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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

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東方王女の護衛はクリスの必殺爺殺しの得意技の前にあえなく撃沈・東方王女は絶望のあまり飛び出しました

すいません。この部分が抜けていました。

クリスと悠然は襄公の件で仲良くなったみたいで、その日の夕食も一緒に食べていた。

「城には襄公書と言われる書物が残っているんです」

「本当なの。それは素晴らしいじゃない。是非とも見せていただきたいわ。もし許されるならそれを執務室にでも貼りたいわ」

「えっこの飛ぶ鳥も落とす勢いのボフミエ国の執務室に張って頂けるんですか」

「そうよ。心の歪んだ皇太子殿下達に是非とも毎日見て心を正して頂きたいわ」

食堂をぐるっと見渡してクリスが言う。

「えっいや、クリス」

青い顔でオーウェンが言う。

「クリス、それは許して。礼儀作法だけは駄目」

頓珍漢な言葉を言うジャンヌは涙目だ。宋襄の仁と儒教を同一視していた。何しろマーマレードの王妃は礼儀作法に煩く、それに耐えられたのはクリスだけだった。

ジャンヌなんて「実戦にはいらない」の一言で逃げ出したくちだった。


「何をおっしゃっていらっしゃるんですか。お姉様。物事は礼に始まり礼に終わるんです」

「いや、それは判るけど限度が」

「アレク様にも是非ともお判りいただきたいですわ。マーマレードに攻撃仕掛けられた時もいきなりの奇襲でしたし、そういう卑怯なことは止めていただきたいんですけど」

「いや、あの、クリス嬢。それ以来、そういう卑怯なことは一切していないよ」

「本当ですか。ノルディンなんて超大国で、普通にやっても勝てるのに、その上更に卑怯なことをするなんて世界常識の上でも許されませんわ」

「いや、ちょっと待って、ノルディンと私は違うからね。私は忠実なボフミエの外務卿だから」

アレクは必死に言い訳した。

これには陳国の留学生やジパグのコレキヨは驚いた。

あの傲岸無比で国王であろうと膝を屈する事の殆ど無いと呼ばれている赤い死神がタジタジになっている。信じられない光景だった。

それもどっちかと言うと絶対にクリスの方が我儘言っているのに、それをアレクが聞き届けているなんて。


「悠然さん。出来たら夏休みに一度お邪魔したいわ」

「クリス様がいらして頂けるならこれにまさる光栄はありません」

「もう、そんなにかしこまらないで。あなたは何千年も歴史のある宋王家の血を引き継いでいるのよ。私よりも高貴なんだから口調も呼び捨てで良いのに」

「そんな恐れ多い事はできません」

悠然は言い切った。

「これまで、祖先の事はどこでも馬鹿にされたことしかがないんです。ジャンヌ殿下みたいに礼なんて形だけで見栄張って負けたら意味がないとか、依然殿下にも祖先が襄公では子孫も大変ねと慰められるくらいで。クリス様のように、私でも知らない先祖の素晴らしいことを褒めていただくなんて初めてで、本当に嬉しかったです」

「何を言っているのよ。悠然さん。襄公のように、人の道にもとる者を正すのは本当に大切なことよ」

「有難うございます。クリス様。そんな風に和褒めて頂けるなんて夢みたいです」

涙目で悠然が感激していた。

それをボフミエの連中はまた、クリスが必殺爺殺しを炸裂させているとなま温かい目で見ていた。

これまで多くの者がこれでクリスに籠絡されて落ちていた。ドラフォードの軍部や王弟の仲間も、ボフミエのジャスティンも皆その口だった。

でも、当事者にとってはそうは取れなかった。


「ちょっとクリス様。うちの悠然にこれ以上余計なことを吹き込むのは止めて下さい」

依然が怒気を持ってクリスに食って掛かった。

「依然殿下。余計なこととは」

クリスが面食らって聞く。

「力のない者が格好つけて襄公のようなことをしても、国が滅ぶだけよ。それにそもそも、悠然は私の護衛魔導師なのよ」

「依然王女殿下。確かにあなたの護衛魔導師と長時間お話させていただいたのは申し訳ありません。しかし、襄公のお考えは素晴らしいと思うのです。確かにそのままこの国で実践できるかというと難しい面もありますが。その素晴らしい理想を蔑むのは止めて頂けてませんか」

クリスが言い返した。

「クリス様!」

そのクリスの様子に悠然は感激した面持ちで見ていた。


「いや、あの、悠然。私は別に蔑んだわけでは」

慌てて依然が言う。

「取り敢えず行くわよ。悠然」

依然が悠然をひっぱって行こうとした。

「すいません。依然王女。もう少しクリス様とお話させて下さい」

「えっ、悠然」

依然は目が点になった。この時に悠然に断られるとは思ってもいなかった。

「あの、悠然さん。あなたも護衛のお仕事があるのに、あなたを独占したのは私が悪いわ」

「いえ、クリス様。出来ましたら私をクリス様の護衛の一人としてお加えいただくわけにはいかないでしょうか」

「えっいや、あなたは依然王女の護衛でしょう」

「でも、アルバート様もドラフォードの騎士だったではありませんか。

私、今まで先祖のことでバカにされこそすれ、こんなに褒めて頂けたことは初めてです。

皆様の足元に到底及びませんが、是非とも貴方様の魔導師にさせて下さい」


「ちよっと。悠然。あなた主の私の承諾もなしに」

依然が慌てて立上って悠然に食いついた。

「依然王女。今までいろいろありがとうございました」

「私は許さないわよ。そんな急に」

「すいません。もう国王陛下の了承も頂いております」

「えっ父上の」

依然は絶句した。いつの間に父まで、というか何故父は私の了解を取ってくれなかったんだ。

「だからクリス様。お願いいたします」

悠然は跪いた。

「ちょっと待って。えっ、そんな急に言われても」

「いいわ、彼女はクリス様に差し上げます」

そう言うと依然は食堂を飛び出した。

「依然王女」

クリスが叫ぶが依然はそのまま飛び出した。

そして、クリスの前では涙をこらえる悠然がいた。

「申し訳ありません。クリス様」


クリスはオーウェンと目を合わせた。

頷いてオーウェンが出ていった。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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