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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第七章 魔王復活

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大国皇太子は暴風王女を押し倒して張り手で弾き飛ばされました

その後が大変だった。

シャラザールの怒りはクロチアの王都を灰塵としただけでは収まらず、魔王カーンを分子の段階まで分解するだとか訳の判らないことを叫んで、魔王を探し回ったが、爆発の跡に残っていたのはなぜ消滅しなかったか不明だが、ボロボロになったカーンの姿のみで、憑依していた魔王はどこにも見つからなかった。

一説によると爆風に紛れて胡散臭い匂いをプンプンさせた黒い石が空の彼方に飛んで行ったとか行かなかったとか。


結局いつもの如く生き残ったアレクたちがシャラザールの死の特訓に付き合わされたのだった。


幸いな事にクリスを恐れた住民が逃亡したおかげでクロチアの王都が消滅したにもかかわらず、被害者はほとんどなかった。



鬱陶しいのでジャルカの前から追い出すために、衝撃吸収装置のない、スカイバードに乗せられて飛ばされたオーウェンは、幸いな事に!?クロチアの王都手前で失速、着地に失敗して、シャラザールに見つかることはなかった。

オーウェンは命からがら、クロチアの廃墟の跡地に急遽作られた臨時の野戦病院に夜中に到着した。

そして、兵士たちをしごくだけしごいて日頃のうっ憤を発散した後にシャラザールの憑依を解かれたクリスが運び込まれた病室にたどり着いたオーウェンは、クリスが無事なことを知って歓喜していた。

何故クリスが無事なのかは誰に聞いても目を逸らして答えてくれなかったが。


シャラザールが去る間際にオーウェンに言うことまかりならぬと伝言していったからだ。

シャラザールの意思に逆らうなどという暴挙に及びそうな者は魔王カーン以外は存在しなかった。



そのクリスは夢を見ていた。


何故か、アレクやジャンヌを顎で使って、特訓させている夢だった。

それも何故か、アレクはクリスが指示するたびに怯えていた。

いつもアレクには何故か怯えられているような気がしていたが、今日はいつにも増して怯えられていた。


「そんなに怯える必要はありませんよ」

アレクに声をかけようとしてはっとクリスは目を覚ました。


周りを見渡すと、簡易テントの中のベッドの上で寝ていた。

なぜ自分がここにいるかわからなかった。

そして、横でベッドに突っ伏して寝ているオーウェンの横顔があった。

その姿があまりにもあどけなくて、思わずクリスは見とれていた。

「でも、どうしてここに」

クリスははっとした。

そうだ。魔王に胸を刺されたんだ。


慌てて自分の胸元を広げて胸を見る。

しかし、刺された跡なんてどこにもなかった。


どうしたんだろうと思ったところでオーウェンが身じろぎして起き上がった。


「クリス」

オーウェンが気付いてクリスを見る。

そして、広げられた胸をはっきりと見た。


「キャーーーー」

慌てて悲鳴を上げてクリスが胸元を隠す。


「ごめん」

慌ててオーウェンが視線を外したところに、クリスの悲鳴を聞きつけてウィルが飛び込んできた。



「姉上。オーウェンに何かされたの」

ウィルがオーウェンとの間に入って今にもオーウェンに抜いた剣を振り下ろそうとする。


「いや、待て、ウィル。俺は何もしていないぞ」

「問答無用」

ウィルが剣で切りかかる。

それをオーウェンが躱して逃げる。


「ちょっとウィル」

クリスが止めようとしたが、二人は慌てて病室を飛び出していた。


クリスは真っ赤になって固まっていた。

「どうしたんですか」

そこにウィルに続いて外に待機していた侍女のミアやアデリナが飛び込んで来た。


「もう最低。胸がないのに見られた」

クリスは胸を見られたこと自体も嫌だったが、胸が殆ど無いことを知られたのも嫌だった。


「えっクリス様。オーウェン様に胸見られたんですか」

「もう最低ですね。オーウェン様は」


「えっ。いや、そうではなくて」

クリスは独り言を聞かれたことに慌てた。


「本当にオーウェン様もいやらしい」

「男ってみんな同じですね」

二人の侍女は憤慨する。


クリスは傷跡がないかどうか自分で見た時にたまたまオーウェンが目を覚まして見られたとは言えなかった。


オーウェンは怒った二人によってしばらく病室に出入り禁止となった。


しかし、クリスは夜通し、オーウェンが傍で看護してくれていたことを聞いて、喜んだ。


あの魔王カーンに刺し殺されそうになった時に、オーウェンの事が脳裏を過ったのも思い出していた。親切にしてくれたオーウェンの事が本当は気になっていることも。

クリスは侍女たちがオーウェンに怒っているのは判ったが、自分も恥ずかしかったが、でも、いつも優しくしてくれるオーウェンの顔が見たかった。

忙しい中、無理やりジャルカに言って衝撃遮断装置なしのスカイバードに乗ってわざわざ心配して飛んできてくれたオーウェンに会いたかった。

でも、侍女たちはなかなか許さなかった。


その日の夕方にようやく、謝罪しに来たオーウェンを侍女たちは迎え入れていた。


「ごめんクリス。朝方は」

「いえ、私の方こそ、オーウェン様がいらっしゃるのに気づかなくてはしたないことをしてしまってすいません」

言いにくそうに二人が謝る。


「でも、本当にクリスが無事でいてくれて良かった。

カーンに刺されのが見えた時は本当に死ぬ思いだった。

よく無事だったね」

「私もどうなったか良く判らなかったんですけど、本当にあの時はもう終わりだと諦めました」

「クリス。無事でよかった」

思わずそのクリスの手をオーウェンが握る。

握られてクリスはドギマギした。


「クリス。目を覚ましたんだって」

そこにシャラザールに明け方まで散々しごかれて、今までダウンしていたジャンヌが飛び込んで来た。


「えっお前らそういう関係だったの」

手を取り合っている二人をジャンヌはジト目で見る。


「いえっ、そういう訳では」

慌ててクリスがオーウェンの手を振り払った。


「えっクリス冷たい」

思わずオーウェンはつぶやく。


「いえっオーウェン様。これは」

クリスは恥ずかしくてこっぴどくオーウェンの手を振り払ったことを、今度は邪険にしすぎたかと気にする。


「ふうううん。二人の仲は進展したんだ」

ジャンヌのからかいに。


「えっ、いえ、そういう訳では」

しどろもどろにクリスが言い訳しようとする。


「いや、実はそうなんだ」

今度はオーウェンがクリスの肩を抱いた。


「えっ」

今度はクリスが一瞬唖然とする。


「いや、オーウェン様」

真っ赤になったクリスは思いっきりオーウェンを突き離した。


勢いあまってオーウェンはジャンヌと重なってそのままジャンヌを押し倒した形になった。


「えっ」

慌ててオーウェンは立ち上がろうとして思いっきりジャンヌの胸を触っていた。


「すまん」

「この変態」

オーウェンはジャンヌの張り手を顔に受けてそのまま、テントごと外に弾き飛ばされていた。

人物紹介

ミア・フェルト19。クリス付きの侍女

元々ボフミエの皇帝に結果的に反逆したジャスティンの組織の一員。

クリスが飛ばされてきて、そのあとクリスの世話をしているうちに侍女になる。

ボフミエに平和を取り戻してくれたクリスに心酔している






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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

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『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
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イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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