大国国王は陳国援助をいやいや決めました
一方、ドラフォード王国では、国王のピーターはブル―ノ・ハウゼン56軍務大臣からノルディン軍の侵攻の様子を確認していた。
今回のノルディンの侵攻に対してドラフォードとしては陳国を見捨てることにしていた。元々陳国は大国で昔はこの大陸の覇権を握っていたこともあったからプライドが高い。ドラフォードともそんなに仲は良くなかった。しかし、10年前にノルディンに負けてからの陳国の凋落ぶりは目に余るものがるある。本来ならばノルディンの勢力が強くなるのは歓迎しないので、ここは陳国を援助するのが基本だ。しかし、最近息子同士がボフミアで仲良くなっておりノルディンとの仲も改善されており、陳国との昔の因縁もあってここは静観を決めたのだ。ピーターとしては陳国がなりふり構わず、助けを求めてきた時に援助しようと目論んでいた。
陳国の部隊が国境沿いに展開しているが、ノルディンの主力相手に戦えるとは思ってもいなかった。宋城なんてまたたく間に陥落するだろうと予測していた。
「陛下。王太后様から連絡ですが」
執務していたドラフォード国王ピーターは補佐官に呼ばれた。
「母上からか。珍しいな」
画面を繋がせるといきなりノルディンの魔導師が映った。そして、魔導師は爆裂魔法を使う。その攻撃によって城壁にたっていたドラフォードの旗が爆発して吹き飛ぶ様子がはっきりと映っていた。
「な、何だこれは」
ピーターは驚いた。
「ピーター、見たかい」
王太后の姿に変わる。
「オーウェンがこんな画像送ってきたんだけれど、いつからドラフォードはノルディンに旗を攻撃されるようになったんだい。うちの爺さんの自慢はノルディンに旗を攻撃されたことは無いだったからね」
「何をおっしゃっていらっしゃるんですか。父上は私よりも圧倒的に多くノルディンと戦闘していたんですから、旗なんか嫌ほど攻撃されているでしょ」
「いやね、爺さんはそんな事は無いって言っていたよ」
いけしゃあしゃあと王太后が言う。
「母上、早急に検討しなければいけないことが出来たのでこれで失礼しますよ」
「何だい。1ヶ月ぶりに電話で話しているのに」
「その事情を提供してきたのは母上ですよね」
ピーターは母を白い目で見た。
「何のことか判らないけど、私はノルディンにでかい顔させるのは許せないよ」
言うや王太后は画面から消えた。
「ええい、オーウェンめ。何を始めた。直ちに外務卿のアーサーを呼べ」
補佐官が電話をつなぐとまた、ドラフォードの旗が破壊される画像が最初に出た。
「ええい、何だこれは」
それを見て国王のピーターが怒った。
そこに外務卿のアーサー・アルフェスト公爵が出る。
「魔導電話をかける度に出るようですな。各地から苦情の電話が鳴り出しております」
淡々とアーサーが応えた。
「おのれオーウェンめ。何ということをやってくれたのだ」
「オーウェン様は今宋城に入られているとか」
「何だと。ノルデインの侵攻先ではないか」
「赤い死神を始め、各国の皇太子がこぞって入城しているそうです」
「で、ノルディンの馬鹿な指揮者が各国の国旗を攻撃しているということだな」
「そのようですな」
「本当に面倒くさいことを。ノルディンの陳国侵攻は見守るということだったのではないのか」
「何でも筆頭魔導師のクリスティーナ様に魔導爆弾攻撃をノルディンが仕掛けたようで、ボフミエの首脳陣は切れて攻撃に移ったようです」
「何をやっているのだ。あのおままごと王朝は。全員ノルデインの大軍に殺されるぞ」
「陳国への赤い死神の報告ではノルディン軍を瞬殺すると言っていたようですか」
「瞬殺するような奴らがこのようないやらしいことを考えるものか。取り敢えず私の名前でノルディン帝国に抗議を行え」
「御意」
「後はどうなっても知らんぞ」
ドラフォード国王は今後の対応の事を考えると憂鬱になってきた。
この画像を見て軍部の連中が怒り狂ってノルディン相手に戦闘をと言ってくるのは目に見えていた。
陳国への援軍を出せとも行ってくるだろう。
そもそもボフミエに駐留している東方第一師団の連中の一部が既に宋城についていって戦闘に参加している可能性が大きいことに国王は気付くと頭を抱えてしまった。
「ブルーノ!東方第2師団と第3師団を陳国救援に赴かせろ」
考えた末にピーターは言った。もうこうなったら仕方がなかった。
「宜しいのですか」
「仕方あるまい。皇太子が宋城にいる段階で援助しているのと同じだ」
苦虫を噛み潰したようにピーターは言った。
各国位置関係
ノ ル デ ィ ン 帝国
マーマレード 海 陳国
テレーゼ トリポリ 陳ジパグ(島)
海 ボフミエ 陳
ド ラ フ ォ ー ド 王 国
見づらいですけどだいたいこんな感じです。テレーゼはもう少し左側
マーマレードとドラフォードの間は海がボフミエと陳国の間には小さい国がいっぱい
領地最大はドラフォード 人口は陳国とドラフォードが最大 軍事力はノルディンとドラフォードが同じ。








