ロルフはクリスに早速スカウトされました
ロルフは魔導を発動しようとしていたデニスの手を思わずはじいていた。
ファイアーボールはクリスを大きくそれて障壁の柵で中和される。
「貴様何しやがる」
「お前は馬鹿か。俺の10分の一しか魔力ないくせに限界が見えない後ろの化け物にちょっかい出すな。
下手したら学園事消されるぞ」
怒ったデニスにロルフは大声で叫んでいた。
その瞬間だった。それまで後ろに座っていたクリスが一瞬でロルフの横に飛んできた。
なすすべもなく、デニスはクリスに弾き飛ばされていた。
「ヒェェェぇ」
「ロルフ君。あなた魔力量が判るの?」
悲鳴を上げたロルフは両肩をクリスに捕まれて迫られる。
「お、お許しください。まだ死にたくない…」
ロルフは震えて言うとガクッと首を垂れた。
「えっ、ちょっとロルフ君」
クリスは慌てて声をかけるが、
あまりの魔力量の多さを感じてロルフは気を失っていた。
そのまま後ろに倒れた。
「えええ!」
慌てたクリスをなんとかなだめてアルバートがロルフを保健室に運んで行った。
クリスは保健室のベッドの横でブスっとしていた。
「で、クリス何をしたの」
クリスが男を気絶させたと聞いて喜んでジャンヌが飛んできた。
「だから姉様。その黒メガネ印象が悪いんですって。そんな変なメガネ止めたらいいのに」
ウィルが言う。
「眼鏡が悪いって?
だって顔隠すのに眼鏡が良いってジャンヌお姉さまが言うから」
ブスっとしてクリスが言う。
「クリスの眼鏡の顔で迫られてそいつ気絶したの?」
笑ってジャンヌが聞く。
「それはどうかは判りませんが、状況的には」
「アルバート!」
言いにくそうに言うアルバートにクリスが怒る。
そこへドンと大きな音がしてオーウェンが飛び込んでくる。
「クリスが気絶させられたんだって。だから学園なんかに行くなって…あれクリス」
ブスっとしているクリスを見てオーウェンは疑問に思う。
「違うぞ。オーウェン。クリスの顔に迫られて気絶したんだと」
「クリスどういうこと。俺と言う男がいながら他の男に迫ったの」
ジャンヌが茶化して更にオーウェンがヒートアップした。
「違います。そこのロルフ・ノーマン君が各自の持つ魔力の大きさが判るみたいだから確認しようとしただけです」
「えっ、こいつ魔力の大きさ判るの」
「そんな事があり得るのか」
「それでも迫る事無いだろ」
おのおの勝手な事を言う。
ロルフはぼんやりと目を覚ました。
何か魔力の多い奴らに囲まれている気がする。
何で寝ているんだろう。
そうだ化け物に迫られて。
恐怖に驚いた顔でロルフが目を覚ました。
周りを見ると巨大な魔力の塊に囲まれているのが判る。
「あっ目を覚ましたのね」
保健の先生らしき人に声をかけられる。
その人の魔力量はロルフと同じくらいだった。
おそらくこの中では一番自分が魔力量が少ない。
怯えた表情のロルフにアレクが声をかけた。
「お前、魔力量が判るんだって。俺はこの中で何番目だ」
ロフトは言うかどうか一瞬悩んだ。でも、化け物にはもうわかっているはずだ。
余計な事を自分が言ったばっかりに。
「2番目」
ボソリとロフトは言った。
「あっ本当にわかってるな」
喜んでアレクが言った。
「えっちょっと待て。何でアレクが2番目なんだ。それはおかしいだろう。」
ジャンヌが喰ってかかった。
「あんたは少しこいつより少ない」
ロフトが言う。
「じゃあ俺は?」
ウイルが聞く。
「あんたは4番目」
「俺は?」
オーウェンが聞く。
「おそらく6番目」
「そうか6番目か」
オーウェンにとって、判っていたこととはいえ、それは悔しい。
「でもそれじゃあトップは誰なんだ」
オーウェンの声に恐怖でゆがんだ顔でクリスを見る。
「えっ私なの?」
驚いてクリスが言う。
「桁違いに大きい」
ぼそっとロルフが言う。
「嘘!」
クリスが驚くが
「何言っているんですか。クリス様。ボフミエの古の3魔導師に世界最大の魔術師と言われたではないですか」
「そうですよ。姉様。ボフミエの筆頭魔導師なんですから、当然魔力量はトップです」
「そんな、クリスが…」
ウィルが頷くがいまだにショックを受けているオーウェンであった。
「えっじゃあクリスって筆頭魔導師様」
驚いてロルフが言った。
「えっ知らなかったのか」
「魔力量が判れば判るだろう。クリスは学園で一番多いよな」
ロルフは皆の言葉に呆然としていた。
今まで田舎暮らしだったから、筆頭魔導師様と言われてもピンとこなかった。
でも、とするとこのなかのメンバーってひょっとして…思わず周りを見る。
「まあ、でも、ここまで魔力量見極められるなら、ちゃんとした能力あるだろう」
「見たままで魔力量判るなら魔導師の選抜とか学園の選抜に使えるよな」
「ちょっとと待て。アレクよりも少ない事に納得できない」
ジャンヌがアレクとオーウェンの間に入る。
「まあ、ジャンヌ。事実だからな」
「何だとアレク。今すぐ表に出るか」
言い合いを始める二人を見てロルフはまた震え出した。
ひょっとしてとんでもない失礼な言葉づかいで話したのかもしれない。
「ひょっとしてアレクってノルディン皇太子殿下ですか」
震えながらロルフは言った。
「ああ。でも言葉遣いなんて気にするな。これから仲間になるんだし、お前の力は使える」
「アレクより下と言うのが納得できない」
ジャンヌがロルフに迫る。
「おい、ジャンヌ、嚇すな。また気を失うだろ」
アレクが注意する。
「ジャンヌってマーマレード皇太子殿下?」
「何驚いている。皇太子と言えばこいつもドラフォードの皇太子だぞ。ここの学園長もテレーゼの皇太子だし…っておい」
ジャンヌは慌ててロルフを見るとまた泡を吹いて気を失っていた。
「こんな気が弱くて仕事できるのか」
ジャンヌが言う。
「何言っているんですか。この状況が異常なんです。
高々小国の学園にこれだけ大国の皇太子殿下がいらっしゃるのが」
ウィルが言う。
「平民には恐れ多い事甚だしいですよ。
公爵の息子の私でもマーマレード留学当初は皇太子殿下に囲まれて緊張しましたから」
アルバートまで言う。
「その割にお前生意気だったよな」
オーウェンがぼそりと言う。
「だって私の忠誠は全てクリス様に捧げていますからね。それ以外は外野です」
「俺のクリスに近付くな」
「近付いてほしくないのは殿下です」
「オーウェンもアルバートも俺の姉様に近づくな」
3人が言い合いを始めた。
この日ロルフは本人の意思に関係なく宮廷に召し上げられることが決定した。
隣でこれまたクリスに弾き飛ばされて気絶していたデニスには誰も全く注意を払っていなかった。
皆々様 いつもお忙しい中読んで頂いて本当にありがとうございます。
コロナに負けず 頑張って書いていきます
皆様方も頑張ってください!!!








