宋城に北の大国の大軍が攻め寄せ各国の旗を何も考えずに攻撃しました
皆さん。いつも読んで頂いて有難うございます。
宋城では防戦の準備にしゃかりきになっていた。
その中、広間が突如光って50名ほどが転移してきた。
「ようこそお越しいただけた。この宋の地に。この地の責任者、子・来です。」
宋の地の子伯爵が手を差し出す。
「子伯爵にお会いできて光栄です。クリスティーナ・ミハイルです」
クリスがその手を握り返す。
「しかし、このような戦場にお越し頂いて宜しかったのですか」
「ノルディンの行為は許せません」
「しかし、50名ほどの戦力ではどうしようもないのでは」
伯爵は転移してきた人影を見て言った。
「これは伯爵、異な事を仰る。これだけいれば筆頭魔導師様の助けも借りずともノルディンの3個師団程度ではびくともせんが」
アレクが後ろから言った。
「あ、赤い死神…いや、アレクサンドロ皇太子殿下。あなたがここにいらっしゃるとは」
伯爵は驚愕して言った。
「私はボフミエ魔導国の外務卿です。ノルディンとは関係ありませんので」
驚いた伯爵にアレクが言い切った。
「えっ、しかし貴方様は自分の国の軍と戦うとおっしゃいますか」
「伯爵。アレクサンドロ様には私と依然王女とで無理言ったのです。でも、アレク様、戦いの時は是非とも後方でご覧になっていて下さい」
クリスが間に入って言う。
「そのような事。許容できかねますな。そもそもクリスティーナ様に手を出すとはノルディンは何をトチ狂ったのか。ここは鉄槌を下す必要がありましょう」
アレクはさも当然のように言い切った。伯爵には赤い死神の真意は判らなかったが、アレクが戦場に出るつもりなのは理解できた。
「お話中宜しいか、子伯爵」
「こ、これはドラフォード皇太子殿下」
ドラフォードの皇太子の登場に子伯爵はまた固まった。
よく見ると一同の中には赤い死神ことアレクサンドル・ノルディン帝国皇太子はじめ、陰険皇太子のオーウェン・ドラフォード皇太子の二人の他に、暴風王女のジャンヌ・マーマレード皇太子、アメリア・テレーゼ皇太子、コレキヨ・ジパグ皇太子、依然陳国王女までいた。
オーウェンは悠然に合図を送った。
「お父様。この旗を城壁一面に立てていただきたいのです」
悠然が言って大量の旗を見せる。
「えっこの旗をですか」
「そうです」
進言者のオーウェンが頷く。
「アレクサンドロ様。頼みますからトリポリの旗だけは立てないで下さい」
何故か連れてこられたトリポリ国王が必死にアレクにすがっていた。たまたま、ボフミエに遊びに来ていたところをアレクに捕まって無理やり連れてこられたのだ。
「何を言う。トリポリ国王。貴様クリス様に魔王の時は助けられて、こういう時はお手伝いを拒むのか」
「いえ、そう言うわけではありませんが、我が国はノルディンとの国境にございまして」
「しつこい。もしノルディンが攻撃してくれば筆頭魔導師様が今回のようにノルディンに対して攻撃して頂けるわ」
アレクらはトリポリ国王を無視して行動に移った。
宋城の城壁にはボフミエ魔導国の旗を始め、ドラフォード王国、マーマレード王国、テレーゼ王国、ジパグ王国、トリポリ国、そして何故か敵のノルディン帝国の旗まで陳国の旗に並んではためいていた。
「オーウェン、私、お母様の了解得ていないんだけど」
テレーゼ皇太子のアメリアが不安そうに言う。
「そんなの俺も父の了解は得ていないよ。良いんだよ。ノルディンの攻撃が1発でも旗に当たれば大々的にその国に流してやるから」
「なんか、それ、詐欺じゃない」
アメリアが嫌そうに言う。
「旗を攻撃するということはれっきとした宣戦布告だからな」
