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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第十一章 パレルモ王国の陰謀

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筆頭魔導師の侍女 誘拐計画

ボフミエ魔導国の国都ナッツァ、その場末の酒場で男たちがたむろっていた。

「クソーーー、あのボフミエの小娘、よくも我らがザールを併合してくれたな」

酒を飲んでいたトムが言った。

「本当だ。それさえ無ければ今頃はきれいな女の子をはべらせて過ごせたのに」

ケンも頷く。

二人はザール教の暗部だった。


シャラザールがザール教国の騎士達を一瞬で殲滅、ボフミエに潜伏していた二人はその瞬間に無職となっていた。

今はフリーの情報屋をやって生計を立てていた。

「二人はまだいいわよ。私なんて教師を首よ。首。今はあなた達にかろうじて食わしてもらっている今日このごろよ」

アデリナらの教師だったピローネンも管を巻いていた。ピローネンはザールの工作員として認定されて諭旨退職になっていたのだった。

前は教師として給与も良かったが、今はこの情報屋で事務の仕事をしてほそぼそと生活していた。


「くっそう、どこかで金のなる木はないかな」

その隣の席で飲んでいる二人組の一人が叫んでいた。

「そんなのあるわけ無いだろう」

「しかし、このボフミエ魔導国にも魔導学園とかいうご立派な学園があるんだろう。そこに通っている女の子らとお知り合いになってその婿に迎えられれば逆玉の輿も可能だろう」

男が口角泡を飛ばしてもう一人の男に話しかける。


「お前のその顔で誰が引っかかってくれるんだよ」

「何言ってんだよ。いざとなれば強引に迫れば案外頷いてくれたりして」

「なわけ無いだろう」

ジョッキを傾けて男たちは言い合っていた。


「でもよ、真面目な話、この前王宮と学園の間で馬車止めてみていたらよ。可愛い女の子が歩いていたぜ」

「そんな所に入れるのか」

「ああ、そこは公道だからな。自由に馬車も止められるし。なんでも、アデリナって子で筆頭魔導師様も可愛がっているって子がいてさ」

「あの聖女クリス様の侍女のか」

「そうさ。その侍女の女の子なんだけど、ちょっと俺が立ちくらみがしてしゃがんだら心配して寄ってきてくれてよ。おじさん大丈夫って声かけてくれたんだ」

「それは本当かよ」

「ああ、その間近で見られた顔が本当に天使でよ。思わずそのまま攫って連れて帰りたくなったよ」

「おいおい、そのまま連れて帰ったら犯罪だろうが」

「本当だぜ、思いとどまれて良かったよ」

二人は笑いあった。


その様子を隣の3人は青い顔をしてお互い顔を見合わせていた。



「ねえ、本当にやるの?」

翌日学園の方に向かって走っている借りた馬車の中でピローネンは聞いた。

「ふんっ、やれるかどうかまずは下見さ」

ケンが言った。

「そうとも、もし、そのアデリナっていう侍女を拐えるなら身代金がたんまり貰えるんだぜ」

「でも、あの赤い死神とか暴風王女がいるのよ。うまくいくわけ無いわ」

ピーロネンが言った。

「その時はその時さ。うまく行かなけりゃ、そのアデリナっていう女の子をじっくりといたぶってやるまでよ」

トムが言う。

「そうさ、死んでいった奴らの仇も取れるし、ボフミエの小娘にも一泡吹かせられる」

「あのツンとすました顔を涙に暮れさせてやれれば溜飲が下がるというものさ」

男たちはニタニタ笑った。

「そんな、あの子には責任はないわ」

「何言っている。ピーロネン。お前あの年齢で既に娼婦の役をやらされていたろうが。あのガキも向こう側の人間なのさ。十二分に責任はあるぜ」

ケンは真面目な顔で言った。ケンは王宮の関係者というだけで敵認定をしていた。


「それはそうだけれど」

ピーロネンにも若干の良心は残っていた。アデリナは自分の元生徒だ。それを誘拐して良いとは思えなかった。

しかし、生まれてから今までザールの下で自分の事などボロ雑巾のように道具として扱われてきたのは事実だった。貧しいこのボフミエの地で生まれた孤児のピーロネンには命を救ってくれた教会の関係者には頭が上がらなかった。関係者に仕えるのはいつものこと、性の摂待も普通にさせられていた。貧しい、アデリナが侍女として真っ当な生活が送れているのに対して若干の嫉妬心もあった。




王宮と学園の間には両方の通用門があって多くの馬車が行き来していた。その脇に馬車を止めていてもそんなに目立たなかった。


両方の出入り口には多くの人々が出入りしており、馬車の影とかをうまく使えばみんなに気づかれない間に人一人をさらうなど簡単にできそうに、ザール教の暗部としてやってきたケンらには思えた。


「おい、あれ」

御者台にいたケンがトムに顎で指した。


そこには女の子たちがいた。


「アデリナ。またね」

中等部のアデリナに友達が手を降って別れていく。


アデリナも手をふるとゆっくりと横断歩道を歩いて王宮の通用門に入って行った。

両方の距離は200メートル。間に馬車が数台止まっていて、人が忙しそうに行き来していた。王宮への納品の準備だろうか。荷物の積み替えをしている馬車もあった。

果てはお菓子を売っている露天商までいる。


これなら、周りにバレずに拐うこともできるだろう。


男たち二人は頷きあった。


アデリナの誘拐を計画するザール教の残党ですが、果たしてうまくいくのか

明日朝更新予定です。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

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クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


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第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

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小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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