クリスは恥ずかしさのあまり実家に帰ってしまいました
皆さん新章始めます。今日は三話更新予定です。
混乱するクリスとオウの前に元婚約者のエドが登場します。二人の間はどうなるのか。
乞うご期待!
300話記念閑話からの続きです。
悶々としていたクリスはミアに発見されて連れられて仮設テントに帰った
見つけられたクリスは、もう真っ赤になって木の根元で枝を掴んで地面に何か文字を書いていた。それはミアにはなんと書いてあるか読めなかったが、古代語で好き好き好き好きと延々と書いていたのだ。それも無意識に。
古代語だからほとんど誰も読めない。そもそも薄くだから必死に読まないと読めなかったが。
クリスはミアの前では取り繕っていたが、挙動が不審だった。
ため息をついたり、ぼうっと考え事をしたり。
ミアはクリスを落ち着かせるために、とりあえず、お茶を入れることにした。
そして、お茶を切らせていたので、慌てて食堂に取りに行く。
「あああ、どうしよう」
クリスはベッドにダイブして枕を掴んで悶た。
子供の頃にクリスからオウに婚姻の申し込みしていたことなんて、忘れていたし、それで良いと思ったら大人になってからオウからキスで返事してなんて、なんて事言ったんだろう。
そもそも、これからオウと会ったらどういうふうに接したら良いか判らなかった。
基本的に食事は食堂でみんなで一緒に取っていた。そんな時にオウとは必ず会う。無視するなんて出来なかったし、でも、どんなふうに接したら良いか判らなかった。
そもそも、クリスは10歳のときからマーマレードの皇太子のエドと婚約者だったが、儀礼的なものであんまり仲良くなかったように思う。特に15才以降はそんな感じだった。クリスはその原因の最たるものが自分にシャラザールが憑依したことだとは判っていなかったが・・・・・
すなわちまともに付き合ったことも恋愛したこともなかった。オウとのことはエドとの婚約が決まってからはっきりと忘れるようにしていたのだ。そもそも貴族の婚約は家と家の間のことで、クリスの場合は相手はマーマレード王家で国と家の事だった。自分の個人感情が入る余裕もなかったし、国のために頑張ってほしいと国王と王妃に頼まれてしまえば、もうどうしようもなかった。
今回ドラフォード王家からは正式に婚約の話は持ち込まれている。今までは公衆の面前で自国の皇太子から婚約破棄された傷物令嬢だからと言う理由で断ってきた。
でも、子供の時はクリスはオウの事が好きで自分から申し込んでいるではないか。そして、覚えているいないに関わらず、オウからクリスにキスしてくれた。セカンドキスとはいえ、両方とも相手はオウだ。それも今回は子供の時の約束を守ってくれた………
どうしよう。
クリスは真っ赤になって悶た。
「もうダメ、ちょっとだけ冷静に考える時間がないと」
クリスはこれ以上ここに留まっていられなかった。
慌てて帰ってきたミアの前には
御免なさい。少し考えたいので、一人にして下さい。
という書き置きが置かれていた。
これがクリス失跡事件として大騒ぎになるとまではクリスは考えが回らなかった。
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