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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第二章 大国での失恋

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クリスは大国の皇太子に馬車で案内される1


クリスは国外に出るのは久しぶりだった。

船に乗るのも初めてで、デッキに出て潮風にあたるのが気持ちよかった。

青い空と紺碧の海は見ていて気持ちよかった。


エドが皇太子廃嫡になった事は船の上で母から聞かされた。

10歳の時に婚約者になって8年間、お互いに皇太子教育に王妃教育を頑張ってやっていたはずだった。昔はたまには気を使ってくれたエドが最近は冷たかった。

というか、ほとんど話す事も無くなっていた。

クリスが忙しすぎたという事もある。

たまには手紙でも出せばよかっただろうか。

ここ1年は公式行事以外はほとんど会った事も無かった。


「ふうっ」

またクリスはため息をついた。


「姉様。ほら、あの先」

心配して見に来たウィルが声をかけた。


「えっ何か見えるの」

ウィルの指さす先に何か光った。

よく目を凝らすと何か陸地のようなものが広がってきた。


「あれがアゾレス岬です。」


「えっあれがそうなの」

中海を挟んで対岸にあるドラフォード王国。


アゾレス岬はその先端だ。

昔、建国の戦神シャラザールが統一戦争の最後を飾ったアゾレス海戦の舞台でもある。

今日からしばらくお世話になるドラフォードの山並みが徐々に大きくなる。


とりあえず、終わった事はしばらく置いておこう。

今からも大切な事なのだから。

マーマレードのために動く大切な一歩になるはずだから。

期待と不安に心をどきどきさせるクリスだった。



岬の根元にある交易都市ハイリンゲンは大都市だった。

首都イエーナまで馬車で1日の距離にあり、ドラフォードの海上交易の中心だった。

巨船が次々にすれ違っていく様は圧巻だった。

港は喧騒の真っただ中にあった。


帰りの替え馬を探していたオーウェンらは近衛の部隊が港に来ているのを知って一部馬を代えてもらおうと彼らに近づく。


「トマソン。」港に着いたトマソンを探し出してジェキンスが声をかける。


「ジェキンスという事は皇太子殿下」

後ろにいる皇太子に慌てて敬礼する。


「すまん、トマソン、馬を4頭代えてくれないかな」


「えっしかし、それでは任務に支障が。」

トマソンが渋る。


「すまん緊急なのだ。ノルディンの赤い死神が王都に来ていてな」


「皇太子殿下!」


「ミハイル嬢!」

かわいい声をかけられて、思わずそちらを見てオーウェンは絶句する。


「これ、クリス。殿方にいきなり声をかけるなんてはしたない。

失礼いたしました、ドラフォード皇太子殿下。

マーマレードのミハイルの妻シャーロットです。」


「これはミハイル夫人。お久しぶりですね。

こんなところでお会いできるとは想像だにしていませんでした。」

オーウェンは驚きを隠して礼を返す。

というか、クリス嬢がなぜここにいるのかオーウェンには判らなかった。


「王妃様にお招きにあずかりましたの。」

「えっ母にですか。」

なんで私に黙っているのかなとオーウェンは一瞬ブスッとするが


「それよりも皇太子殿下。

先日は娘をお助けいただき感謝の言葉もございません。」

シャーロットは頭を下げた。

「ありがとうございました。」

クリスも礼をする。


「何。当然のことをしたまでです。」

胸を張ってオーウェンは応える。


「ところで何か急いでおられた様子。」

「いやいや、そこまで急いではいないのです。」

何しろ目的の方は目の前にいらっしゃいますし、

心の中でオーウェンはつぶやくと、

「本日はどちらに?」

トマソンに聞く。


「このまま王宮までご案内するように仰せつかっております。」

「判った。ジェキンス、お前はトマソンの部隊の誰かと交代。

残りの俺の護衛は今日はここで休め。

明日1日かけて王都に帰還でいい。

俺はこのまま馬車で侯爵夫人ご一家を王宮にご案内する。」


「宜しいのですか。ノルディンの皇太子殿下は」

「あいつはどうでもいい。

そんなに大きな時間の違いはないだろう。

今日の夜が明日になるだけだ。」


「しかし、うら若きご令嬢と同じ馬車に乗られるのは」

「その母親と同乗だぞ。問題は無かろう。」

と言うと笑顔で侯爵夫人に向き合う。


「王宮まで私がご案内いたします。」

「しかし、皇太子殿下もお忙しいのでは」

シャーロットは慌てたが、

「何をおっしゃいます。侯爵夫人には小さい頃に大変お世話になりました。

せっかく我が国に母がご招待したのに、私がご案内せずにいかがします」

そう言うと馬車の扉を開けてシャーロットを馬車にエスコートする。

次にクリスに手を貸す時には、溢れんばかりの笑顔だった。

「ありがとうございます。」

上気した顔でクリスが礼を言う。

ウィルも奥に入れるとオーウェンはクリスの真正面、一番端の席に着く。



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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
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■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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