王宮でパレルモを迎え撃つ準備は万端整いました
その頃、王宮では皆準備に余念がなかった。
「パレルモからの人員は15名です。クズの皇太子が1名。これは傲慢なだけが取り柄の皇太子ですな」
リストを見ながらジャルカは言った。
「皇太子はアメリア並みに傲慢と」
「ちょっとジャンヌ。どういう意味よ」
魔導電話で参加しているアメリアがジャンヌに噛み付く。
「傲慢さはアメリアほどではない」
メモを書きながらジャンヌが言う。
「ジャンヌ!」
「アメリア、お前は今回見ているだけなんだから黙っていてくれよ。暗記するのに大変なんだから」
ブツブツ言いながらジャンヌが言う。
「何も私と比較して覚える必要ないでしょ。ねえ、ヘルマン」
「うん。アメリアは傲慢じゃないよ」
いちゃつく二人の画面をジャンヌは切断する。
「お前らこれ以上邪魔するとこちらの画像も切るぞ」
ジャンヌが切れて言う。
「まあまあ、姫様。二人が羨ましいのならばアレク様とイチャイチャすれば宜しいではありませんか」
「ジャルカ、いい加減にしてくれ」
殺気立ってジャンヌが言う。
「そもそも、いちいち覚えなくても爆裂魔術を1発放り込めば良いんじゃないのか」
ジャンヌが面倒くさがって言う。
「姫様。だからガサツ皇太子と言われるのです。何が起こるかわかりませんからな。準備にしすぎることはないのです」
珍しく、ジャルカが正論を述べる。
「お前何か企んでいるだろう。いつもはジャルカも出たとこ勝負ではないか」
「何を仰るのです。姫様。私の頭の中ではいつも完璧なのです。それを貴方様がいつも想定外のことをなさるから出たとこ勝負に見えるだけです」
「そんなことないだろ」
「二人共。時間が無いのでは」
ジャルカのもっともらしい言葉に反論するジャンヌだったが、オーウェンが先に進めてほしいと言う。
「そうでした。宰相のマイヤネンは口だけ男ですから魔力も剣術もからきしダメです。残りの13人は5名は文官で資料はありませんが、魔力反応はゼロ。剣もほとんど使えますまい。
残りの8名が、護衛です」ジャルカは顔写真を出して、1人ずつ説明する。
「当然中には帯剣禁止で、おそらく魔導師の5人が中には入ってくるものと思われます。クズ皇太子と口だけ宰相と魔導師5名。敵が攻撃してきたら、ビアンカ、そのときには前面に障壁を張るように」
「判りました」
ビアンカが頷く。
「後は姫様とアレク様で好きにされたら良いです」
「外の8人はグリフィズが対処して下さい」
「なんかいつもと同じでいい加減なような気がするんだが」
オーウェンがそれを聞いてブツブツ言う。
「何かおっしゃいましたか、オーウェン様。」
「いや、まあ良いですよ。そもそもこのメンツの前で攻撃してくるのは自殺行為だと思うし」
「おそらく、思いもしないところからの攻撃させる可能性もあります。そこで混乱させて魔導爆弾を破裂させるとか」
「その可能性は大きいな」
ジャンヌが頷く。
「同士討ちの可能性があるので、魔術の使用は障壁のみで」
「というか、なんかあったらミラーで囲っちゃったら良いんじゃないですか。ビアンカなら出来ると思ういますけど」
ジャンヌの補佐の魔導師団のライラが言う。
「えっ囲うのですか」
嫌そうにビアンカが言う。
「前もって準備しておけば一瞬で囲えるでしょ」
「そうですな。その方が何かあったときに対処しやすいですな」
ジャルカが賛成した。
後ろでオーウェンがシュテファンに刺されてクリスが混乱してもミラーで囲っていれば魔術でなにかしてきても大丈夫のはずだ。物理攻撃にはクリスの護衛騎士たちがなんとかするだろう。というか、ビアンカがミラーで囲ったら出入りも無理なはずだ。
そのまま拘束も出来て一石二鳥だとジャルカは思った。
「今回は後ろには私が控えておりますからな。何かあれば後ろは私に任せて頂き、前を姫様たちでよろしくおねがいしますぞ」
「当然だ。それよりも、ジャルカ、終わった後だが、パレルモはこの前のザールよりも少し近いから300名くらい送れるよな」
ジャンヌはもう終わっ後の事を考えていた。
「えっ、何で私が送らなければならないのですかな」
面倒くさそうにジャルカが言った。
「スカイバードが5機ほど待機しておりますから、それで行かれれば宜しかろう」
「ケチだな。まあ良い。シャラザールにそうたのもう」
「えっ」
ジャルカは絶句した。シャラザールが出てくればそれは言いかねなかった。
クリスは何故シャラザールなのかよく判らなかったが、何か良くないことが起こりそうで、少し不安だった。
次話は王宮にパレルモの一団が現れます。
どうなるオーウェン。クリスの不安的中
明日の朝更新予定です。








