辺境の地でクリスは目覚めます
少し遅くなりましたが、なんとか間に合いました。
一方のクリスは辺境の森の中に作られた畑の中にすさまじい大音響とともに転移していた。
ジャスティン・ギンズバーグは音と共に外に飛び出していた。
爆音とともにすさまじい魔力を感じる。
こんな魔力持つ奴なんて知らない。
ボフミエ皇帝?いや、奴の魔力なんてこの魔力に比べれば子供のようなものだ。
一瞬皇帝が画策していた魔人、あるいは魔王かとも思ったが、邪悪な感じはしない。
山奥に逃げた人々共に荒れ地を開墾して作った畑の端にそのものは倒れていた。
「シャラザール!」
ジャスティンは思わず口走っていた。
ジャスティンには鎧をまとった伝説の戦士シャラザールに見えた。
しかし、よく見るとスカートをはいた女の子だった。
何をしたのか衣服はボロボロだった。
慌てて少女を抱え上げるや建物に向かった。
クリスは王宮を歩いていた。
マーマレードの王宮ではない。見た事も無い王宮だった。
しかし、どこか見たことがある。
そうだ、ドラフォードの王宮に似ている。
そして、何故か自分が玉座に座っていた。
その前には黒づくめの男がひれ伏していた。
「私、魔王ドラクエ、シャラザール様の行いに感服いたしました。
是非とも私めをシャラザール様の露払いにお使いください。」
そう言って顔を上げたが、顔はぼやけていた。
そして場面が変わる。
クリスは目の前の大軍に魔術を使おうと集中した。
その時後ろから突如魔剣で突き刺されていた。
慌てて後ろを向くと
「馬鹿め引っかかったな。魔王が人間ごときに支配される訳ないであろうが」
そう言いながら魔王が高笑いしていた。
「うわっ」
クリスは目を開けた。
手錠は無かった。
手を前に出せる。
何処かの部屋の中のようだった。
「あっ気付いた?」
女の子が顔を出した。
「体は大丈夫?」
女の子が聞く。
「ええ何とか」
クリスは起き上がろうとする。
が少しふらついた。
「無理しないで1昼夜寝ていたんだから」
女の子が慌ててクリスを寝かせる。
「ここはどこ?」
クリスは聞いた。
「ボフミエの国境地近くの山の中よ。」
少女が応える。
「私はミア。あなたのお名前は?」
「…」
クリスは一瞬答えようかどうか迷った。
ボフミエ国内ならばいつ皇帝が現るれるか判ったものでは無い。
「大丈夫よ。あなたも皇帝から逃げて来たのでは無くて」
ミアが言う。
「どうしてそれを」
「私もボフミエ帝国軍から逃げてここまで来たの。
帝国は取り立てが厳しくて少しでも税が足りないと奴隷に売られるのよ。
そうなりそうなところをジャスティン様に助けて頂いて」
「ジャスティン?」
ボフミエでジャスティンと言えば
「ジャスティン様と言えばジャスティン・ギンズバーグ様。正義の騎士と呼ばれている」
「正義の騎士かどうかは判らないが、私がジャスティンだ」
そこへ騎士の礼装の男が入ってきた。
「きゃっ」
慌ててクリスは布団を肩までかぶる。
「これは失礼。レディの寝室に勝手に入ってしまったな」
慌ててジャスティンは扉を出た。
クリスが衣装を整えてジャスティンらに何とか説明するまでに小一時間かかった。
「というとあなたがマーマレードの聖女クリス様」
ジャスティンが言う。
「聖女なんておこがましいですわ。正義の騎士様」
クリスが笑って言った。
「正義の騎士も余分ですが」
ジャスティンが笑って言った。
「でも、ジャスティン様。ボフミエの皇帝陛下は本当に魔王の復活をもくろんでいらっしゃるのですか?」
「それはあなたが実際に聞かれたんだろう。じゃあ本当なんだろう」
「しかし、魔王なんて伝説の者としか認識なくて」
「それをいうなら、戦神シャラザールもでしょう。
3年前のノルディン戦で現れたと聞いているけど」
ジャスティンが言う。
「そのうわさは聞いていますが、詳しい事はジャンヌお姉さまも教えてくれなくて」
「ジャンヌって皇太子殿下の?」
「はいっ。今回もアレクサンドル皇太子殿下と一緒に追いかけてきてくれているはずです」
クリスが頷く。
「そうか。暴風王女と赤い死神が一緒って…」
ジャスティンは暴風王女と赤い死神が揃ってボフミア帝国が無事に存在できるとは思っていなかった。
シャラザールが出たかどうかは定かではないが、
3年前のノルディン侵攻で暴風王女と赤い死神の戦いでノルディンの2個師団が壊滅したと聞いている。
その二人が揃って迎えに来た時なんて下手したら帝都壊滅なんてことになりかねない。
これはその前にクリスを送り届けた方が良いだろう…と思った時だ。
「大変です。魔人を先頭にボフミエ軍が攻めてきました」
男が部屋に飛び込んできた。
次回は戦闘シーンです








