一同は戦神が破壊したクロチア王都を見て呆れかえりました
1日静養した(ドタバタしていたので、静養できたかどうかはまた別の話だが)クリスは起き上がって戦場の視察に赴くことになった。
ジャスティンらは廃墟となった街を復興するために、避難していた人たちのテントを作ったり、がれきをかたづけたりと、精力的に動き回っていた。
クリスにはウィルたち4人の親衛隊と内務卿のオーウェン、外務卿のアレク、魔道師団長のジャンヌが付き従った。
「しかし、これはひどいな」
「本当ですね」
何も知らないオーウェンとクリスが言う。
王都は完全に壊滅していた。
焼け跡にはほとんど何も残っていなかった。
王宮もほとんど消滅しており、爆心地には巨大なクレーターが開いていた。
「誰がされたのですか」
気を失っていたクリスが聞く。
「シャラザールが……」
思わずジャンヌがばらそうとしたのを慌ててアレクが口を防ぐ。
「いや、魔王がしたんですよ。なあ、アルバート」
アレクが慌てて胡麻化す。
「えっ、ああ、そうですよ」
思いっきり足を踏まれて慌ててアルバートが言った。
「それだけの力を出した魔王をお姉さまたちが協力して倒されたのですね」
感心してクリスが言った。
「ああ、ウィルも活躍したぞ」
「えっ、ああ、そうなんです。私も今回は頑張りました」
ジャンヌの怒った顔を見てウィルも頷く。
みんな本当はクリスがやったことを、正確に言うとクリスに憑依したシャラザールが怒りにまかせてやった事を知っていた。
でも、シャラザールには口止めされていたし、シャラザールがやった事にすると保障問題等が出てきそうなので、全部魔王がやったことにするという事で口裏を合わせていたのだ。
公式記録もそうすることですでにすり合わせは終わっていた。
「でも、どうやったんですか」
クリスが具体的に聞いてくる。
「えっ」
周りの人間はオーウェンを除いて顔を見合わせた。
そこはすり合わせをしていなかった。
「それはあれだ」
ジャンヌはそう言うとアレクを見る。
「えっ、あっそう、まず私が爆裂魔法を繰り出して」
その先にウィルに振る。
「えっ俺?」
ウィルは今回はあんまり活躍したという記憶がなかった。
ジャンヌのけりを交わして
「そうそう、魔王が吹っ飛んだので剣で切りつけました」
「私も切りつけたのですが、魔王に弾き飛ばされたんですけど……」
話を継いだアルバートがそこで詰まってしまう。
「あっそうそう、魔王の爆裂魔法をメイが跳ね返したんです」
ウィルが言う。これは本当の事だ。
「えっメイ、すごいじゃなない」
「ええ、もう必死でした」
確かに渾身のミラーで魔王の攻撃をメイは反射していた。
「その弱ったところを私とジャンヌとジャスティンでとどめを刺したんです」
アレクが言い切る。
「そうそう、やられる前の最後の攻撃がこのクレーターなんだ」
なんかめちゃくちゃ誤魔化しのような気がするがジャンヌはそれで言い切った。
「そうですか。死ぬ間際の攻撃でもこんなに大きな力を残していたんですね」
クリスは感心していった。
「みなさん、すごいですね。私では王都を消滅させるだけの力がある魔王カーンには到底倒せませんでした」
そう感心してみるクリスに対してみんな変な顔をしていた。
やったのはシャラザールかもしれないがその魔力の元はどう見てもクリスだった。
クリスもプッツン切れると王都を灰塵にしかねない。
周りにいた者たちはクリスにだけは逆らうのはやめようと心に誓った。








