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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第一章 婚約破棄

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何とか一番になりましたが、婚約者の顰蹙買いました

頑張って1日2回更新していきます。

1週間くらいは


クリスは走っていた。


にこにこ笑いながら。


まだ子供のころだった


まだ幸せな時。


目の前を走るエドの後ろを追いかけながら


自分の家の庭をかけていた。


そして思いっきりこけてしまった。


そこでさっと手を出してくれるのがエド…・


そんな訳無かった。エドは無視してピンクの髪の女の子を追いかけて行った。


「エド様!」


クリスは声をかけたがエド達は無視して走っていく。


「大丈夫?」

手を出してくれたのは黒い髪の男の子だった。


少し大きな男の子はクリスを助け起こして膝についた草を払ってくれた。


「ありがとう。あなたはだあれ?」


そのきれいな黒い瞳に思わずぽかんとして聞いていた。


その名前は何だっけ。


確かどこかの王子様。


ハッとしてクリスは目を覚ました。


結局昨日は寝ようとしてほとんど寝れなかった。


エドと仲の良かった時のことが思い出されて。


やっと寝れたと思ったらこの夢だ。


「考えたらエドに優しくされた記憶なんて無かったわよね」

昔からの幼友達だがどちらかというとエドの上のジャンヌ王女に遊んでもらっていた記憶の方が強い。


ここ最近は皇太子妃教育と学園のテスト勉強でエドの事にかまっている余裕はなかった。


もう少し、エドとの時間を増やした方が良かったんだろうか。


もっと自分からやさしくした方が良かったんだろうか。


でも、マティルダみたいに男に媚びるなんて絶対に無理だ。


それにテストで無様な点数を取るわけにはいかなかった。


今は他国の第一皇子も留学生として滞在しており、マーマレード王国の教育水準をバカにされるわけにもいかなかった。


「でも・・・・」

クリスはため息をついた。


エドはマティルダを抱きしめていた。

クリスにはしてくれなかったのに。

手をつないでくれたこともほとんど無かった。

最近はエスコートしてくれるのも義務感が強かったような気がする。

微笑みかけてくれたこともほとんど無かった。


というかエドはどちらかというと冷たい印象があった。


マティルダを抱いているエドはいつくしむようにマティルダを抱いていた。


このまま時が過ぎ卒業した後に自然に結婚するんだと思っていた。


しかし、愛のない結婚なんてしたくない。


エドはマティルダをどうするつもりなんだろう。


マティルダを側室にするつもりだろうか。


でも私は侯爵家、マティルダは民間で育った側室の子とは言え立場は公爵家だ。


「はあっ」


クリスはまたため息をついた。


まあ今学期も今日までだ。


明日はサマーパーティがあってそのあとは夏休み。


王妃主催の地獄の夏合宿が始まる。


「でもやる意味あるのかな」


疑問に思い出したクリスだった。


寝不足で目にクマが出来た顔を何とか化粧で隠しつつ、何とか寮を出る。


各園の広場では掲示板に人垣が出来ていた。


1学期の成績が貼り出さされているのだ。


トップは


よし


クリスはホッとした。


大国ドラフォード王国の第一皇子が留学生として同学年に留学していた。


その王子にはマーマレード王国の未来の王族としては負けるわけにはいかなかった。


第一位クリスティーナ・ミハイル


第二位オーウェン・ドラフォード


第三位スティーブン・スミス



えっ皇太子は


次々に見て行くがない。


皇太子は今まではクリスのすぐ下にいたはずだ。


でも無い。


第55位エドワード・マーマレード


第56位マティルダ・アーカンソー


なんでそんな下にいるのか


「全然勉強して無かったの?」


思わず声が漏れる。




「エド様、私やっと50位台になれました。エド様と同じですよ。」


「本当だ。マティルダ今回は頑張ったね」


その後ろでキャーキャー言っている馬鹿公爵令嬢がいた。


それと馬鹿面してにやけた婚約者が。


「すごいですね。ミハイル嬢。皇太子妃教育も大変だというのにトップを取られるなんて」


そのクリスの横で感心するオーウェン・ドラフォードがいた。


大国ドラフォード王国の黒髪の皇太子だ。クリス達よりも3年ほど年上だが、この春からマーマレード王国に留学生として滞在していた。


王立学園の図書館や王宮の喫茶室でよく遅くまで勉強しているのを見かけるが話したことは最初に王妃に紹介された時くらいだった。


「いえいえ、他国の王子様が第二位になられるなんて。ドラフォード殿下こそ素晴らしいです」


にこりと笑ってクリスは儀礼的に答えた。


「我が国の人間ももっと殿下を見習わさせて頂かないと」


思わず嫌味を言う。


「クリス。それはどういう意味だ」

