ボフミエ王宮攻防戦1 暴風王女と赤い死神は王宮に潜入しようとします
遅くなってすいません。
明日も投稿頑張ります
さかのぼる事1日前
ボフミエの王宮魔法の塔ではいらいらしながら皇帝アーベル・ゲーリングは報告を聞いていた。
翌朝目覚めると各国から非難の書簡が大量に届きだしたのだ。
皇帝自らが人攫いなされるなど言語道断。
いつから帝国は人攫いの国家になられた。
国主ともあろうものが許されざる行為。
等々非難のオンパレードだった。
各国大使からはもとより国王よりも多くの書簡が届けられていた。
「皇帝自らがたかだか一侯爵令嬢を誘惑するという史上初の壮挙、
更にその様子の一部始終を全世界に配信するという史上初の快挙をなされたことを心よりお祝い申し上げる。
これは全世界にボフミエに逆らえばどうなるかを自ら手を染めて示された
世界を恐怖により支配をしようとする御意志だと感じいっております。
ノルディン帝国皇帝ヤロスロフ・ボロゾドフだと、どういう事だサロモン」
ピキピキこめかみを震えさせながらアーベルは説明を求めた。
「どうやら陛下がクリスに接触される様子が全て撮影されていて、それがリアルタイムで配信されたようです」
頭を下げてサロモンが言った。
「何だと、隠密の魔術をかけていたのにか」
魔力で姿を隠していたはずであった。
「おそらく人は誤魔化せても機械のカメラには隠密の魔術は効かなかったのではないかと。
こちらを」
手に入れた映像をサロモンは流す。
転移した皇帝がクリスに接近して気絶させて転移する様子がはっきりと映っていた。
顔も何もかもがはっきりと。
そしてその後ろにボフミエ皇帝 侯爵令嬢を誘拐の文字が。
「こ、これが全世界に流されたのか」
アーベルは呆然とした。
いつも冷え冷えして臣下を見下ろす瞳はうつろだった。
ノルディンの皇帝に馬鹿にされるまでもなく、とんだピエロだ。
何処の国に皇帝自らが誘拐に手を染める国主がいるのだ。
それも現場をはっきりとさらされるなど。
恐怖の皇帝としてアーベルは国内に恐れられていた。
しかし、現役の皇帝が誘拐をするなど、それも現場を撮影されて全世界に同時に配信されるなど失態以外の何物でもない。
ドラフォード東方第一師団が北上中、漁港キールにはマーマレードの魔導師団が攻撃中、クリスは行方不明と八方ふさがりの状況だった。
しかし、クリスさえ捕まえて魔王を復活させればまだ何とかなるはずだった。
と言うか魔王さえ復活させればこの世界を手に入れる事すら可能だった。
笑い者のボフミエ皇帝が世界を恐怖に支配するのだ。
笑ってくれたノルディン皇帝など恐怖にゆがめた顔を全世界に流しながら公開処刑してくける。
「サロモン。クリスのいる位置は大体は判るな」
「ある程度は絞れますが」
「全魔導部隊を出撃させる」
「城の守りが手薄になりますが」
サロモンは危惧して言う。
「クリスが魔王化さえすればこの城などすぐにでも取り戻せる。
最優先はクリスの確保だ」
「御意」
その日のうちに皇帝以下魔導部隊は魔人と共に南下した。
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一方ジャンヌ達はボフミエの王宮の傍に来ていたが、中々王宮に入り込むのに難儀していた。
「さすが、魔導帝国の王宮、おいそれとは入らせてもらえませんな」
ジャルカが言う。
いろいろ化けて入ろうともしたのだが、なかなか誤魔化しても入れない。
「こうなったら正門ぶった切って正面突破で」
ジャンヌが言う。
「さすがにそれはそのあとの行動が厳しいのではないか」
アレクが疑問を呈する。
「しかし、姉様がどうなっているか判らないし」
ウィルが焦って言う。
「ウィル、気にしなくてもクリスは大丈夫だ」
ジャンヌが言い切る。
「姫様ならそう思うけどかよわい姉様は…」
「ウィルそれはどういう意味だ?」
幾分より目になりながらジャンヌが言う。
「まあまあ、ウィル、クリス嬢はそこにいらっしゃるアレクサンドル皇太子殿下が地上で唯一恐れる方ですぞ。問題はおそらくありますまい」
ジャルカの言い様にアレクは苦い顔をするが否定しない。
「それは姫様の間違いでは」
ウィルが信じられないという口調で言う。
「ジャンヌは怖くはないがクリス嬢は恐ろしい」
ボソリともらしたアレクの言葉にウィルは絶句した。
ウィルはクリスがシャラザールの化身だと知らない。
あのはかない姉がシャラザール山を破壊したのは見たが、それと見た目は全然別ものだった。
アレクやジャンヌ、ジャルカはクリスの本性と言うかシャラザールにが憑依しているのは知っているし、
もしなんかあってもボコられるのはボフミエ皇帝だとはっきり思っていた。
クリスが本性さえ現せば、王宮から脱出するのは簡単だし、別にジャンヌらの手を煩わせることも無いとは思っていたが。
それとマーマレード国の中で侯爵令嬢を誘拐されて何もしないというのは別物だし、何もしなかったとシャラザールが後で知れば何をされるか判らないと特に怯えているのがアレクだったが。
「では、ここは私目の案で参りましょう」
ジャルカはそう言うと残りの3人を引き連れてひょこひょこ歩き出した。








