合わせた。そして、二人してため息をついたのだ。
二人には判っていたのだ。シャラザールの考えることなんてどうせ禄でもない事だと……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きは今週末の予定です。
お楽しみに。
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