大国皇太子は侍女らと一緒にクリスを見つけ出しました
メリーらが侍女の控室で喧々諤々すること10分。
侍女たちの考えをまとめるとおそらくクリスはエドの部屋の傍の客間に監禁されているとのこと。
ウィル達も地下牢には入れられていないみたいでおそらくその近くに監禁されているのではないかとのこと。
ただし、そのあたりには侍女たちは近づけず、行けるのはクリス付きの侍女のアガサと王子付きに新たに雇われた侍女のみとのこと。
「アガサという侍女は今日も見かけましたが、クリス様が監禁されているならば、エドワード様と通じているのではないでしょうか」
メリーが言った。
「この一角は、現在立入禁止みたいになっています」
侍女の一人が地図を出して言った。
「これなら天井裏から入れるのではなくて」
「ええ、行けると思います」
「て、天井裏?なかなか詳しいな」
「王弟殿下反逆時に色々調べましたから」
オーウェンの戸惑いにメリーはさらっと言う。
その時爆発音がした。
王宮自体が大きく揺れる。
「きゃあ」
侍女たちが叫んだ。
「大丈夫。ジャンヌ達の陽動だ」
オーウェンが言った。
「ジャンヌ殿下が戻られたのですか」
「アレクと一緒に陽動をしてくれている。今のうちにクリスの所に行きたい」
オーウェンが少し焦って言う。
「ウイル様達も解放できたらその方が良いですよね」
「それはそうだが」
「ジャンヌ殿下らが暴れられたらそのあたりめちゃくちゃですよね」
「おそらく」
「警備も手薄になるかと」
「まあそうなるな」
オーウェンは頷いた。
「ならどうする?」
「こうなったら手空きの人員突入させます」
メリーらが腕まくりをして言った。
「え、しかし、危険だぞ」
「王弟反逆時は我々も戦いましたから」
「クリス様には恩義しかありません」
侍女たちが近くの武器を取る。箒にバケツ、籠から魔道具まで手に手に武器になりそうな物を掴む。
「よし、皆、今こそ、私達のクリス様を助けねわよ」
「おう」
いるメンバー全員が手を挙げる。
「中央師団にも連絡。師団詰め所から突入依頼」
一人が魔導電話に取り付いた。
「食堂では料理長が蜂起、包丁片手に閉鎖エリアに向かったと」
ここの王宮は兵士よりも使用人のほうが強いんだろうか・・・・・
オーウェンはとんでもない事を思いついた。
「ではオーウェン様行きますよ」
そんな考えのオーウェンを強引に連れ出そうとするる。10名ほどが立上った。
「良いのか。本当に」
「時間がありません。急ぎましょう」
全員慌てて動き出した。
エドの居室のそばまではバックヤードを走る。
「どうしたんだメリー」
「クリス様が監禁されているみたいなの」
「本当か」
そのメンバーが次々に増えていく。
近づくとメリーが次々に指示を出し、全員がバラけていく。
バックヤードから出るスペースで近衛の兵士が2人立っていた。
「ここはおまかせを」
メリーがもう一人の侍女と出る。
「何だおまえたちは」
「あなた近衛のレイ様でしょ」
メリーが言う。
「そうだが」
「実は王妃様から聞いてくるように言われたのよ」
「王妃様から。何をだ」
近衛は不審がった。
「それははこれよ」
メリーらは無造作に魔道具を差し出した。
それは電流が流れる護身用の魔道具だった。
一撃で二人の近衛兵士が倒れる。
オーウェンはその扉に飛び込むとそこにはクリスが寝かされていた。








