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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

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クリスの前に素敵な島国皇太子が現れました


スカイバードの中のクリスは上の空だった。

アデリナの入れてくれた紅茶で少しは落ち着いたが、心は晴れなかった。

アルバートらはお互いに顔を見合わせたが、慰めようもなく、その件には触れないことにした。


アン王太后の前に出ると流石に元に戻ったが、時折思いつめたような表情になるので流石に王太后も気付いた。


「クリス、なにか心配事でもあるのかい」

王太后は尋ねた。

「すいません。何でも無いです」

そう応えるが、なにか変だ。


王太后はイザベラを隅に呼び出して孫のオーウェンが陳国の王女と抱きつかんばかりに近くで話しているのを見て、クリスがショックを受けたことを聞いた。

「何だ。クリスらも青春しているんだね」

王太后は微笑んだ。


「うーん、でも、オーウェン様も何もクリス様の真ん前で手を握り合わなくてもいいと思うんですけど」

イザベラが言う。

「そう言う事ならこちらにも、一人面白い男が来ているよ」

王太后は侍女を呼ぶと人を呼ばせた。


「王太后様。お呼びですか」

そこには小柄だが、眉目秀麗な青年がいた。

「クリス、彼がジパグ王国からの留学生のコレキヨだよ」

王太后が紹介した。

慌ててクリスは立上った。

「これはこれはジパグ王国の皇太子殿下。クリスティーナ・ミハイルと申します」

その言葉にコレキヨは驚いて跪いた。

「お初にお目にかかります。筆頭魔導師様。コレキヨでございます」

「そのように、跪かれなくても。どうぞお立ち下さい」

クリスが手を差し出す。

「ありがとうございます。筆頭魔導師様。」

コレキヨは立上った。

「私は出来ればクリスとお呼び下さい」

クリスはそのコレキヨに微笑みかけて頼んだ。

「ではクリス様。私もコレキヨとお呼び下さい」

「判りました。コレキヨ様」

二人はほほえみあった。


「呼んだのはコレキヨ。クリスにお前のところから持ってきてくれた、苗について案内してくれるかい」

「判りました。どうぞ、クリス様。こちらでございます」

コレキヨが手を差し出した。

「よろしくお願いいたします」

クリスはその手を取って出ていった。


「わざわざ日のいずる国からお越しいただいたのですね」

「クリス様。そのようにおっしゃいますな。昔先祖が大国陳帝国に対して見栄で言っただけでございます」

謙遜してコレキヨが言う。

「いえいえ、コレキヨ様。その当時の陳帝国は強大な力を持っていたと存じます。その帝国に、日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致すと申された心意気たるや、小国の私も見習わなければと思っております」

「小国などと、ボフミエはGAFAの陰謀を叩き潰し、魔王を倒した今や押しも押されぬ強国ではありませんか」

「ボフミエ魔導国は出来たての国でついこの前まで飢饉だったんです。諸外国のご厚意により解消は出来ましたが、まだ食料の自給も満足に出来ておらず、皆様方にご尽力いただいているまだまだこれからの小国ですわ」

