表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第八章 ボフミエ王宮恋愛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/480

大国皇太子は東方の王女を勧誘しました

管制室から魔導師が5人がかりでスカイバードに乗ったクリス達を一瞬で空の上に放り上げていた。いつ乗っても感動の瞬間だったが、クリスの頭はそれどころではなかった。


オーウェンが女性と手を握り合っていた。

その現実がクリスには信じられなかった。確かに大国ドラフォード王国の皇太子の隣に立つ未来なんてクリスには思い描けなかった。クリスがマーマレードの皇太子のエドから王立高等学園のサマーパーティーで婚約破棄されてから、まだ1年もたっていなかった。いわば傷物令嬢だ。そんなクリスが大国ドラフォードの皇太子の婚約者なんて無理だと思っていた。それに最近のオーウェンのクリスを構い倒す態度は迷惑だと思っていたはずだった。

しかし、自分以外の女性と手を握り合っているオウの姿はクリスには衝撃だった。

だってエドと婚約破棄された時も、オウは慰めてくれた。GAFAの商館をメイが殺されそうになって怒りのあまり雷撃攻撃して多くの人を殺してしまったと判った時に慰めてくれたのもオウだった。

でもあの女性も「オウ」って呼んでいなかったか。確かこの名前を言うのは自分一人だったはずなのに。クリスは何故か胸が痛んだ。


その考えこんでいるクリスの目の前に湯気のたった紅茶の入ったコップが差し出された。

はっと見るとアデリナが温かい紅茶を入れてくれたのだった。


「はい。クリス様」

「ありがとう。アデリナ」

クリスはその紅茶を一口飲んだ。

少し心が落ち着いたような気がした。




アレクはオーウェンと依然が手を取り合っている風景に驚いて見入っていた。何しろオーウェンはクリス以外の女性から声をかけられても邪険にしかしたことがなかったのだ。王宮で開かれる夜会でもクリス以外の女性と踊ったのは、ジャンヌやアメリアなどの皇太子のみで、基本的に皇太子どおしで婚姻するわけにはいかないので、安全パイと思われる面々のみだった。

