怪力妖怪と雪女を正義の騎士が叩っ斬りました。
ジャスティンら60名は宮殿の地下牢の入り口に向かって走っていた。
途中現れたノルディン兵を次々に切り捨てる。
その先頭を走っていた騎士が突如目の前に現れた男に斬りかかる。
しかし、男はニタリと笑うと、その男の剣を手で受け止めたのだ。
「えっ」
騎士は驚いた。
その瞬間男が騎士を殴り飛ばしていた。
「わっはっはっはっ。我はヘラクレス。貴様らのような下賤なものにはこの先は行かせん」
両手を腰に当てて大声でヘラクレスは叫んでいた。
そして、その横には
「わらわは雪の女神じゃ。貴様らは今日ここに氷漬けにしてやるわ」
クリスが倒したはずの雪女がヘラクレスに寄り添うように立っていた。
「我ら二人の愛の巣を邪魔する奴らは一人たりとも許さん」
「ヘラクレス様。さすが私の未来の夫ですわ」
「あなたこそ、男女のシャラザールに比べてなんと美しいことか。このヘラクレス、あなた様の美しさに感動いたしました」
ヘラクレスが雪女を抱き寄せる。
何の茶番なんだ。騎士たちは唖然とそれを見ていた。
それはたしかにシャラザールはガサツで自分勝手、しかし、その肉体は引きしまっており凛々しさを周りに撒き散らしていた。その凛々しさに思わず平伏してしまう騎士たちも多くいた。そのあまりにも恐ろしさのあまり、男どもはまともにシャラザールの姿を見れなかったが。
雪女は最近地獄で苦労したのか、更に老け顔になっていた。昔は美しかったであろう顔もシワだらけになっていたし・・・・
どう見ても見た目はシャラザールのほうが良いように思えるのだが・・・・・最もその恐怖には耐えられないと皆思っていたが・・・・
「どうされますか」
年嵩の騎士が聞いてきた。
「よし、ここは私がやる。他はバカっフルを無視して地下牢に降りて救援に当たれ」
ジャスティンが命じた。
「貴様らを通すと思っているのか」
「左様じゃ」
二人はいちっいちゃしながらヘラクレスは走ってくる男たちに手を広げ、雪女は氷漬けしようとした。
「喰らえ」
次の瞬間、ジャスティンは斬撃を二人に放つ。
斬撃が二人を襲った。二人は避けて飛び上がる。その間に騎士たちは地下牢に突入していく。
慌てて追いすがろうとする二人にジャスティンが斬りつけた。
ヘラクレスは鍛え上げた手で防ごうとする。
雪女は氷の剣で受けた。
「ヘラクレス様。素晴らしいですわ。この野蛮な者の剣を素手で弾かれるとは」
「いや、あなたこそ、氷で防がれるなどなんと素晴らしい」
入ろうとする兵士たちを知り目に二人はニヤける。
「隙あり」
ジャスティンは剣でヘラクレスに切りつけた。
ヘラクレスが弾き飛ばされて宮殿に突入する。
「き、貴様、何をするのじゃ」
怒った雪女は吹雪をジャスティンに見舞った。
ジャスティンは避ける。
雪女は次々に吹雪を放った。
その度にジャスティンは避ける。
雪女はそれを追いかけた。
「ええい、しゃらくさい」
雪女は両手を広げると巨大な吹雪を巻き起こし、一気にジャスティンに襲い掛からせる。
そして、壁から抜け出てきたヘラクレスがジャスティンに掴みかかった。
ジャスティンは剣で斬りつけようとしたが、その剣をなんとヘラクレスに握りつぶされたのだ。
「ははは、そこの小僧。儂が今退治してくれるわ」
ヘラクレスはニヤリと笑った。
後ろに逃げようにもそこには吹雪を撒き散らした雪女がいた。
しかし、ジャスティンはニタリと笑った。
「皆、中に入ったようだし、そろそろ本気を出させてもらおう」
「何だと。強がりもいい加減にしろ」
「斬っ」
ジャスティンはヘラクレスの言葉を無視して、先が無くなった剣を握りしめると一気に振り下ろした。
その瞬間光の剣が出現し、ヘラクレスに振り下ろされた。
手で止めようとしたヘラクレスの手もろともジャスティンは斬り下ろした。
「ぎゃっ」
ヘラクレスは吹っ飛んでいった。
「ヘラクレス様」
雪女が叫ぶ。
「おのれ、妾のヘラクレス様に良くも」
雪女は最大の吹雪をジャスティンに叩きつける。
ジャスティンはそれを光の剣で受けた。
「妖怪よ。お主も地獄に帰れ」
「な、なんじゃと」
ジャスティンが剣を振りかぶって、雪女に向かって振り下ろす。
斬撃が吹雪を切り裂きながら雪女に向かった。
せっかく蘇った妖怪雪女はジャスティンの一刀の元真っ二つに斬られていた。
「ギャーーーー」
悲鳴を残しながら。
怪力妖怪ヘラクレスと雪女は正義の騎士によって成敗された。








