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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第九章 ザール教騒乱

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魔導学園の歓迎パーティーに田舎公爵令嬢が出席しました

ボフミエ魔導国のハイドランジア公爵家は2代前の皇帝の弟が祖となっており、その領地はドラフォードとの国境の山の中にあった。もはやボフミエ魔導国に2家のみとなった公爵家の1つだ。今回の騒乱でも、跡取り娘の ロヴィーサはまだ若く、没落からは免れていた。もともと田舎にあり、皇帝の手助けもあまりせず、皇帝も田舎の公爵家とあまり相手にもせずに放って置かれたから、没落も無かったのだ。ロヴィーサも16歳を迎える年になり、この4月から魔導学園に通っていた。国都の邸宅は魔導学園に近く、そこから通っていた。


「宜しいですか。姫様。姫様は由緒正しい公爵家の跡取り令嬢なのです。ボフミエでは皇族を除いて一番高貴な家柄なのです。本来ならばボフミエ皇帝となってもおかしくない方なのです。ボフミエ帝国を乗取ったクリスなどとかいう辺境の国の貴族の令嬢など目ではありません。軽んじられてはなりませぬ」

侍女頭のウルスラが滾々と諭していた。


「そうよね。このボフミエは本来ならば私の国なのよね。それを魔力量が多いとかというとんでもない理由で、あの田舎娘に乗っ取られたのよね」

「左様でございます。もっと我々共がしっかりしておれば、姫様にこのような屈辱を味合わせることは御座いませんでしたのに、本当に口惜しい限りでございます」

「その方らのせいではないわ。私の力が足りなかったのよ。でも、いつまでも田舎娘の後塵を拝してばかりはいられないわ」

「その心意気でございます」

ウルスラは姫の成長具合に感激して言った。


「所で、今日はオーウェン様はいらっしゃるのかしら」

脳天気なロヴィーサの声が響いた。実はロヴィーサにはウルスラの言葉の意味がよく判っていなかった。自分自身が皇帝なんぞになりたいとも思ってもいなかった。それよりも今日は見目麗しい、王子様に会えると心待ちにしていたのだ。

何しろ、ハイドランジア公爵家は山に囲まれた土地で、世界の中心はボフミエでその南に同じ国力のドラフォード王国があるという認識だった。他の国々は辺境の国なのだ。テレーゼ王国など、田舎の王国くらいの認識だった。隣国の黒髪の貴公子のことは田舎のハイドランジアにも響いており、ロヴィーサの憧れでもあった。


「ドラフォードの皇太子殿下ですか。おそらくいらっしゃるとは思いますが」

ウルスラはいきなりの話題の変化に戸惑った。

「お話することはかなうかしら」

「まあ、ハイドランジア家の姫様が願われるのでしたら、問題ないかとは思いますが。何しろ姫様はこのボフミエの公爵家のご令嬢です。ドラフォード皇太子殿下のお相手としても十分に釣り合います。少なくともクリスの小娘よりもふさわしいのは確実かと」

「判ったわ。頑張ってお話してみるわ」

ロヴィーサの頭はお花畑になっていた。

「オスキャル、ドリス。姫様の護衛の件宜しくお願いしますよ」

「はい」

「お任せください」

ウルスラの言葉に二人は余計なことを言わずに頷いた。


3人は学園まで公爵家のお抱え馬車に乗り込んだ。

「オーウェン様はどんなかなのかしら」

ロヴィーサは優しい黒髪の貴公子と話せる事を期待して一人赤くなっていた。

ロヴィーサは自分の世界に入り込み前に座る二人のことなど眼中に無かった。


「学園のパーティーってどんな感じなのかしら」

一人夢見るロヴィーサを放っておいて騎士見習いのドリスは呟いた。

「公爵領で開かれるパーティーを大きくしたものではないかな」

魔導師見習いのオスキャルが言う。

「まあ、学園であるんだから俺らは制服だし、生徒達が大半だし、そんなに変わらないんじゃないかな」

「クリス様がいらっしゃったらその護衛騎士のメイ様にお会いできるかしら」

「それなら、弟君にお会いしたいよ」

姫様の二人の護衛兼御学友は侍女頭のウルスラや ロヴィーサとはまた少し違う考えを持っているらしかった。



アメリア魔導学園の高等部と中等部の合同歓迎パーティーは本来、入学式の後1週間位で開催される予定が、陳国争乱で今日まで延ばされていた。魔導学園は全3学期制。1月期と4月期9月期に分かれて順次生徒の入学を認めていた。今回の4月は新たに領地に入ったクロチアとモルロイの生徒も多数いた。陳国の留学生も。陳国への援軍の件もとりあえず収まり、やっと王宮も含めての歓迎パーティーとなったのだった。



最初の挨拶をしに、生徒会長のトリポリ国皇太子のタールが壇上に登った。

「中等部100名、高等部200名の新入生の諸君。入学されてから1ヶ月が立ちましたが、このアメリア魔導学園に慣れられましたか。生徒会長のタール・トリポリです。今日は皆さんの歓迎会です。アルコールは置いていないけれど、大いに楽しんでください。そして、今日はスペシャルゲストに王宮の皆様をお呼びしています。これからの世界を背負って行かれる方々です。今日は出来たらできるだけ生徒と話してほしいとお願いしました。一言でもお話できたら、家族に自慢できると思います。頑張って大いに楽しんでください。ではここで、乾杯の音頭をこの3月まで魔導コースに在籍いただいていたジャンヌ・マーマレード魔導師団長にお願い致します」

タールはマイクをジャンヌに渡した。


「うーん、挨拶は苦手なんだけどな」

言いながらジャンヌはジュースのグラスを持って立った。


「みんな、元気か」


「おう!」

一部の生徒が声を上げるが

「声が小さい。特に魔導クラス。そんなんじゃ実戦に出せないぞ」

ジャンヌが叫ぶ。

「みんな元気か」

「おおおおー」

全員大きな声を出す。特に魔導クラスの面々が。


「そうその調子だ。我が魔導師団も人手不足だ。君たちの1日も早い実戦配備を待っている。

君等の前途を祝して乾杯」

ジャンヌは大きくグラスを突き出した。

「乾杯」

大きな声がこだました。

そして歓談が始まった。


久々にクリスと女の戦いが起こる予感?

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

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はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[一言] オーウェンが男らしくロヴィーサを振ることを期待しています。 ※無理かなぁ...
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