後ろから思わずエドは声を荒げて言った。


「皆があなたほどできるというわけではないぞ。出来ていると言ってその自慢気な言葉。周りに対する配慮が足りないのではないか」


「これは失礼いたしました。配慮が足りませんでしたわ」

まずいと思ってクリスは謝罪する。


「いやいや私の配慮が足りませんでしたよ。皇太子殿下」

オーウェンがとりなして言う。


「マーマレードの青と金の宝石と言われるお二人が喧嘩されるなど私の言い方がまずかったですね。」


「そうですよ。オーウェン様」

場違いな遠慮のない声が響いた。他国の王族が話している腰を折るなどもっての外だった。


「エドワード様は私の馬鹿さが目立たないようにわざと点数を低くされたのです。」


「マティルダはクリスと違ってやさしいな」


皇太子はマティルダの礼儀知らずを注意せず一緒になって騒いでいた。


「えへへへ。それほどでも無いですよ」

マティルダはそう言うと上目遣いにエドを見て体を摺り寄せる。

王妃が見たら発狂したかもしれない。


「さあこんな野暮なところにいずに明日の衣装について考えよう」


「えええ!私なんかに用意して頂いて本当に良かったんですか」


「君の髪にぴったりの衣装に仕上がっていると思うよ」


ちらっとマティルダは勝ち誇った視線でクリスを見るとエドに手を引かれて出て行った。


衣装?衣装って何・・・・


婚約者がいるのに他の者の衣装を準備したというの?


クリスは呆然とした。


それって明日のサマーパーティは私と出ないという事?


今まではクリスのパートナーは必ずエドだった。


でもマティルダの衣装をエドが準備するという事はクリスとは参加しない。


クリスのエスコートはしない。


という事だった。


そもそも婚約者がいるのに他者の衣装を準備するなんて許されないことだった。


「ミハイル嬢。私が皇太子殿下の気分を害してしまったか。私が出来る事なら何でもやるが」


「いえ。ドラフォード殿下は気にされることは無いですわ。こちらこそ殿下に無礼を働いてしまって失礼致しました。」

公爵令嬢の無礼を身分の低い侯爵令嬢がいうわけにはいかず誤魔化して謝る。


「いや、そこは良いのですが、明日のサマーパーティに婚約者であるあなたと参加しな・・・いや失礼」


王子は慌てて否定しようとしたが周りの者にもエドワード皇太子の態度ははっきりと判っていた。


「すみません。少し気分が悪いので失礼します。」


「えっ、ミハイル令嬢大丈夫ですか」


そう心配するオーウェンに礼をしつつ下がる。


余裕を持った風に見せるために、ゆっくりとその場を去りながらクリスの心は木枯らしが吹き荒れていた。




終業式のホームルームにも出ず、クリスは寮監に気分が悪いと断って自分の部屋に帰った。


顔は真っ青だった。


いつものルーティン通りにとりあえず風呂に入る。


ここ数年、自分を殺して勉学に礼儀作法に、魔法鍛錬とこなしてきた。


特にお転婆な性格は未来の王妃にあるまじき事と言われ無理やり押し殺してきた。


エドの隣に立とうと必死に我慢してやってきた。


厳しい王妃の叱責にも耐えて、最近は何とか王妃にも気に入られたと思っていた。


なのに、マティルダのあの全然礼儀にかなっていない態度にエドは魅かれたのだ。


クリスが自分を殺して必死に頑張ってきたのに。


得意でない物理も必死に勉強した。


礼儀作法なんて全然だった。


侯爵家では天真爛漫なクリスの態度に誰も何も言わなかった。


自由気ままにやってきた。


王妃からは何度もダメ出しされてそれなのに、我慢して必死にやってきたのに、


あんなのが良いの・・・・じゃあ私のしてきたことは何。


思わず涙が漏れてきた。


どれだけ王妃にダメ出しされても歯を食いしばって必死に涙を耐えてきたのに。


泣くのなんて久しぶりだ。


「今まで必死にやってきたのに…」

涙はとめどもなく流れてきた。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

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アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

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公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

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『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

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平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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