クリスは赤い死神の弟に怒りの雷撃浴びせました
「おいっ。そこのアレクの能無しの弟」
横からジャンヌがちょっかいをかけた。
「誰が能無しだ」
「彼奴等は放っておいてそろそろ戦おうぜ」
指を鳴らしながらジャンヌが言う。
「ジャンヌ勝手なことをするな」
慌てて画面にアレクが戻る。
「えええ!だって見てるの飽きたぞ」
「ジャンヌ。何勝手なことやっているのよ」
アメリアも参加してくる。
「もういい、そこのボフミエの小娘」
マトヴェイが切れて言った。
それもアメリアを筆頭魔導師と間違えて。
「はんっ。誰がボフミエの小娘よ。あなた私が誰かわからないの?」
「えっ違うのか」
「本当に。ノルディンの王子ってバカしかいないのね」
「おいっ。アメリア。皆が皆あんなではないぞ」
たまりかねてアレクが出てくる。
「だって敵対国のトップの筆頭魔導師の顔も知らないのよ。それにふつう、常識としてテレーゼの皇太子の顔くらい知っているわよ」
「まあ、テレーゼなんて所詮3流国家だからな」
ジャンヌが面白がっていった。
「何ですって。あなたが有名なのはガサツだからでしょ」
「何だと。アメリア。やるか」
ジャンヌが前に出る。
「ふんっ。知能でならいつでも勝負してやるわよ」
「ち、知能………」
途端にジャンヌの威勢が弱くなる。頭では到底アメリアには敵わない。というかねジャンヌが勝てる奴はボフミエのスタッフにはほとんどいなかったが。
「それにあの能無し、絶対にあなたのことさえ誰か判っていないわよ」
「そんな事あるか。なあ能無し」
ジャンは画面に向かった。
「誰が能無しじゃ。いいかげんにしろ。ボフミエの騎士風情が偉そうに言うな」
マトヴェイは切れて叫んでいた。
「ほら見てみなさい。やっぱり判っていないじゃない。本当にノルディンってバカしかいないんじや無いの」
アメリアが完全に馬鹿にして言った。
「皆様。もうその辺りで」
しびれを切らしてクリスが前に出た。
「クリス」
文句を言おうとするジャンヌをクリスが手で制する。
「やっと判る奴が出てきたか」
「マトヴェイ殿下。お初にお目にかかります。ボフミエ魔導国筆頭魔導師クリスティーナ・ミハイルです」
「ふんっ。ボフミエの小娘か。辺境の小国の小娘が大国の王子に何の用だ」
マトヴェイは鷹揚に尋ねた。
「生意気な」
その言葉に切れたジャスティンが城内で剣を一閃した。
城壁が吹き飛び、唖然としたノルディン軍が全く動けない一瞬のうちに斬撃が林の中の本陣を直撃した。流石にこの距離では大したことはなかったが、マトヴェイは弾き飛ばされて木に叩きつけられていた。
「ジャスティン」
クリスが注意するが、
「申し訳ございません。我慢できませんでした」
ジャスティンが一礼する。
ノルディンの兵士たちは唖然としていた。斬撃で5キロ以上ある距離を直撃させたのだ。それも城内からの攻撃でだ。
何とか傷だらけになりながらマトヴェイは立ち上がった。
「おのれ。小娘共が。もう許さん。この陳の地を制圧した後は貴様ら全員奴隷にして一人ずつ、なぶり殺しにしてやるわ。人間爆弾にして恐怖の…………」
「黙れ!下郎!」
クリスは完全にプッツン切れていた。叫ぶやクリスの体内が光ったかと思うと雷撃が城壁を突き破って直接ノルディンの本陣を直撃した。
マトヴェイは迫りくる光を認識できたかどうかは判らない。一瞬で黒焦げになった。
謁見の間の城壁は完全に吹き飛び外の景色が見えた。
そして、そこには憤怒の形相のクリスとそれを呆然と見ているジャンヌ達がいた。
周りの兵士たちは何もすること無しに一瞬にして本陣が壊滅していた。
そのあまりの力の大きさに、ノルティン軍の残りの兵達は平伏。生き残った全員が降伏していた。
やはりクリスは怒らせてはいけません。
次回今章最終話です。
ここまで出て来なかったあの方が戦えなかった陳国軍の嫌がらせによって出現?








