婚約破棄されました。暴風王女来臨
しかし、その時に光が光った。
「来た」
ギルティは慌ててしゃがみこんだ。
ズドーン!
すさまじい衝撃とともに王太子の顔面に脚が直撃した。
衝撃からみんなが立ち直ると顔を抑えて倒れ込んでいる皇太子と人間椅子に座り込んだジャンヌ姫。
とワインまみれのアレクサンド・ノルディン皇太子がいた。
「姉上」
顎を抑えつつ怒りにまみれてエドは言った。
「エド。まさかあなた何かしでかしたわけではないわよね」
「何かとは何ですか。」
きっとしてエドは聞く。
「余計な事していないでしょうね」
そういうジャンヌは立ち上がった人間椅子に弾き飛ばされた。
「余計な事したのはお前だ。いつもいつも良いところを邪魔しやがって」
ジャンヌの下敷きにされていたオーウェンは怒り心頭だった。
「えっ。丁度間に合ったという事」
怒っているオーウェンを見て喜んでジャンヌは言った。
「何が間に合っただ。お前は脳筋同志、アレクと仲良くしておけ」
しかし、アレクがワインまみれなのはジャンヌの仕業だろうと勝手に誤解したが。
その前には空になったグラスを持つボリスが蒼白になって立っていたが目立ってはいなかった。
そして一方のジャンヌはオーウェンが怒っていることで最悪の結果は邪魔できたと思っていた。
ナイスタイミングと喜んだけれどその先にいるクリスの悲しそうな顔を見て何か違うような気がした。
「ギルティ」
消えようとしたギルティを見つけ出して声を出す。
本来王女は中隊長、ギルティは近衛師団長だ。
しかし、立場は。
「何もなかったよな」
「はい。何も起こっておりません」
皇太子の取り巻きの一人のモワットは第一師団長の態度を見て終わったのを思い知らされた。
どう考えても皇太子は左遷だ。下手したら北方戦線へ取り巻き一同まとめて送られかねない。
ジャンヌはそのまま終わらせようとしたが、王女を見ても脅しの効かない子飼いのウィルがいるのを見て、諦めた。
後はいかにオーウェンとクリスの仲を邪魔するかだ。
「ウィル何がどうなっている」
クリスの方は見ないようにして聞く。
「言いたくありません。言うと皇太子を叩き切ってしまいます。」
「許す。叩き切れ」
ジャンヌは言いきった。
近衛の平隊員は呆然としていた。
王太子を叩き切れとは…。それも近衛師団長の前で言って、誰も止めないことに。
学生の大半も北方戦線の英雄ジャンヌ姫が、北方の大国ノルディンの皇太子をワインまみれにして侍らせているのに唖然としていた。
ジャンヌの別名が暴風王女で今でも国軍の中でいや世界的にドラフォードの王太子を踏み台にするほど強い事を思い知った。
「まあ、ジャンヌ王女。何もなかったみたいだし、ここは穏便に。」
赤ワインまみれのアレクが言うと一種壮絶感満載だったが。
ついに次回最後の反撃です








