表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/480

王宮舞踏会2 大国皇太子はクリスと踊れませんでした

そして、舞踏会が始まった。

ペアを作れた組が踊りだす。

官僚も参加していたので、圧倒的に男の方が多かったので、見ている男性は多かった。

クリスは新閣僚のコレキヨと踊りだした。

社交界の特訓を散々されたクリスは今日も流れるように体を動かしていたし、ジパグ国で皇太子のコレキヨの踊りは洗練されていた。クリスとコレキヨの踊りは美男美女のペアで優雅だった。

クリスが回る度に金髪が黒髪の周りを舞っていた。

黒い天使と金色の天女の舞だった。

「クリス様、こんなに優雅に踊られる方と初めて踊りました」

腕を添えてステップを踏みながらコレキヨが言うと

「まあ、コレキヨ様がそのようにお世辞を言われるなんて」

クリスが少し笑って振り返る。

「いえいえ、決してお世辞などではありません」

「まあ、でも、私もコレキヨ様みたいに優しい方と踊ったことがありませんわ」

そう言うと満面の笑みでクリスはコレキヨを見た。

「有難うございます」

思わずコレキヨは赤くなった。



それをみて、オーウェンは歯ぎしりする。

クリスは自分と踊った時でもあんな笑みを見せてくれたことはないのに。


依然は夢にまで見たオウとの舞を踊れてとても幸せだった。

でも、オウはクリスの方ばかり見ていた。

「オウ!」

頭にきてわざとオーウェンの足を踏む。

「痛っ」

オーウェンは思わず顔をしかめて踏んだ依然を見る。

「酷い。他の人見るなんてマナー違反」

ブスッとして依然が言う。

「ごめんごめん、もう見ないから」

そう言ってオーウェンが依然に笑いかけた。


その姿を視界の片隅に見てクリスの胸が痛む。

「クリス様。私と踊って良かったんですか」

その姿に思わずコレキヨが話しかける。

「ええ、当然です。あなたは私達の新しい仲間なんですから」

そう言ってクリスはコレキヨに微笑みかけた。



そして、一曲目が終わるとクリスはコレキヨをイザベラに任せてた。

そう、今日は新しい人の紹介以外に、いつも頑張ってくれている官僚の皆を舞踏会に慣れさせるという意味もあるのだ。オーウェンのことなんて後回しだ。

クリスはそう自分に言い聞かせると巨大な執務室の扉を開けた。


「あああ、やっぱりスティーブとロルフがいる」

ブスッとしてクリスが言った。


「えっクリス様、災害対策で手が離せなくって」

スティーブ・スミスがパーティー会場にいない言い訳を告げる。


「ジャスティン、災害対策ご苦労様」

魔導電話で画面に映っていたジャスティンに言う。


「でも、今日は災害対策に格好つけてパーティーを逃げたでしょ」

「えっいゃ、そのような」

クリスの言葉にジャスティンは目を泳がせる。

「まあ良いわ。現場だからお酒を飲めとは言えないけど、帰ってきたら皆で食事でもしましょう。それで許してね」

「クリス様。そのような………………」

「ヤッター」

「クリス様本当ですか」

ジャスティンの言葉を打ち消して後ろで男達が叫んでいた。


「で、今日のこれからの指揮はジャスティンお願い。非常時は王宮に連絡をして下さい」

「お任せ下さい」

画面のジャスティンは腕を胸につけて頭を下げね。

「はーい、全員、そのまま会場に行きます」

残っていた20人くらいを会場に行くようにクリスは促した。。

「一曲は必ず踊ってね」

クリスの声が執務室に響く。

「クリス様。俺はちょっと……」

ロルフは逃げようとするが、

「ロルフはスティーブの後に私と踊るのよ。判った!」

「そんな、クリス様と踊るなんて」

ロルフは呆然とした。目立つのが嫌いなのに、美しい筆頭魔導師様と踊るなんてとんでもなかった。


「何言っているの。たまには付き合いなさい。はい。じゃあスティーブからね」

クリスはスティーブの手を繋いで強引に執務室から連れ出す。


