麻薬事件はザール教が噛んでいるのが判明しました
その日の閣議は麻薬、パラウェイによる、事件が議題に上った。パラウェイは最近庶民の間で流行りだした麻薬で、気分がハイになるが、常習性があり、最悪廃人になる怖い麻薬だった。
「今週に入って既に3件、パラウェイによる事件が起こっている。飲み屋の事件では5人も死んだ」
閣議でジャンヌが報告した。
「多いな」
オーウェンが顔をしかめて言う。
「パラウェイを取り締まろうとしているのだが、中々、販売ルートの特定ができていません」
グリフィズが報告した。
「そうですか。グリフィズ様でも特定できませんか」
クリスが残念そうに言う。
「うーむ。グリフィズにはもっと頑張ってほしいですな」
ジャルカが言う。
「最近、冴えが足りんのでは」
「ジャルカ様。仕事が多すぎるんです。ザール教のことも調べないといけませんし、もう少し人員を増やしてほしいんですけど」
「しかし、人員不足はどこでも同じだぞ。担当の兵士らを増やしても効率は上がるまい」
「何だったら手伝うが」
オーウェンの言葉にジャンヌが言う。
「殿下は現場対応をお願いします。諜報活動はいろいろと複雑なので」
「なんだ、それは私がいると仕事が増えるってか」
グリフィズの言葉にジャンヌが噛み付く。
「それは私が言いたいですぞ。なんですか、血を吹き出している老婆ばかり私のところに連れ込んで」
ジャルカが文句を言う。
「はんっ、仕方がないだろ。あのまま放っておいたら死ぬんだから。ジャルカのところに連れていくしかあるまい」
賢者ジャルカは治療魔術も第一人者で今まで多くのものを治療していた。
「いや、まあ、それはそうですが、何で老婆ばかり」
「文句は犯人に言えよ。こっちは死者を出さないように必死なのに」
ジャンヌが怒って言う。
「凄い。ジャンヌが正論を言っている」
アメリアが感激して言った。
「アメリア、どういう事だ」
「本当にジャンヌが正論を言うなんて」
食って掛かるジャンヌにオーウェンまで、感激して言う。
「お前らなあ」
ジャンヌが怒って言う。
「まあまあ、ジャンヌお姉様のお力でお二人も死なないで済んだのですから、素晴らしいことですわ」
クリスが感激して言う。
「私やオーウェン様ではこうはいかなかったですから。全てはお姉様のお手柄です」
「えっクリス、俺は約立たずなわけ」
オーウェンが機嫌を損ねるが、
「えっそうか」
ジャンヌが照れて頭をかく。
「これからもその調子でお願い致します」
「ちょっとクリス様。ご老人を治したのは私なのですが」
ジャルカが少しいじけて言う。
「それはよーく存じ上げております。流石に世界の大賢者ジャルカ様です。これからも宜しくお願いしますね」
クリスがニコっと笑って言った。
「そして、ジャルカ様。ジャルカ様の偉大なお力の一部を捜査にもお使い頂けるとありがたいのですが」
「うーむ。クリス様にそう言われては仕方がありませんな。グリフィズを少し手伝いますかな」
仕方がないという態度でジャルカが言う。
「宜しくお願い致します」
「ではクリス様。1つアドヴァイスを」
ジャルカはクリスを見て言った。
「ザール教が怪しいですぞ」
「ジャルカ様からお教えいただいた最近信者が増えているというザール教ですか」
「礼拝で麻薬を使っているのではないかという噂があります」
ジャルカは衝撃的な発言をした。
「ザール教の布教に麻薬を使っているのですか」
驚いてクリスが言う。
「何も驚かれることではありません。過去、いろんな宗派で麻薬が使われていたことは歴史が証明しております。少し頭を使えば判ることですぞ。グリフィズ」
ジャルカが嫌味ったらしく言った。
「ザール教か。それなら最初からそう言っていただければ良いものを」
グリフィズがブツブツ言う。だからザール教を調べろとジャルカは言ったのか。グリフィズはやっとジャルカの調べろと言った意味が判った。
「そうか、ザール教か。では早速、私が変装して礼拝に潜り込んでみよう」
ジャンヌが嬉々として言った。
「えっ、いきなり、ザール教の教会を廃墟に変えるつもりか」
オーウェンが言った。
「何を言うんだ。私もいきなり爆裂魔術を使うつもりはないぞ」
「しかし、ジャンヌ、お前は教会なんて行ったら即座に寝てしまうだろう」
「そうよ。宗教なんてだるいの一言で教会なんて行ったことがないじゃない。そんなあなたが、ザール教のお説教じっとして聞いていられるの?」
「しゃらくさいっていきなり、爆裂魔術炸裂させかねないじゃない」
「流石にそこまではしないぞ。15分は我慢して聞く」
「15分しか黙っていられないのかよ!」
オーウエンが叫ぶが、全員盛大に突っ込んでいた。
「そもそも、ジャンヌが宗教なんて絶対にハマりそうにないじゃない。そんな人が行っても警戒されるだけよ」
アメリアが更に言う。
「何だよ、それは」
ジャンヌは不機嫌になった。
「魔導師団なら、ライラとかならいいんじゃないか」
オーウェンが言う。
「じゃあザンをつけるか」
「ジャンヌ何言ってんだよ」
「そうよ、ザンなんて連れて行ったら、当局が目をつけましたなんて言っているのと同じじゃない。見た目そのまま兵士かヤクザでしょ。絶対に警戒されるわよ」
オーウェンとアメリアに馬鹿にされる。
「そうか?見方によっては信心深そうに」
「見えるか!」
「見えないわよ!」
ジャンヌは二人に駄目出しされていた。