さも当然とばかりにオーウェンは言う。オーウェンの目論見としてはノルディン軍が旗を攻撃したことを理由に各国を攻撃したと声高に宣言するつもりだった。ノルディンに対する戦闘行為に否定的な諸国も自国の国旗が攻撃されれば黙っている訳にいはいかない。そこを世論を味方に悪のノルディン帝国対陳王国はもちろんのことボフミエ魔導国、ドラフォード王国、マーマレード王国、テレーゼ王国、ジパグ王国も入れて6カ国の対立に持っていこうとしていた。
「でも、クリスを暗殺しようとした事自体、既に宣戦布告しているぞ。私も本来ならば謁見の間に行く予定だったし」
「しかし、クリス嬢の機転で未遂に終わったからな」
オーウェンはホッとして言う。
「オーウェン、貴様、アデリナの母が死ねばよかったと思っていたんだな」
オーウェンの言葉にジャンヌが言う。
「まて、ジャンヌ。俺はそんな事は一言も言っていないぞ」
「でも、そうであったならばこんな事をしなくてよかったと思っているだろう」
「オーウェン様。最低」
ジャンヌに続いてボソリとクリスが言った。
「いや、違うからね、クリス。俺はそんな事は思っていないから」
「絶対に思っている」
「最低ですわ」
アルバートとナタリーのドラフォード出身のクリスの親衛隊コンビが言う。
「ちょっと待て二人共、自国の皇太子に向かってひどくない?」
「何度も言うように私はクリス様の騎士です」
「私も祖父の許しを得ています」
「お前らなあ」
オーウェンが怒って言う。
「ノルディン帝国軍。大挙して現れました」
そこへ、ノルディン軍が隠れていた林の中から姿を現した。
次々に林から出てくる。
「宋城の城壁の上に何か色々光っていますが」
ノルディンの伝令が司令官に伝える。
「ふんっ。どの道、何かの兵器だろう。ええい、このような小城、一撃で屠ってやるわ。魔導部隊、城壁の上部攻撃せよ」
第5師団長のヴァレンチン・ シュリギーンが命じていた。
魔導師が前に出る。
そして、次々に遠距離爆裂魔法を放った。
立っていた旗が次々に攻撃された。
「よし、早速ドラフォード2本。マーマレード2本。何故かノルディンの旗も2本。彼奴等自国の旗攻撃してどうするのかねえ」
それを喜々としてオーウェンは見ていた。
「ヘルマン。そちらに画像送れたな」
「はい。受け取りましたけど」
魔導電話のオーウェンにボフミエ国にいるヘルマンが応える。
「じゃあ早速各国に大々的に配信してくれ」
「判りました」
ヘルマンは電話を切った。
「だって、スミス」
後ろで聞いていたスティーブ・スミスにヘルマンが振る。
「これ流すんですか」
「なんか地味というか」
「面倒くさいですよ」
スティーブ、シュテファン、ロルフの3人がそれぞれ文句を言う。
「仕方がないだろう。陰険皇太子がやれっていうんだから」
「へいへい」
みんな、いやいやながら、早速動画を流したり各国に連絡したりし始めた。
陰険皇太子の作戦に何も考えていない北の大国がひっかかりました
ボフミエ魔導国軍紹介
北方師団
南方師団
王城師団
の3つに分かれる。
それ以外に騎士団 騎士団長ジャスティン・ギンズバーグ28
魔導師団 マーマレードのジャンヌ中隊を中核にしている。ジャンヌ・マーマレード21 マーマレード皇太子現ボフミエ魔導師団長
が別にある。
現在は戦力不足により南方師団はドラフォード東方第一師団が肩代わりしている。
それ以外に赤い死神のアレクサンドル・ボロゾドフ
そして史上最強の魔導師クリスティーナ・ミハイルがいる。
今回は赤い死神、正義の騎士、暴風王女とその中隊でこれに悪巧みのオーウェンが加わればノルディン3個師団程度と十分に対抗できるだけの戦力を揃えている。
その後ろには最終兵器のクリスがおり、完璧な布陣。








