400話記念閑話 クリスは胸の大きさで悩んでいます
クリスは胸の大きさに悩みます。
それを見た瞬間クリスは固まった。
オウが胸をはだけた雪女に抱かれているのを。
雪女は大きな胸をクリスに見せびらかすように服から出してオウの顔を胸に押し付けていた。
怒りのあまりその大きな胸からオウを引き離したクリスの目の前のオウは、呆けた、あたかも天国にいるような幸せそうな顔でよだれを垂らしていた。
その瞬間クリスはオーウェンの頬を思いっきり張っていた。
クリスは男の子らがよく胸の大きさを話題にしているのも知っていた。
女性らの中でも胸の大きさでキャッキャ話をするくらいだ。
そんな中、クリスは、自分でも胸の大きさには自信は無かった。
どちらかと言うと小さい方だとは知っていた。
でも、今まではそんなに気にした事はなかった。
でも、オウが大きな胸に抱かれて幸せそうにしているのを見て、判ったのだ。
男は大きな胸が好きだということを。
そして、それが判ってどうしようもない怒りが爆発した。
「オーウェンも馬鹿だよな。あんな胸だけ女の虜になって」
現場検証が終わって、まだ、クリスはムカムカして切れている所にウィルの声が聞こえた。
「やっぱりオーウェン様も大きな胸が好きだったんだな」
「そらあ、そうだろう。胸は大きいほうが良いよ」
アルバートとウイルはそう言うと笑った。
「そう、あなた達も大きな胸が好きなのね」
氷の笑みを浮かべて二人の後ろにクリスが立っていた。
「く、クリス様」
「えっ、姉様」
二人は驚いて後ろを振り返った。まさかクリスが後ろにいるとは思ってもいなかったのだ。
「そんなことはないです」
「ボクも姉さまの胸も小さくて好きです」
「あっ、馬鹿」
「何バカにしているのよ」
気が立っているクリスは二人にももみじマークを炸裂させた・・・・・・
「何だクリス。胸の大きさを気にしているのか。胸なんてでかいと戦闘の時に邪魔なだけだぞ」
ジャンヌが物知り顔で言う。
しかし、その胸は大きかった。
「お姉さまは胸の小さな人の苦労を知らないから言うんです」
クリスが怒って言う。
「でも、クリス様。大きさなんて関係ないですよ」
ライラも言うが、彼女は背は小さいが出るところは出ていた。
「そうよ。クリス。あなたの母のシャーロットなんて昔は本当に胸は小さかったんだから」
横からキャロラインが言う。
シャーロットは横で微笑んでいた。その胸は大きく存在感を示していた。
えっ、クリスもそこまで大きくなるのだろうか。
何しろ母親だし・・・・
クリスは一瞬希望に燃えた。
しかし、あそこまで大きくなるのだろうか?
クリスは一抹の疑問を持った。
「キャロライン様。その胸の小さいときって母の子供の時じゃないですよね」
「違うわよ。14歳にはなっていたわよ。でも、それからどんどん大きくなっていったのよ。」
そう言いながらキャロラインは今のクリスの年がいくつだったっけと少し不安になった。
「クリスは今いくつになったの?」
「私はもう20に近いです」
ブスッとしてクリスが言った。
「あらそう・・・・・でもこれからよ」
クリスの胸元を見て、一瞬言葉に詰まりながらキャロラインが必至にフォローした。
「まあ、クリス、そんなに気にしなくても子供が出来たら胸は大きくなるわよ」
母のシャーロットが横から口を出してきた。
「そう、うちの息子と結婚して子供を産んでくれたらすぐに大きくなるから」
キャロラインは強引にオーウェンに話を持っていく。
「キャロライン様。結婚する以前に、オーウェン様は胸の大きな人が好きみたいですから、私のように胸が小さい女にはご興味がお有りではないと思います」
クリスはそう言うと足音も顕にその場を去っていった。
「えっ、シャーロットなんとかしてよ」
キャロラインは慌ててシャーロットに取りなしを頼んだ。
「キャロライン様。娘がああなったらしばらくどうしようもありませんから、ほっておきましょう」
「えええ、シャーロット、そんな事したら今回の訪問中に話がまとまらないじゃない」
「まあ、仕方がないではありませんか。なるようにしかなりませんから」
諦めてシャーロットは肩を竦めた。
クリスは怒りにドタドタ足音を立てて歩きながらここに誓っていた。
あの胸だけ雪女、どんな事をしてでも退治してやると。
幸せにほおけて雪女の胸に顔を埋めているオウの姿が脳裏に浮かぶ。
クリスの怒りに震えた手に握られた護身用の剣がぐにゃりと紙くずのように丸められていた・・・・・
ついに400話を迎えることが出来ました。
ここまで書き続けられたのは読者の皆様方のおかげでございます。
本当にありがとうございました。
誤字脱字報告いただいている方々、感想頂いている方々も本当にありがとうございます。
ブックマーク、評価頂いている方々も本当にありがとうございます。
1万ポイントにはまだまだ届きませんが、おかげさまで7000ポイントが近づいてまいりました。
ブックマークまだの方、評価まだの方いらっしゃいましたらしていただけたら幸いです。
これからも頑張って更新してまいりますので、よろしくお願いいたします。








