クリスの母はザール教の暗黒面を心配しました
クリスは慌てて魔導電話を持って端に移動する。
「相変わらず、すごい人気ね」
「母様が変なこと言うから。いつもはこんな事無いのに」
クリスが膨れて言う。
「で、ドラフォードから正式な申し込みが来ているって本当?」
「えっ、やっぱりあなたの本命はオーウェン様なの?」
「違う。ただ、私婚約破棄された傷物令嬢だから」
「まあ、そこは気にしなくていいんじゃない。さっきの争い聞いていたでしょ。王族2人に、公爵家が2人いたような気がしたけど」
シャーロットは娘の反応に笑った。
「まあ、大半はのりで言っただけだと思うけど」
クリスが言う。
「で、わざわざ電話してきたのは何」
クリスが話題を戻した。
「えっ、あなたが、ザール教に手を出したって聞いて大丈夫かなって心配になって」
「ザール教?」
「この世界には色々闇があるのよ。あなたそれを尽く潰しているから、大丈夫かなってちょっと気になったのよ。歴代の王朝が排斥しようとして失敗しているから」
心配そうにシャーロットが言う。
「まあ、皆がいるから大丈夫よ」
クリスは何でもないことのように言う。
「でも、クリス、相手は闇の暗部も抱えているわよ。全世界の200万の信者の中には狂信的な者もいるわ」
シャーロットは姿勢を正して言った。
「侯爵夫人。まあ、そこは気にしなくていいと思うぞ」
横からジャンヌが入ってきた。
「これは皇太子殿下。お久しぶりでございます」
「うん。クリスにはいつも面白いことに付き合わせてもらって感謝しているぞ」
「単にクリスが殿下に巻き込まれているだけのようなきが致しますが」
シャーロットは一つの核心をついた。
「これは心外だな。最近はクリスの方が手が早くて私が抑え役に回っているくらいなのだぞ」
「お姉さま!」
ジャンヌの言葉にクリスが噛み付くが。
「だってクリス、お前この前も一瞬で沸点に達して魔王を焼き鳥にしていたじゃないか」
「お姉さま!」
更に強くクリスが注意する。
「ザール教の暗部など束にかかって来てもクリスを傷つけることなど絶対にできないぞ。なあアレク」
「えっ」
アレクは振られて驚いた。
「これは侯爵夫人。はじめまして。アレクサンドル・ボロゾドフです」
「これはこれはご丁寧に。シャーロット・ミハイルでございます。皇太子殿下」
赤い死神が普通に出てきてシャーロットは驚いた。はっきり言ってこのボフミエは各国の有名人がいすぎる。そんな中で何故娘がトップに立てているのか未だにシャーロットはよく判っていなかった。
「アレクも思うだろう。ザールの暗部全てが束になってかかってもクリスには敵わないよな」
「はい。それはその通りだと」
「ちょっと、アレク様まで。私を化け物のように」
クリスが膨れて言う。
「えっ、イヤ、クリス嬢、そんなつもりは」
アレクは慌てる。下手したらまたシャラザールの機嫌を損ねる。
「まあ、母上様のご心配も確かにわかり申す。ただ、この私がいる限りは命に代えてもクリスティーナ様をお守りする所存です」
横からジャスティンが申し出た。
「有難うございます。あなた様は」
「これは申し遅れました。クリスティーナ様の筆頭護衛騎士ジャスティン・ギンズバーグと申します」
シャーロットは娘の護衛騎士の一人が世界最強騎士と名高い正義の騎士だったと思い出した。
「これはご丁寧に。娘の事は宜しくお願い致します」
「まあ、侯爵夫人。これだけ戦力が揃っているのだ。この前はノルディンの大軍を叩き潰したし、例えドラフォードの大軍でも負けないよ。こっちにドラフォード最強の東方第一師団もいるし。何かあったらザール教は即座に叩き潰すよ」
ジャンヌが宣言した。
「殿下。それは心強いのですが、相手はあの暗黒面を強く持つザール教です。くれぐれもお気をつけ下さい」
シャーロットは自信満々のジャンヌよりも、何をするか判らない卑怯なザール教の魔の手を恐れていた。








