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皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第七章 魔王復活

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クリスは高熱で苦しみます

「姉さん!」

クリスが倒れたと聞いてウィルが慌てて飛んできた。

「だから言ったんだ。危険だから、病棟に近づくなって」

泣き叫びながらウイルは言う。


「ウィル黙りなさい」

目を開けてクリスが言った。

「施政者たるもの、国の民が苦しんでいるなら、伝染病だろうが、うつる可能性があろうが、

その民に寄り添わなくてはならないのです。

安全だからと後方に隔離されるなどと施政者のすることではありません。

あなたもいずれはミハイル家を継ぐ者として心に刻みなさい」


「しかし、国法でも、黒死病の感染者は隔離しこれに近づくなと」

「そのような国法などくそくらえです。

国のトップが患者を見捨ててどうするのですか」

「しかし、姉上までかかってしまっては意味が無いでしょう」

「国民と同じ苦しみを味合わずして、何が筆頭魔術師か」

「なにも同じ病に自ら進んで進んでかからなくても」

「民の苦しみを一緒に体験してこそ施政者なのです」

クリスが言い切っていた。



一方王宮の方が大変だった。

「何だと、クリスが黒死病にかかっただと」

オーウェンが荒れ狂っていた。

「だから言ったんだ。クリスはジャンヌやアレクみたいな馬鹿じゃないんだからかかる可能性があるから近付いちゃいけないって。それを無視して近付くからこんな事になる」

頭をかきむしってオーウェンは叫んでいた。

「あああ、こんな事なら絶対に一緒にワットに行くべきだった」

オーウェンは今ほど後悔したことは無かった。

自分の想い人のクリスが黒死病に苦しんでいるなんて。

しかも、自分は立場上この場を去ってワットに駆けつける事も出来なかった。




この事は外部に秘されたが、どこからともなく漏れた。


「あっはっはっは」

カーンは馬鹿笑いをしていた。

「遂にあの小生意気な小娘が黒死病にかかったか。それは目出度い」

「まさか、本当にかかってくれるとは」

アラクシも喜んで言った。


「行かせた工作員らはどうしている」

「皆高熱を発して寝込んでいるようです。影から連絡が入りました」

「そうかよくやってくれたな。無事に命が助かれば今後は重用してやろう」

カーンは言い切った。

「侵攻作戦を実行いたしますか」

「まあもう少し待て。あと10日もせずに筆頭魔導師の小娘は死ぬだろう。それからでも良かろう」

「そうですな。黒死病ではほとんど助かりませんからな。

ワットのボフミエ軍も過半数は死ぬに違いありませんな」

「各国にこの情報を教えてやれ。王子らを出している国は恐慌を引き起こして直ちに引き上げようとするだろう。沈没船に乗っているネズミもおるまい。じっと待っていれば自然とボフミエは落ちよう」

「御意」

カーンの言葉にアラクシは拝礼した。



「ウィルどういうことだ。」

ウィルの魔導電話に父のエルンスト・ミハイルミハイルが突然現れた。

「父上」

「クリスが黒死病で倒れたと噂になっておるが」

「噂になっているのですか」

かん口令が敷かれたはずなのに。宮殿から漏れたのかとウィルはいぶかしんだ。

「モルロイの奴らが精力的に噂をしてるようだ」

エルンストは言う。

「くっそう、許せない」

ウィルはモルロイは必ず殲滅すると心に誓った。

「それよりもクリスの病状は」

「姉上は高熱を発しして苦しんでます」

心苦しそうにウィルが言う。

そして、画面を寝ているクリスに会わせた。

真っ赤な顔をしたクリスがうなされていた。


「ウィル、何をしている。お前は出来る限りクリスから離れろ」

慌ててエルンストは言った。


「いやです。父上」

ウィルは即座に否定する。


「しかし、お前までが病気で死ぬようなことがあるとミハイル家は下手したら断絶する」

「何を言っているのですか。父上。

私まで死ねば適当な親戚を養子に迎えれば良いでしょう」

ウィルは言い切った。


「しかし、ウィル」

「姉上は施政者たる者は伝染病が流行れば自ら進んでその感染地に入り、看病するように言われました。

その言葉をたがえる訳にはいきません」

「はっそんな法がどこにある。特効薬が無いのに伝染病の感染地に施政者がいけば施政者まで病にかかってしまうではないか。死んだら誰がその国の面倒を見るのだ」

「次の者が見るだろうと姉上はおっしゃいました。

自らの命を捨てて国民のためにするのが施政者の務めだと」

「いや、しかし、」

「これ以上愚痴愚痴言うと親子の縁を切りますよ。では父上」

「おい、待て、ウィル・・・・・」

切られた電話からは何も返って来なかった。



愛する娘が黒死病に倒れ、ウィルまでいつかかるか判らない状態になってミハイル卿は呆然自失の状態になった。

クリスが黒死病にかかって生死の境目にいる事はあっという間に国内外に広まり、マーマレードの教会はクリスの無事を祈る国民で溢れた。


「どうか神様。クリス様のお命をお救い下さい」

「母ちゃん。クリス姉ちゃん死んじゃうの」

ジャックが教会で祈っているメリーに訊いた。

「何言っているんだい。クリス様がそう簡単に死ぬ訳ないだろう。

何しろ魔人でさえ、やっつけられた方なんだから」

メリーがジャックの頭をしばいて言った。

そうクリスは不死身のはずだった。

必ず黒死病を克服されるはずだった。

メリーはそう信じる事にした。


しかし、皆が祈ってもクリスの高熱はなかなか下がらなかった。

高熱で苦しむクリスの運命はいかに?

次回黒死病はどうなる。

クリスの命は如何に

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
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後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
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私のお話

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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

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カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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