閣議にてクリスがザール教の礼拝にお忍びで参加することが決まりました
「あれ、そう言えばアデリナがザール教の礼拝に出るって言っていたような」
フェビアンが端でポツリと言った。
「フェビアン。あなた今なんて言った」
クリスが慌てて食いついた。椅子から立ち上がってフェビアンの方に向かう。
「えっ。勝手に呟いてすいません」
「それはいいからアデリナがどうしたって」
フェビアンに迫ってクリスが訊く。
「先週の日曜日にビアンカに誘われてザール教の礼拝に行く予定だったと聞きました」
「行ってどうだったって」
慌ててジャンヌも飛んできて聞く。
「いや、それは聞いていません」
「でもビアンカはどこでザール教と」
「それはハイランドシア公爵家ではないですか。最近公爵領で流行っているそうですから」
グリフィズが言う。
「確かビアンカは公爵家に誘われて遊びに行っていました」
フェビアンが言う。
「グリフィズ。何でそんな大切なことをすぐに言ってくれなかったの」
クリスが驚いて言った。
顔が真っ青だ。
「クリス。落ち着いて」
慌ててオーウェンがクリスの横に来てその肩に手を置く。
「礼拝に一回行ったくらいで麻薬中毒にはならないよ」
「でも、オウ」
「大丈夫」
オーウェンはクリスの瞳を見ていい切った。
「今国都ナッツァにはザール教の教会は5箇所ありますが、その中で一番大きいのがハイランドシア公爵家の聖堂です」
「二人をすぐに調べるか」
ジャンヌが聞く。
「問題なければしばらく泳がしたほうが良いのではないか」
アレクが言う。
「そんな、アレク様。あの二人を囮に使うのですか」
きっとしてクリスが言う。
「ヒィィィ。いえ、決してそのような」
アレクはクリスの剣幕に驚いて否定した。クリスは特にシャラザールは危険だ。
「でもクリス、ザール教がパラウェイを広めているのならば早急になんとかしないと。警戒されると証拠を消される可能性があるぞ」
ジャンヌが言う。
「幸いなことに次の日曜日は4日後だ」
「判りました。私もその礼拝に参加します」
「えっちょっとクリスどうやって」
オーウェンが慌てて止めようとする。
「変装して、行くに決まっています。私のかわいいあの子達に麻薬を使うなんて絶対に許しません」
クリスが言い切った。
「しかし、クリス、早まっては絶対に駄目だぞ」
ジャンヌが言う。
「そうです。クリス様。雷撃は多くの死人が出ます」
フェビアンも慌てて言った。
「フェビアン。あなたがもっと早く私に言ってくれれば良かったのに」
「えっ、私ですか」
クリスの剣幕にフェビアンが慌てる。
「グリフィズ。人手が足りないのならば、フェビアンを使って下さい。この麻薬事件が片付くまではフェビアンをそちらに出向させます」
「えっ、そんな殺生な」
「何か言いましたか」
クリスがきっとして言う。
「いえ、何でもありません」
「それとアルバートをそちらに。オーウェン様とコレキヨ様はシュテファンとスティーブをお借りしてもよろしいですか」
「それは」
「まあ」
二人はクリスの剣幕に頷くしか無かった。
「お姉様とジャスティンはザール教の動きを探って下さい。アレク様も協力をお願い致します。
アメリア様は確か、学園のピーロネン先生がおそらくザール教です。学内のザール教の動きと麻薬の流れがないかどうか、早急にお調べいただけますか」
皆頷いた。
「おのれザール教め。よくも私の可愛い子たちに手を出そうとしましたね。絶対に許しません」
クリスは手を握りしめて宣言した。
それを皆唖然としてみていた。
もし、何か間違いが起ってシャラザールが来臨したら、下手したら国都ナッツァが壊滅する。
ジャンヌらは危機感を持って慌てて動き出した。
皆さん、ここまで読んでいただいて有難うございます。
次回、ジャンヌよりも危険な??? クリスが礼拝に忍び込みます。
その結果は如何に。シャラザールは来臨するのか。国都ナッツァの運命は?
明日の20時更新予定。こうご期待!








