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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第十一章 パレルモ王国の陰謀

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クリスは大国の文官の娘を助けました


バルトルトの娘エルゼは、ドラフォードの首都イエーナの貧民街のとある建物の中で両手を縛られて転がされていた。

パレルモ王国の影と名乗る男達に昨日誘拐されて、このボロ屋の中に連れ込まれたのだ。

いずれは影の子供を孕まされると男達には脅されていた。


今はこの部屋には誰もいないが、夜になったら今夜こそ貞操の危険が迫っていた。

なんとかしたかったが、縛られて転がされていればどうしようもなかった。


そのエルゼの前に男たちが帰ってきた。

エルゼは怯えて男たちから離れようと後ずさった。


「助けて父様」

思わずエルゼは口走っていた。母は5年前に病気で他界していた。今のエルゼにとって唯一の肉親が父だったのだ。


「よう姉ちゃん。そのお父様だが、きちんとスカイバードとともに爆発してくれたぜ」

「うそ」

エルゼは男の言うことが信じられなかった。


父娘の二人だけでこの5年間生きてきたのだ。父は忙しいことも多かったが、出来る限り一緒にいるようにしてくれていた。


その父が死んでしまったなんて。


「これでお前も犯罪者の娘だ。二度と地上には出られん。オレたちと仲良くしようぜ」

男が手を伸ばしてきた。


「いやあ」

両手を縛られたエルザには悲鳴を上げるしか手がなかった。


「触るな、下郎!」

その時どこからともなく、大声が響いて、エルザに触れようとした男は一瞬にして黒焦げになっていた。


ピキピキとスパークを飛ばしながら黒焦げの男が倒れた。


他の男達は唖然とそれを見ていた。


エルザの手の戒めもいつの間にか切られていた。


そして、エルザの首元からお守りのネックレスが飛び出していた。


「ごめんなさいね。遅くなってしまって。本来ならば私が転移して行けば良かったのだけど、あなたの所の皇太子が煩くて」

お守りのネックレスから声が響く。


「何奴だ」

男の一人がネックレスに触れようとして


「ギャーーーーー」

絶叫するとともに黒焦げとなって倒れた。


他の男達はそれを見て何も出来なくなった。


「本当に馬鹿な男達ね。これに触れるとどうなるかさっきの男が黒焦げになったの理解できなかったの」

呆れてクリスが言った。


「で、オーウェン様。兵士たち全然踏み込んでこないんですけど。どうなっているんですか」

閣議室の中で魔導電話片手に叫んでいるオーウェンにクリスが尋ねた。


「すまん。なかなか場所を特定できないみたいで」

慌ててオーウェンが言う。


「すいません。私の説明が下手で」

クリスが赤くなって謝る。感覚では場所がどこか判るのだが、地図でどこだと説明しろと言われても中々きちんと説明できなかったのだ。


「いや、悪いのはクリスではなくて」

オーウェンも焦った。本来ならばこのタイミングで兵士たちが踏み込むはずだったのだ。

しかし、兵士たちが踏み込んだ場所が全然違ったみたいで、密輸現場に突入したらしい。

現地で戦闘が起こっているとのことだった。


「だから私が行くと言ったのです」

「いや、だから筆頭魔導師自ら行くなんてダメだから」

今にも飛び出しそうな勢いのクリスをオーウェンは必至に押し留める。


「じゃあウイルお願い」

「えっ、嫌だよ姉様。ドラフォードのことなんだからそこの皇太子に活かせればいいだろう」

クリスの無茶振りに心底嫌そうにウィルが拒否する。


「大国の皇太子殿下をそのような危険な目に合わせられるわけ無いでしょう」

「俺なら良い訳」

不満そうにウィルが言う。


「だってあなた私の弟じゃない」

「でも、何千キロも転移させられるのは嫌だよ」

「お願い、時間がないの」



争う声だけ聞こえて影の男たちは戸惑った。

「何やってんだ」

「馬鹿なんじゃないのか」

男の一人がそう言うとナイフを取り出した。


「クリス様。時間がございません。ここは私めをお送り下さい」

クリスの前にアルバートが進み出る。


「待った姉様。行けば良いんだろ。行けば」

慌ててウィルが諦めた。アルバートなんかに行かれた日には、後で散々自慢されるのが落ちだ。それなら自分がやったほうが百倍もマシだった。


「おいおいおい、ぎゃあぎゃあ言っているとこの女を殺すぞ」

男はナイフを振りかざして言った。

兵士たちに踏み込まれるならば女を殺してこの場から逃げ出したほうがマシだ。


その男の正面にウィルが転移してきた。


「ギャッ」

男は転移のショックで地面に叩きつけられた。他の男達も壁に叩きつけられる。


エルザはもう殺されると思った時に白い騎士服を来た少年に助けられたのを知った。


「大丈夫?」

少年はエルザを背にして颯爽と剣を構えて立上った。その姿はエルザにとって憧れの騎士の姿だった。



「おのれ、ガキが」

男の一人が短剣を構えて斬りかかるが一瞬でウィルの剣で切られて壁に叩きつけられていた。


「おいおいおい、パレルモのカビかゴミかなんか知らないけれど、俺に一対一で勝てると思うなよ」


「ふんっ、生意気なクソガキめ。筆頭魔導師に伝えよ。俺たちはお前の大事なものを次々に犯して殺していくとな。そして歴代の施政者と同じように恐怖に…………」

魔導爆弾を抱えた男は最後まで言えなかった。


「やめて姉様」

恐怖に震えたウィルがエルザを抱えて転移する。


次の瞬間、空が裂けて特大の雷撃がその部屋を直撃していた。


その爆発音は遠く離れた宮殿まで聞こえた。


20分後に通報で駆けつけた別の兵士たちは、その地に開いた巨大なクレーターを見て唖然と立ち尽くすのみだった。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。


一言

  クリスの力は万能です。


広告の下の☆マークの評価頂けたら幸いです。


今日も後2話ガンバって更新します



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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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