「えっ、いや、クリス様。そんな事したらオーウェン様に殺されます」

「何言っているのよ。オウは依然王女と踊っていたわよ」

いうや、強引に、広場の中央まで連れて行くとペトロに合図する。


ペトロがヴァイオリンを弾き出す。それに合わせてオーケストラが音を奏でる。

壮大な音楽で、皆踊りだした。ジャンヌはザンとライラはフェビアンと踊っている。オーウェンは悠然と依然はシュテファンとペアを組んでいた。


「どう、スティーブ。少しは慣れた」

「はい。強引に内務につかされてから休む間もない怒涛の3ヶ月ですけど」

そして周りを見るとこちらに強い視線を感じる。

「それよりもオーウェン様の視線が怖いんですけど」

「ふんっ。今日は踊り慣れていない者に少しは慣れてもらう為のものだから、良いのよ。

元々そういう話になっているし」

クリスはぷいっとして言った。

「そうは言ってもオーウェン様の機嫌が悪いと僕たち最悪なんですけど」

「えっ。内務卿は自分の至らなさのせいで部下に当たるの」

不機嫌そうにクリスが言う。

「いや、そういうわけではないですけど…………」

必死に言い訳をスティーブは探す。

「ま、オーウェンのことはどうでもいいわ。せっかくだからスティーブも楽しみなさい。それとも私とでは嫌?」

「いえ、そんな事は。クリス様と踊れるのは光栄です」

「なにか違うよ。その言い方」

「そうは言っても平民風情が言えるのはそんな言葉しか」

「スティーブ。ここは平民も貴族も関係のないボフミエ魔導国よ。魔力の大きさが全てなんだから」

「魔力もクリス様に比べると殆ど無いんですけど」

スティーブはボソリと言う。

「でも、内務の仕事には精通してるじゃない。ここは貴族の出身とか関係ないからね。いつまでも下にいられるとは思わないでね。オーウェン様もいつまでもここにはいないと思うし」

「しかし、ヘルマン様やシュテファン様もいらっしゃいますよ」

「それはそうだけど、あなたの可能性を閉ざさないでね。あなたの推薦をしたのは私だと忘れないで」


そのクリスの言葉に驚くスティーブを見て、オーウェンは歯ぎしりして悔しがっていた。

「オーウェン様。そんなにクリスティーナ様が気になりますか」

パートナーの悠然が聞く。


「ああ、ごめん。今日は俺は君らのお相手をするように言われているんだ」

「そうですか。無理しなくていいですよ」

「仕事しないとクリスに殺されるよ」

その言葉に悠然は真っ赤になる。

「クリス様の事呼び捨てなんですね」

「まあ、幼馴染だからね。ジャンヌとか依然も呼び捨てだし」

「まあ、そうですけど」

悠然はここが、超ハイスペック舞踏会だと改めて気付いた。

真横にはジャンヌ・マーマレード皇太子が通過したし、その横には今、陳国と紛争しているノルディンのアレクサンドロ皇太子殿下がいた。アメリア・テレーゼ皇太子殿下やコレキヨ・ジパング皇太子殿下もいる。そして、今踊ってくれているのは世界中の女性が熱望する大国ドラフォードの皇太子殿下のオーウェンなのだ。こんな事はもう二度と無いはずだった。

「オーウェン様。踊って頂いて有難うございます。一生の思い出にします」

「えっいや、俺なんて大したことは。君も1年間はボフミエにいるんだろ。こんな機会ならまだまだあるさ」

「えっ、でも、ナタリー様がおっしゃっていらっしゃいましたよ。オーウェン様はクリス様以外とはめったに踊らないし、ナタリー様自身、子供の時に一回しか踊ったことは無いと」


「えっ、そうだっけ?」

そう言えばクリスに他の令嬢と踊れと言われた時以外は殆ど舞踏会で踊ったことが無かったことを思い出した。ま、自分と踊る事が一生の思い出になるのならば、たまには踊るしか無いかとオーウェンは思った。クリスからもできるだけいろんな奴と踊れと言われていたし。でも、オーウェンはクリスが笑顔で踊っているのを見る度に歯ぎしりして悔しがっていたが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