話しているうちに稲が植えてあるところに来た。


「こちらがジパグから持ってきた三ツ星です。ジパグではオーソドックスな稲なのですが」

見た目は普通の稲だ。

「わざわざジパグからお持ち頂いてありがとうございます。大変だったでしょう」

言いながらクリスは稲の特徴とか、1本あたり何粒取れるのとか専門的なことを聞き出した。


「クリス様はすごいですね。国のトップの方がそこまで勉強していらっしゃるなんて」

感心してコレキヨは言った。

「一度飢えを経験すると詳しくもなりますわ。もうお粥だけの生活は懲り懲りですから」

苦笑いをしてクリスが言った。


「でも、国民が飢えても普通は貴族はお粥なんて食べないでしょ」

「そう言う余裕は無かったですね。元々、前帝国の皇帝によって攫われたと思ったらいきなり筆頭魔導師にならされて、やっと国を作り出そうとしたら飢饉でした。

街を見回りに出てたお姉様が、『クリス大変だ。飢饉になっている』って慌てて転移してきてもう大変でした」

「お姉様?」

「すいません。マーマレードの皇太子のジャンヌ殿下です。昔からよく遊んでもらっていてつい呼び名がそのまま出てしまって」

コレキヨの質問にクリスが恥ずかしそうに応えた。

「いやいや、アットホームな感じが良いですね」

羨ましそうにコレキヨが言った。

「それはそうですね。内務卿のオーウェン様も外務卿のアレク様もクラスメートでしたし」

「そうそうたるメンバーですよね」

「そうなんです。でも、元クラスメートの誼なのか甘えてしまっていて。お姉様なんか煩いお目付け役がいなくて実際の政務が学べるからこれほど楽なことはないなんて喜んでいらっしゃいますから」

「楽しそうですね」

思わずコレキヨが笑ってしまった。

「そうなんです。良ければコレキヨ様もいかがですか」

ずいっとクリスがコレキヨに近づいた。

「ジパグ国は算術が得意だとか」

「確かに盛んだとは思いますが」

「学園をコレキヨ様は主席で卒業されていらっしゃいますよね」

「よくご存知ですね」

「はい。実はアメリア皇太子殿下には断られたのですが、財務卿の椅子が空いておりまして、今探しておるのです」

「ざ、財務卿ですか」

若干引き気味にコレキヨが聞く。

「そうなんです。閣僚には北のノルデイン、南のドラフォード、マーマレードとテレーゼの皇太子殿下を始めとして各国から優秀な人材をお招きしているのです。東の島国として周りに影響を与えられるジパグの皇太子殿下も是非ともその一角を占めて頂けると大変ありがたいのですが」

怒涛のごとくクリスの勧誘が続く。

「各国の有意な人材と交流されることは今後のジパグ王国にとってもプラスになると思うのですが」


わはははは


いきなりコレキヨが笑い出した。

「すごい、すごいよクリス嬢」

キョトンとしているクリスにコレキヨが言った。

「完全に私がここにいるのを知って勧誘に来たんだね。王太后様からどれくらい逗留できるとか、少し国をあけても大丈夫かとか聞かれて変だなとは思っていたんだ」

「はい。皇太后様には少し聞いておいて頂けるようにお願いしてました。本当に今財務に人がいないんです。オーウェン様は内務で手一杯で、アレク様やアメリア様、ジャンヌお姉様は算術が苦手ですので。算術もお得意なコレキヨ様には是非ともお願いしたいんですけど」

上目遣いで自分の手を握ってクリスが聞いてくる。


「判りました。降参です。ぜひともさせて下さい」

そのあざとさにコレキヨは降参した。

「ありがとうございます」

思わずクリスがコレキヨの手を握って飛上った。

そうされて思わずコレキヨが赤くなる。

「本当に良かったです。で、どうしたんですか」

しばらくして固まって赤くなっているコレキヨを見てクリスが聞く。


「クリス嬢。手」

「えっ」

クリスは言われて慌てて手を離した。

「すいません。はしたないことをしてしまって」

クリスも赤くなる。

「でも、本当に良かったです。人がいなくて、計算得意でない私まで財務の仕事駆り出されていたくらいですから」

「本当の狙いはそこだったんですね」

「違いますよ、コレキヨ様。優秀な人材をお探ししていたのは本当ですから」

コレキヨのツッコミに目をそらしてクリスが応えた。

「クリス嬢、目をそらしていらっしゃいますよ」

「そんな事ないですよ」

仏頂面でクリスはコレキヨの目を見たが、思わず吹き出した。

「やっぱりそうだ」

「違います。本当に優秀な財務卿が出来て嬉しいんです」

クリスが言い訳する。

「本当に?」

「本当です」

やり取りする二人の周りを温かい風がふいていた。

クリスの前にも眉目秀麗な皇太子出現


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

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アルファポリスのレジーナブックスにて

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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
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『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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