表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
第六章 クリス ボフミエ皇帝?になる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/480

クリスは戴冠式で筆頭魔導師に任命されます

遅くなってすいません。

帝都ナッツァには素晴らしい青空が広がっていた。

冬とはいえ亜熱帯地方の気温はそんなに寒くない。

クリス誘拐、魔王復活戦で皇帝が倒れて1か月。

所々戦乱の跡が残る宮殿の庭園で、クリス・ミハイルの筆頭魔導師への戴冠式ならぬ、任命式が執り行われようとしていた。


当初は断固拒否しようとしていたクリスだったが、仲間たちの説得と、ボフミエの知り合った民に頼まれて、拝まれて、跪かれてどうしようもなく、取り敢えず後継者が決まるまでの間、筆頭魔導師をやることを承認していた。


そして、今日はその晴れの戴冠式の舞台だった。

派手な事はいらない。そんなものはいらないというクリスにこれもけじめで、国の内外に知らしめるのも国政の基本だと、オーウェンらになだめすかし脅されてやることになっていた。



「はっ」

白い清楚なドレスを身にまとわされたクリスは扉の前で大きなため息をついた。

質素でいいと言ったのに、王宮の庭園には国内外官僚含めて1000名の招待客が参列しているという。

(目立ちたくなかったのに)

心の中で思う。


「クリス様。ため息をつくと幸せが逃げます」

クリス付きの騎士のメイがボソリという。

「でも、メイ。私で出来るのか不安で」

クリスが愚痴る。

「大丈夫ですよ。クリス様なら何でもできます」

「そうだよ。姉様。エリザベス王妃の死の王妃教育も及第点が出たんでしょ。どこの王宮でも大丈夫だよ」

「王弟叛逆時の反乱軍の兵士たちを救われたのは聖女クリス様です。そう言う事の積み重ねが政治です」

ウィルとアルバートが信頼しきって言う。

「クリス様。クリス様はその信じる道をお進みください。それを邪魔する者らは我ら4人が掃いましょう」

ジャスティンがクリスに礼をした。

「判りました。宜しくお願いします」

クリスは4人に頭を下げた。


「はっ」

4人が礼をする。


「すいません。お時間です」

城内の係官の声掛けとともに、中庭に面した門が開く。


帯剣したボフミエ騎士団の正装のジャスティン・・ギンズバーグの先導の元4人が歩き出した。


先頭のジャスティンから3歩遅れて左斜め前にメイが。

真ん中にクリス。

クリスを挟むように少し下がって左右にウィルとアルバートが続く。


おそらくこの4人だけで1個師団は無理でも、1個大隊を蹴散らすことは可能だった。

クリスを戦力に入れれば1個師団でも問題ないだろう。



参列者が並ぶ中を、マーマレードから強制帰国させたペトロ・グリンゲン公爵令息らが奏でるオーケストラの音楽のもと、ゆっくりと歩く。


クリスは白いドレスに包まれて頭には金色の輪を嵌めている。

金色の髪に金色の輪ではそんなに目立つことは無いが、太陽の光を浴びて輝いていた。

そして、クリスは学祭の演劇でも全世界に配信されたが、今日の任命式の様子もまた、全世界に配信されていた。


その姿を見ながら不機嫌な顔をしている貴族も見受けられた。

「おのれ小娘め。今に見ておれ」

ヨーナス・ハウゼン公爵は唇を噛んでいた。

今まで皇帝ゲーリングの圧政の時は表に出ないように隠れていたのだが。

皇帝がいなくなった今こそ、重要な役職が当たるに違いないと思っていたのだが。

待ても暮らせども連絡が来ない。

よそ者の筆頭魔導師ならば三顧の礼で迎えられるかと期待していたのだが、役職の多くは外部の大国の皇太子らに取られて機嫌が悪かった。

敵対するグリンゲン公爵が宮内卿に任命されたのも気にくわなかった。

「まあ、ハウゼン公爵。所詮おままごと内閣。すぐに馬脚を現して我らに援助を乞うてきましょうぞ」

昨年まで内務次官だったオットー・フォルスト伯爵が言う。

「まあ大半が大国の威を笠に着ている小僧共ですからな。諦めるのも早かろうと思いますぞ。

公爵様もその後を見込んでいろいろ動かれてはどうですかな」

ケオルク・シャプター子爵が笑って言った。家は商売をしていて、それが先代皇帝に見込まれて子爵になった変わり種だ。


そのような不満を持つ者たちもいる中をクリスらはゆっくり歩く。

最前列のジャンヌやアレクなど政権を固める人物らの前を通り過ぎる。


そして壇の前まで来ると先導したジャスティンが横に道をあける。

階段をゆっくりとクリス一人で登る。


その先にはジャルカがいるはずだった。


ゆっくりとジャルカの前に進み出るクリスだったが、そのジャルカが突如現れた3魔導師に横にどかされる。

「小僧はどいていろ」

「えっちょっと」

小僧扱いされたジャルカの前にボフミエ建国の3魔導師が再び現れたのだ。


クリスは一瞬慌てたが、それに構わず、魔導師たちは声を出した。


「これは驚きました。彼らは誰なのでしょうか」

実況の司会者が驚く。

「えっボフミエの建国の3魔導師?ってもう1000年たっているんですけど」

司会者の慌てた声にはお構いなしに3人はクリスの前に立つと厳かに宣言した。


「我らボフミエ魔導国建国の魔導師がここに宣言する」

「クリスティーナ・ミハイル。前へ」


前に数歩歩いてクリスは3人の前に跪いた。


「クリスティーナ・ミハイル、汝をこの世界最強の魔導師として認定する」

「我が子孫ボフミエの民の為に尽くせ」

「はっ」

クリスは返事をした。


「ボフミエの子らよ」

「世界の魔導師たちよ」

「ボフミエの暗黒の時代は終わった」

3人は周りを見渡す。

3魔導師は晴れ晴れとした表情をしていた。


「新たな指導者クリスティーナ・ミハイルの元集結し事に当たれ」

「幾多の困難が襲おうとも夢疑う事無かれ」

「さすれば道は開かれん」


3魔導師の手元から次々と色とりどりの花が開いて空を舞っていた。

会場全てが瞬く間に花々に覆われていた。

その美しさに画面を見た人々は驚き感動した。

そして、その花々が魔術が切れて消えるとともに3魔導師の姿形も消えていた。


これから次々とクリスらに困難が襲ってきます。

最初は人災による飢饉です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