それがいま二人は手を取り合っていた。


「オーウェン、依然王女と知り合いだったのか」

「えっ、いや、依然とは幼馴染なんだ」

アレクの問いにオーウェンが応える。

「小さい頃迷子になった依然を助けたことがあるんだ」

「まあ、オウったら。その時にあなたも迷子になっていたでしょ。自分だけいい子になって」

オーウェンの言葉に依然が突っ込む。

「えっ、そうだっけ」

オーウェンは誤魔化す。

「誤魔化しても無理よ。その後護衛騎士に怒られていたくせに」

「君も侍女に怒られていただろ」

二人は親しそうに言い合っていた。


「ふうん。さっきは王女の名前を淫乱王女って言っていたのに」

ボソリとアレクがバラす。

「インラン?」

「いや、何でも無いよ。それよりも何しにボフミエに」

不審そうな依然にオーウェンは話題を変える。

「最新のボフミエの技術を学びに魔導学園に留学に来たの」

「そうなんだ」

「オウはわざわざ私を迎えに来てくれたの?」

若干の期待を込めて依然は言う。


「いや、筆頭魔導師様の見送りにだけど」

オーウェンはハッと気付いて後ろを見るとスカイバードはもう無かった。

しまったいつの間に。オーウェンはクリスを見送れ無かったことを残念に思ったが、クリスにオーウェンと依然が手を取り合っている所を見られたとは思ってもいなかった。


「オーウェン、依然王女と知り合いならば、アメリアの所への案内任せてもいいかな」

「えっ?お前はどうするんだ」

「お前ん所からのレポートまだ終わっていなくて、帰っていい加減にやらないとペトロにどやされるんだよ」

「判った」

オーウェンは久しぶりの依然と話もしたかったし、アレクがいれば何を依然に言われるか判ったものではなかったし取り敢えず、依然を送ることにした。


「宜しく」

言うやアレクは転移した。


「転移って便利よね」

「本当だよな」

転移の使えない二人が望ましそうに言った。

「オウは相変わらず、転移は使えないんだ」

「君もだろ。まあ転移使える奴の方が圧倒的に少ないし」


楽しそうに話す二人の後ろで咳払いがした。

見ると10名ほどの異国の服装をした男女が立っていた。


「姫様。そろそろ移動しませんと」

侍女の梦蝶が言う。

「あっごめんなさい。侍女の梦蝶(モンディエ)なの。護衛騎士の词语(ツーユー)と護衛魔導師の悠然(ヨウラン)。後は留学生の魔導師達よ」

依然の紹介に皆順繰りに頭を下げる。

「内務卿のオーウェン・ドラフォードです。皆さんようこそボフミエ魔導国へ。魔導学園で授業することもあるから私のことも覚えておいて下さい」

言うや依然に向きを変えて

「それと依然、相も変わらずいい加減すぎ。陳国の留学生ということは将来の幹部候補生だろ。私にも紹介してほしいな」

「そうかな、オウもお忙しいと思って」

そう言いながら依然は一人ずつ留学生を紹介した。

オーウェンは一人一人と握手した。これには他の留学生も感激した。


「オーウェン様。アレクサンドル様は?」

あまりにも来るのが遅いので、外務次官のペトロが迎えに来た。

「あれ、あいつ、私に王女の案内任せてお前の所に帰るって転移していったけど」

「くそ、また逃亡しましたね」

悔しそうにペトロが言う。

「えっ、そうなの」

「皆様。ボフミエ魔導国の外務次官をしております。ペトロ・グリンゲンです。なにかお困りのことあれば私までお知らせ下さい。上司は当てになりませんので」

ペトロが言い切った。本当に今度はどこに逃げたのだか。




そのアレクは、当然の外務省ではなくて魔導師団本部に転移していた。


そこではジャンヌらが訓練場で訓練していた。

「ジャンヌ、大ニュース」

いきなり訓練中のジャンヌの前に転移したのでジャンヌは思わず剣でアレクに切りかかる。

しかし、余裕でアレクは剣で受けた。


二人は剣で切り結ぶ。

「何しに外務卿が来た」

ジャンヌが叫ぶ。

「実はオーウエンに恋人ができた」

「嘘つけ」

「二人で手を握り合っていたのにか」

「えっ。ついにクリスが陥落したのか」

「相手が違うよ」

「それこそ信じられない」

「嘘だと思うのならばアメリアの所に見に行けば良い」

アレクが誘う。

「違ったら殺すからな」

ジャンヌは剣をしまった。

「ザン、ちょっと行ってくる。後を頼む」

「えっ殿下!?」

ザンには見向きもせずにジャンヌはアレクと魔導学園に向かった。



「で、なんで魔導学園なんかに留学を?魔導学園はまだ出来て1年も立っていないし、まだまだ制度は整っていないのに。陳国にも魔術を教える学校はあるだろう?」

「何言っているのよ。今やボフミエ魔導国は世界の注目よ。GAFAの嫌がらせを叩き潰し、魔王までやっつけたんだから」

「それと学園は関係ないんだけど」

「かもしれないけれど、大国の皇太子が4人もいるんだもの。人脈づくりにも最適だし、というか、我が国も少しはいないと完全に仲間外れにされかねないじゃない」

「でも、今は忙しくて、学園にはテレーゼのアメリアしかいないぞ」

「えっ、ノルディンとマーマレードの皇太子殿下と筆頭魔導師様がおられるんじゃないの」

「それはこの3月まで。最後は忙しくて殆ど出られなかったし」

「えっ、そうなの」

依然はがっかりした。

「情報古すぎるだろう」

オーウェンが突っ込む。

「だって誰もこの国に陳国の人間があまりいないんだもの。前の皇帝とは国同士が対立していたし、うちはGAFAに結構投資していたから。GAFAが瓦解してもう散々よ」

「じゃあ王女殿下。宜しければ外務に入られませんか。人がいなくて大変なんです」

ペトロが横から言う。

「えっ、私なんか部外者がそんな国家機密の場所に入っていいの」

依然が驚いて聞いた。

「国家機密も何もないよ。そもそもボフミエ魔導国の閣僚自体が大半は外部の人間なんだから」

「そうですよ。アレク様からは早く独り立ちしろとか言われていますけど、アレク様のようにするなんて無理ですよ。周りの国々を平気で脅迫して、クリス様に怒られているし」

「えっ、ノルディン皇太子殿下でも筆頭魔導師様には頭が上がらないの」

ペトロの話に、驚いて依然が聞いた。

「それがよく判らないんですけど、あの人を人とも思っていない方が、一目置いています」

「へえええ、そうなんだ」

それが判るだけでも、外務に入るのは良いのかもしれない。陳国の上層部は赤い死神の弱点を掴んだと喜ぶだろう。

「でも、依然さえ良ければ内務に入って欲しいんだけど」

「えっ内務卿。それは酷いですよ。スミスとかロルフもそっちが引っ張りましたよね。最近学園から3人内務に引っ張ったって聞きましたけど」

「やること多いから仕方がないだろ。お前のところもアレクに一本釣りさせろよ」

「そうですよね。外務卿も戦闘ばかりでなくて、外交もやってもらわないと。依然王女殿下。ボフミエの次の最大の交渉国は貴国なんですから、外務次官の地位あけますから、真面目に考えてくださいね」

ペトロが言う。

「えっでも、外務次官はあなたでは」

「良いんですよ。外務次官と言っても今は外務卿の雑用係ですし」

依然の疑問にペトロが答えた。。

「えっ、私に外務卿の雑用をしろと」

「王女殿下にはそんな事はさせないんじゃないですか」

ペトロはそう言ったが、依然は赤い死神なら絶対にやらすと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