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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

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大国皇太子は怒ったクリスに頬にもみじマークを付けられました



クリスは夜遅くまで閣議室で黙々と出張の間の溜まった仕事を片付けていた。

それを心配した顔でナタリーは見ていた。クリスは何かしていないと心が休まらなかった。オーウェンが彼の幼馴染の悠然王女を追いかけていってから既に二時間以上がたっていた。クリスはとても不安だった。


そこへ憔悴したオーウェンが入ってきた。

「オーウェン様!」

ナタリーが思わず、非難の声を上げる。

「クリスティーナ様に報告があって来た。皆は申し訳ないが少し外してくれないか」

珍しく改まった口調でオーウエンが言った。

「しかし…」

「良いの。ナタリー、皆も少し外してくれる」

クリスを心配するナタリーらにクリスが言う。


ナタリーらは顔を見合わせるとクリスが頷くので仕方無しに外に出た。


「オーウェン様。報告とはどのようなことですか」

仕事の手を止めてクリスはオーウェンを見た。


「ごめん、クリス。隣りに座っても良いか」

「えっ、隣に?」

クリスは書類の山を見て躊躇したが、それをどかせて席を開けた。


「どうぞ。ドラフォード皇太子殿下」

「有難うございます。ボフミエ筆頭魔道士様」

言うや、オーウェンは隣りに座った。なんとも堅苦しい言い方だった。

しかし、オーウェンは話すことはなく、地面を見つめているだけだった。

そのオーウェンの前の机の上にクリスが紅茶を入れて渡した。


「どうぞ」

「有難う」

オーウェンは一口飲んだ。


「クリス、少しだけ話して良い?」

クリスの方を向いたオーウェンにクリスは頷いた。


「おれ、ずうーっと好きな子がいた。でも、その子はいつの間にかいとこの婚約者になっていて手の届かないところに行った。もう最悪だった。他国の皇太子の想い人に横恋慕してどうするって父や母に言われて。それが大国の皇太子のすることかとか、散々言われてとても辛かった。でも、諦めきれなかったんだ。そして、王立高等学園に留学した。もう、諦めるために最後に行ったんだ。

でも、その子がパーティーで婚約破棄されたんだ。

その時、その子には悪いけど、俺は歓喜に震えていた。神様がやっと俺の言うことを聞いてくれたって。

やっと普通に話せるって。でも、その子はドラフォードなんか大国の皇太子の婚約者は厭だって言うんだ。俺はもう絶対に皇太子なんて辞めてやるって思った。

でも、その子はどんどん強くなっていつの間にかこの国の筆頭魔導師になっているし、いつの間にか大国の皇太子を5人も下に従えているんだ。たかだか1国の皇太子ではもう釣り合わないんじゃないかって最近は思い出している」

クリスはオーウェンが何が言いたいか全然判らなかった。

今までは好きだけど嫌いになったと言いたいのかと。クリスは真っ青になった。


「オウ、それで、依然王女が好きになったの?」

下を向いてボソリとクリスが言った。


「はんっ何言ってるんだ。俺はクリスがエドの婚約者だった最悪の時からずうーっとクリスが好きなんだぞ。そんな理由で諦めれるわけ無いだろう」

「本当に?」

「俺の態度見たら判るだろ」

「王女と仲良くしていた」

「クリスの方こそコレキヨとめちゃくちゃ親しそうだったぞ」

「あれは新しい仲間に対する態度よ」

「俺のもジャンヌとかアメリアに対する態度と同じで、戦友っていうか、仲間に対する態度だろ」

「でも私よりも近かった」

「そんな事無いよ。近いっていうのはこういうことだろ」

言うやオーウェンはクリスを抱き寄せた。

「えっオウ」

クリスは慌てて離れようとするが、オーウェンは離してくれない。

「ごめん、クリス、少しだけこうしていたい」

オーウェンはクリスを抱きしめていた。そしてクリスの首筋に顔を埋めた。

「えっ、ちょっとオウ」

更にクリスは慌てる。

「ごめん。クリス。少しの間だけ慰めて」

オーウェンの腕の中にすっぽりとクリスは覆われていた。

「依然は陳国をノルデインの攻撃から助けて欲しいって言いに来たんだ。

ドラフォードに。でも俺は今はドラフォードの皇太子ではなくてボフミエの内務卿だ」

「ドラフォードに繋いであげることは出来たんじゃないの」

「陳国は既に父らと交渉しているだろう。それで駄目だから陳王女と幼馴染の俺の所に悠然を寄越したんだ。でも、俺の言葉で国王が方針を変えるとは思えない。

そして、ボフミエ魔導国自体も建国してすぐで到底陳国を助けられる力はない。

泣いて助けてっていう幼馴染に対して頷くことは出来なかった。ただただ抱きしめることしか出来なかったんだ」

その最後の言葉を聞いた瞬間クリスはプッツン切れていた。

「オウ、最低」

思いっきりオーウエンを引き離して、頬を叩く。

「えっクリス」

「女だったら誰でも抱きしめるの!!」

「いや、誤解だから。女として抱きしめたんじゃなくて・・・・・・」

オウは必死に言い訳しようとした。


ドンッ


しかし、そこにウィルが転移してきた。クリスに駆け寄ろうとしたオーウェンを突き飛ばす。


「姉さま。アデリナの母の居所が判ったよ」

ウィルは喜んでクリスに駆け寄った。

ボフミエ魔導国はGAFA等によって奴隷として売られた人々を捜索していた。その探査に行っていたウィルが成果を上げて帰ってきたのだ。


「本当なの。それならすぐにアデリナに知らせないと」

クリスは喜んだ。


「クリス様大丈夫ですか」

大きな音を聞いて外に待機していたナタリーらが流れ込んできた。

そこには書類の山に突っ込んだオーウェンと手を取り合って喜んでいるクリスとウィルがいた……

オーウェン…自分の胸で泣く依然の希望を全く叶えられなかった。同じ国民を背負う戦友の幼馴染に最後の死亡宣告をしたつもり

クリス…自分以外の女を胸で泣かすなんて許せない。それにまだ出来ることあるでしょ。さっさと諦めるな


次回クリスの善意全開で困り果てる赤い死神

乞うご期待 明日の20時更新予定

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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