表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 大国での失恋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/480

王宮舞踏会1 クリスは大国皇太子と共に両陛下にご挨拶します

ついに王宮舞踏会の開始です。

1日2回の更新は難しくなってきましたが、出来る限り続けます

ドラフォード王国の王宮サマーパーティは盛夏に開かれる

この王国の夏のパーティでは最大規模のものだった。

参加者は1000名を超えた。


今回の最大のゲストはノルディン帝国皇太子とマーマレード王国第一王女であることは確かだったが、自国の皇太子が他国の侯爵令嬢を伴って参加することも話題の一つだった。


オーウェンは宮殿の控室で白い衣装に身を包んだ、クリスの手を取る。


「クリス、きれいだ」

感動してオーウェンは言った。

昨日のニックネーム呼びが定着ししてそのままクリスと呼べている事にもオーウェンは歓んでいた。


「ありがとうございます。

皇太子殿下。殿下も素敵です。」

カーキ色の例服に身を包んだ、オーウェンも大人びて立派だった。


「出来ればオーウェンと呼んでいただけると嬉しいんだが」

オーウェンはお願いする。

「そんな、こんな正式のパーティでは無理ですわ。

どなたが聞いているか判らないので。」

クリスは遠慮する。


「うーん、そうかな」

自分としてその方が周りによく判って良いと思うのだが、ここはまあ、自重しようと思った。


「クリス。この飾りをつけてくれないかな。」

キラキラ輝く、風車のような飾りをオーウェンは差し出した。


「まあ、きれい。キラキラしていて」

クリスはそれを見て言った。


「でも、これは私が頂くわけには。」


「いやっ是非ともつけてほしい。」

オーウェンは強引にお願いする。

昔父が、強引に母に送って気を引いたという代物だ。

何としてもクリスには付けてほしかった。


「じゃあお借りしますね。」

クリスが悪戯っぽく言った。

「いや、是非とももらって欲しいんだが。」

そのオーウェンの前には困惑したクリスの瞳があった。


「判った。とりあえずそういう事で。」

オーウェンがクリスの瞳に妥協する。

「じゃあお借りします。

でも、これだけキラキラしていると子供がいたら取られそうなんですけど。」

「取られたら取られたで、代わりはあるからいいよ。」

「えっ本当に宜しいんですか。」

「ああ」

今日来る子供って王族除いたらバーミンガム公爵の嫡孫だけだし・・・・

最悪渡しても問題ないはずだ。

もっとも受け取るなんて思ってもいなかったが。

それに母はこの飾りを犬につけさせていたという落ちもあるので子供に渡しても問題ないだろうとオーウェンは思って渡した。



二人は会場に入ると皆の注目を一身に浴びた。

白い衣装に金髪、青い瞳のクリスは地上に降り立った女神のようだった。

いや、恐怖の戦神だと後ろをジャンヌをエスコートして歩きながらアレクは思っていたが。

そう思う人間は少なかった。


意気揚々と歩く皇太子にはまだ婚約者はいない。

その座を目指して何人もの令嬢が励んでいたが、ここで大敵出現とばかりに皆の視線はクリスに厳しかった。


「殿下。皆様の特に若いご令嬢の視線が厳しいですわ。

私で宜しかったんですか。」

クリスが尋ねる。


「学園のサマーパーティでも君をエスコートしたかったけど、エドがいたから無理だった。

でも、もう良いだろう。」

オーウェンは熱い視線をクリスに浴びせる。

クリスはその意味がもう一つよく判らなかったが、その視線をまともに受けられず、顔をそらす。


その後ろにいる真っ赤な神の赤い死神皇太子はその横に珍しく正装した青い衣装をまとったジャンヌを連れているのが見える。


そしてその後ろには、白い衣装にキラキラ輝いている瞳のガーネットがウイルを引き連れて歩いているのが見えてほほえましかった。


自分はもう、幸せにはなれないかもしれない。

自国の皇太子に婚約破棄された令嬢なんて誰も見てくれない。

幼馴染のオーウェンが情けをかけてくれるだけだ。

でも、いつまでもその情けに頼っていてはいけない。

そうは思うが、オーウェンのやさしさが身に染みていた。

そのまま、オーウェンはクリスをエスコートして、玉座に近づく。


「父上、母上。クリスティーナ・ミハイル侯爵令嬢をお連れしました。」


「国王陛下。王妃殿下。クリスティーナ・ミハイルでございます。

本日はお招きいただき、ありがとうございます。」

クリスは優雅に一礼する。


「ようこそ来てくれた。甥がいろいろ迷惑をかけたね。」

国王が謝罪する。

「滅相もございません。私が至らないばかりに甥御様はじめ王妃様の妹君にもご迷惑をおかけして謝罪の言葉もございません。」


「いや、非があるのは甥の方だろう。」

明確に国王は否定した。

何度も否定するのもはばかられてクリスは首を軽く振るにとどめた。


「まあ、あんなことがあったばかりだが、出来れば今宵は楽しんで欲しい。

息子の方が何か希望があるらしいが。」

悪戯っぽく国王は言った。

「父上!」

思わず、オーウェンが声をあげる。


「ありがとうございます。今日は楽しませていただきます。」


「クリスティーナ嬢。本当に所作がきれいね。妹のスパルタは大変だったでしょう。」

キャロルが苦笑いをした。


「滅相もございません。エリザベス王妃殿下には大変親切丁寧にご教授頂きました。その所作をおほめ頂きありがとうございます。

でもまだまだです。」

クリスはニコッと笑った。


「エリザベスの要望に沿うなんて無理よ。

私なんかいつもダメ出しされているわ。」

王妃も笑う。


「なんか横で白い眼を向けている人がいるから、またね。」

王妃が笑って言う。


「では失礼します。」

少し強引にオーウェンはクリスを連れ出した。


「ごめんね。本当に一言だけだって前もって注意したのに。」

ぶつぶつ言いながらオーウェンがエスコートする。


「こちらこそ両陛下を独占しちゃって後ろの方にご迷惑でしたよね。」

「あっそれはあいつらだからいい。」

あっさりとオーウェンが言った。

後ろにいたジャンヌが叱られていた。


「ジャンヌ。また、王宮抜け出してきたんですって」

「そのような事はありません。」

ジャンヌは誤魔化そうとした。

「何言っているのよ。エリザベスが愚痴の電話をしてきたわよ。」

その言葉が王妃に火をつけた。

「2時間もよ。あれに2時間も愚痴を言われて見なさい。

あなたは話そうと思ったらその前にもういなくなっていたって。

お姉さまに似てあなたはがさつだとか、礼儀作法がなっていないだとか、言われながらよ。

だからついやさしいクリスにきつくあたってしまった。

その上傷つけてしまって

今じゃあどうせ私は悪徳王妃よ、嫁いびり王妃よ・・・・」

「まあ、キャロル愚痴はそのくらいで」

国王が強引に話を止める。

でないとこの愚痴は1時間以上は続きそうだ。

廷臣の手前もありそれは避けないと

「しかし、北の大国の皇太子殿にエスコートさせるなんてさすがだな」

国王が言う。

「本当に殿下。姪の事宜しくお願いしますね」

がらりと態度を変えてキャロルが言う。

「ちょっとおばさま。なんか違う」

慌てて否定しようとするジャンヌだが、

「かしこまりました。」

アレクは頷いていた。


「皇太子殿下は息子とも仲良くしていただいているとか。」

「オーウェン様とは年も近いですし、性格も合いますから」

オーウェンが聞けば咳込んだことは間違いない事をしらっとアレクは言う。

ジャンヌはどの口でそういうことを言うんだという白い目でアレクを見る。

それを気づかないふりをしながら、

「もし、陛下のお許しを頂けるなら、トリポリにての不可侵条約をオーウェン殿と

私とトリポリの国王とで、結ばせて頂けたらと存じてこの度参った次第です」

聞いてくれないオーウェンとの用件を言う。

「なんと、それはわざわざありがとうございます。

そのような事でおいでいただいたとは息子からはまだ聞いておらず、申し訳ない。」

国王は慌てて謝る。


「いやいや、オーウェン殿も忙しいらしく、まだ詳しくはお話しできていないのが現状でして。」

「そうですか。後で少しお時間いただけても。」

「いや、今日は祭の席ですので、明日でもいかがですか。」

「さようでございますな。そう言って頂けると幸いです。」

国王は自分の息子の頭が桃色になっているのと比べて

ノルディンの皇太子の大人びた対応に頭が痛くなった。


もっともその皇太子も桃色頭のオーウェンを邪魔するのに必死で、中身はオーウェンと全く変わっていないのだが。

8年間の純情を続けて今必死にアプローチしているオーウェンの方がよほど立派だったのだが…・


「父上、母上ご機嫌麗しゅう」

アレク達が去った後にガーネットがウィルを引き連れて?挨拶にまかり出た。

「ガーネット。良かったわね。ウイルにデビュタントのエスコートしてもらえて」

王妃が声をかける。

「ウィリアム殿も立派になられたな」

国王が声をかける。

「まだまだ若輩者でございます。」

ウィルが頭を下げる。

「そんなことは無いだろう。先日も姉を守って自国の近衛と対峙して一歩も引きさがらなかったとか。」

「そうそう、ますます女の子の人気が上がったでしょう?」

「いやもう、その事は母から厳しく叱責を受けまして」

頭をかいていう。

こんなところで頭をかくなんてなんてことなのと後ろで見ていたシャーロットは怒り心頭だったが、周りは15歳の少年のテレをほほえましく見守っていた。



皆さまおかげでやっと500ポイント達成しました。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

良かったらブックマーク評価いただくとありがたいです

1日2回更新頑張ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