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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 大国での失恋

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大国皇太子とクリスの二人で市井にお忍びのはずが…・

翌朝、宮殿の通用口に二人の若い男女が立っていた。


「すいません。

ジャンヌって言いますけど、ガーネットに会いに来たんですけど」


「ジャンヌ様。

ガーネットと言いますと、侍女ですか?」

通用門の係官が訪ねる。


「いえ、王女の」

「はあああ?!」

係官の目が点になった。


いかにも市井の女って言う感じの女性がガーネット王女の知り合いとは思えない。


「すいません。そのようなお話は聞いていないのですが、お約束ございましたでしょうか」

「いや、無いんですけど」

「誠に申し訳ありませんが、お約束がない場合は取り次ぐわけにはいかないのですが」

「えっ、そんなこと言わずに取り次ぐだけ取り次いでくれたらいいんだけど」

「誠に申し訳ありませんが、規則ですので」

怒ろうとするジャンヌを抑えて


「だから言ったろう。それじゃあ無理だって」

余裕の笑顔でアレクが言う。


「アレクだが、外務大臣呼んでくれる」

しかし、アレクも恰好をつけて門番に言うが、どう考えても一般市民としか見えない。

それがいきなり雲の上の外務大臣を呼ぶなど、普通に考えてありえないことだった。


「お約束はございますか?」

いかにも胡散臭そうに係官が聞く。

「いや、無いが」

「それでは誠に申し訳ありませんが、取り次がせていただくわけには参りません」

「何だと!」

ぴきっと切れるが、一般人の恰好では流石の赤い死神も形無しだ。


「ははんっ貴様もおんなじじゃんか」

怒るアレクにジャンヌが笑った。


それを門の陰から見つけたオーウェンはクリスの手を引いて慌てて物陰に隠れようとした。


そこへ慌てて追いかけてきたガーネットがぶつかる。


「きゃっ」

「ガーネットどういうことだ。」

オーウェンが後ろをつけてきたしか思えないガーネットを見つけて、目に怒りを浮かべて言う。


「えええっ?だってお兄様だけずるい!」


「あっガーネット」

見つけたと言わんばかりにジャンヌが遠くから手を振る。


「あっジャンヌお姉様」

慌てて駆けだした一般人の恰好をした王女を見て門番は青くなった。


「お前らな・・・・」

オーウェンは頭を押さえた。


平身低頭する門番らに手を振りつつガーネットら6人は歩きだした。


「どういうつもりだ。アレク」

ブスっとしてオーウェンが言う。


「いやあ、いきなりジャンヌが来ちゃって、せっかくだからみんなで遊ぶかと」

「ジャンヌお前は何をしに」

「いやあ、面白そうなことやっているからさ、私も混ぜてほしいじゃん。

クリスと街歩いた事も無かったし。」

「ジャンヌお姉さま。そこはガーネットにも会いたかったしとおっしゃっていただきたいかと」

ガーネットが横から口を出す。

「当然。ガーにも会いたかったさ。久しぶりだな。こんなに小さかったのに」

自分の腰のあたりを指さす。


「お姉さまも、あの頃は小さかったでは無いですか。

今はこんなにりりしくなられて、大国ノルディンの皇太子殿下を下僕として引き連れていらっしゃるなんて」


「ちょっと待った。ガーネット。

お忍びだからニックネームで呼ぶよ。俺の事もアレクでいいから」

「それ本名ですけど」

ぼそっとウイルが言う。

「でも、ガーじゃなあ。」

困ったようにアレクが言う。


「いいですよ。ガーで」

屈託なくガーネットが言う。


「じゃあ、ガーで。

俺はジャンの下僕ではない。恋人と呼んで欲しい」


「却下」

即座にジャンヌが拒否してしばく。


「だって昨日もお姉さまにモミジマーク付けられてたじゃないですか。

クリスもお姉さまの尻に敷かれているって言ってたし」

「ガー、そうは言ってないでしょ。

いつもお姉さまと一緒にいらっしゃるって」

慌ててクリスが否定する。


「でも、お姉さまのわがままにいつも付き合わされているって。

でも、そのお姉さまに付き合うなんてアレクはものすごく恰好いい人だと思いますわ」

ガーネットの瞳にはキラキラの星マークが出ていた。

「それは許す。」

「でも、赤い死神を下僕にするなんてなんてお姉さまはなんて素晴らしいんでしょう!」

全然わかっていないと改めてアレクは思ったが、本人以外の周りはアレクはジャンヌの下僕認定していたが…


「ならガーもウイルを下僕にしたらいいんじゃないか」

ジャンヌが言う。

「パスっ、それでなくても今でもジャンにこき使われているのに

これ以上やられたくない。」

「えええ、お姉さま、2人も下僕がいるのですの。

流石お姉さま。」

「それは俺は違うよ。上司と部下の関係だから。部下の扱いがひどいからそう見えるだけで」

慌ててウィルが言う。

「どうしたの。クリスは黙りこくって」

静かなクリスにオーウェンが声をかける。

―やったあクリスって言えた。どさくさに紛れて言えたー

オーウェンはメチャクチャうれしかった。

「お姉様はうらやましいなと思って。」


「じゃあクリスもオウを下僕にすればよいのに。」

ズバッとジャンヌが言う。

「そうですわ。お兄様なら喜んでクリスの下僕になってくれますわよ」

「おいおい、それはないだろう」

慌ててアレクは邪魔をしようとする。

勝手に2人でくっついてくれると困るのだ。


その声を無視して、オーウェンがクリスの前に跪いた。

「クリス姫。是非とも私を下僕に」

手を差し出す。


「まあ、オウったら、冗談ばっかり」

そう言いながら軽くオーウェンを叩いて歩いていく。

クリスから触られて、というか叩かれただけだが、オーウェンは感激していた。

「クリスは冷たい。本心なのに。」

そう言いながらクリスを追いかける。


残った4人の生暖かい視線、いや一人はやばいという慌てた視線が二人に注がれていた。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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